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領主を継いだので好き勝手やってみた  作者: 堀江ヒロ
こぼれ話

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三姉妹のお料理教室(バレンタインVer?)


三女「今回はバレンタインスペシャルということで、お料理教室を実施します!!」


長女「わ~~。パチパチ」


三女「今日作る物はバレンタインなので当然はチョコレートです。用意するのはカカオマス,ココアバター,スキムミルク,砂糖です。

   姉さま、材料をお願い」


長女「は~い。こちらに用意しました」


次女「カカオ豆、牛乳、ビート(砂糖大根)


長女「へ~。ビートってカブみたいだけれど砂糖の代わりになるの?」


三女「ちょっと待って!? 何で全部原材料なの?」


次女「カカオ豆からカカオマスとココアバター。牛乳からスキムミルク。ビートから砂糖が作れる。これで完璧。全部揃えた」


長女「へ~。ちぃちゃん。頑張ったわね」


次女「・・・頑張った」


三女「いやいや! 可笑しいって!? 下拵えだけでも1日じゃ終わらないから」


次女「問題ない。作り方を説明したら、お料理番組で恒例の『こちらが出来上がりになります』で完成品を出す」


三女「お料理番組とか言っちゃう!?」


長女「大丈夫よ。番外編のお遊びなんだからちょっとくらい気にしない」


三女「・・・じゃ、釈然としないけど、進めます。

   じゃあ、まずカカオ豆を120℃で20~30分焙煎します。焙煎した後、殻および皮と胚芽を取り除いて、砕きます。

   ペースト状になったこの状態がカカオマスです。これを更にすり鉢で細かくすりつぶします。なお、ここから搾って分離させたのがココアバターです。

   簡単に書いてますが、実際やると大変な工程です。安易に手を出すと絶対後悔します」


三女「スキムミルクは牛乳から脂肪分を取り除いて乾燥させたものです。絞りたての乳の場合、1日放って置くと脂肪分が自然と分離します。ただし、どこかの世界で市販されている牛乳は分離しないように処理されています。

   今回は分離させずに全部使います。スキムミルクとは違いますが、これでもチョコは作れるので問題ありません。

   牛乳が焦げ付いたり膜が出来ないような低温でかき混ぜながら水分を飛ばします。そうすると全粉乳と呼ばれるものになります。

   ただ、実際やっても粉にするの難しいので、水分が飛んだら適当なところで諦めましょう」


三女「ビートは皮を剥いて、サイコロ状に切ります。それを鍋に入れ、70℃くらいで1時間ほど煮ます。ビートを取り除いて残りの汁を強火で煮詰めていきます。水あめ状になったら弱火にして固まり始めたら火を止め、皿に移して自然に固まるのを待ちます。

   煮詰めていくときにアクを取らないと苦みが残ります」


三女「これで、やっと下準備の説明が終わったんだけど・・・

   姉さま?」



長女「あっ? 終わった? ちぃちゃん。起きて、起きて。出来上がり品の準備しないと」


次女「・・・終わった? じゃあ、『こちらが出来上がりになります』」


長女「へ~。綺麗なラッピングね。これってどうやって作ってるのかしら?」


三女「な・ん・で!! チョコの完成品が出てくるの!? しかもラッピング済みのモノが!!」


次女「近所のコンビニで買ってきた」


三女「番外編だからって、コンビニはアウトでしょ!?」


次女「ほんはいはい。モグモグ」


三女「ちぃ姉さまは何で恵方巻き食べてるの? 節分まだでしょ! じゃなくって、世界観完全無視なんだけど!?」


次女「ゴックン。ただの太巻きだから問題ない」


三女「姉さまも何か言ってやって!」


長女「・・・モグ?」


三女「何で姉さまも恵方巻き食べてるの!?」


次女「待ち時間が長くてお腹がすいたから? チョコと一緒にコンビニでいっぱい買ってきた。ついでに、恵方巻きじゃなくて太巻き」


三女「ちぃ姉さまは何に拘ってるの? もっと気にすることろあるでしょ!」


長女「そういえば、ちぃちゃんは無口って設定なのにいっぱい喋ってるわね」


三女「気にするとこソコ!? というか、設定って言っちゃってる!?」


次女「今回会話のみだから喋らないと、居ても気づかれない。例えば、母様がずっと覗いていたけど、無言だから居ないことになってる」


長女「・・・本当にこっそりいるわね、お母様。そんなところにいないで入って来たら?」


母親「姉妹が楽しくお料理しているところに母親が入って来たら、お邪魔じゃないかしら?」


三女「平気だよ。一緒にやろうよ」


次女「終わったところだから問題ない」


三女「まだ終わってないから!!」


次女「ぶっちゃけ、苦労して作ったチョコよりコンビニの既製品の方が断然美味しい」


三女「既製品では味わえない愛情が詰まってるの!! 姉さまも母さまも何か言ってやって!」


長女「この包装紙ってどこかで手に入らないかしら?」


母親「確かに綺麗ね。どうやって作るのかしら?」


三女「・・・・・」


次女「そういえば、・・・この間、母様が一日がかりで作った料理を食べた父様が『オレが作った方が美味いな』・・・って」


三女「・・・それはわたしも少し思ったけど、言っちゃダメだよ!?」


次女「・・・って言うかと思ったけど、『作ってもらう側なんだから感謝して頂く』って言ってた」


三女「何でそう続くの? わたしがすごい感じ悪い娘みたいになってるよ!!」


母親「・・・・・」


三女「何で母さまが泣きながら恵方巻きを頬張ってるの!?」


長女「悲しくなると、お腹がすくと思って」


三女「・・・もうヤダ・・・」




兵士「どうかしたっスか?

   状況は分からないけど、妹ちゃん。元気出すっス。このチョコケーキ、領主様から差し入れっスよ」


三女「・・・ぐすっ。兵士のおじちゃん。ありがとぅ~~」


兵士「うっ、そこは『兵士のお兄さん』と言って欲しかったっス。それから、領主様から伝言っス。

  『良いツッコミだったぜ』」


三女「うっ、うわ~~ん。おばあさま~。みんながいじめるよ~~~」





◇◇◇


兵士「・・・何だったっスか?」


メイド長「アンタは何で小さい子を泣かせてるんだい?」


兵士「いや、誤解っス。その手をどけてほしいっス。頭、アタマがミシミシいってるっス。話を聞けば誤解だって分かるっス!」


メイド長「言い訳する男は皆そう言うんだよ」


元メイド見習い「・・・・・」


兵士「ああ~、マイハニー。助けてくれっス~」


元メイド見習い「優しい人だと思ってたのに・・・ 小さい女の子を泣かせるなんて、・・・幻滅しました」


兵士「ああっ。マイハニーが今まで見たことない表情に。・・・まるで害虫を見る目っス」


メイド長「アンタは性根を鍛え直さないと逝けないようだね」


兵士「その字は誤字っスよね? 謝るっス! 何が悪いか分からないけど、謝るっス! だから痛いのはやめて欲しいっス!」


メイド長「それはアンタ次第さ・・・」


◇◇◇





 ある三姉妹と母親は仲直りをして、美味しいチョコケーキを一緒に食べましたとさ


おしまい




 この物語はフィクションです。実在するする調理法とは一切関係ありません。


 よし! これで真似する人はいないでしょう。安易に真似すると痛い目を見ます。

 さて、何故、こんな話になったのでしょうか? 最初は三姉妹でほのぼの料理教室を書こうと思ったのに・・・

 きっと、コンビニの恵方巻きのPOP広告がバレンタインのそれを凌駕しているのが悪かったに違いない。


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