9 師匠の研究成果? 発覚!
観覧車でのソフィーちゃん争奪戦の結果は?
「うう、ソフィーちゃんの隣が良かったのです……」
「ふ、勝負の世界は非情だからね。ソフィーちゃん、ほら、あそこがさっき行った動物広場だよ」
「うふふ、あんなに大きかった牛さんが小さく見えて面白いね」
「だよねー。それからあそこがたぶんタマネギ収穫したところだと思うよ」
「うん、畑って初めて行ったけれど面白かったよ。土がふわふわでね、でこぼこしていたのよ」
「たくさん採れて良かったね」
「もー、つっまんないのですー! だけど何かおかしいのです」
あたしは神聖なるジャンケンに勝ち、見事ソフィーちゃんの隣に座る権利を勝ち取った。次に勝った美桜ちゃんと三人で観覧車に乗ることになり、れーちゃんは言乃花お姉ちゃんと二人で、最後に冬夜兄ちゃんとメイお姉ちゃんが乗ることになった。
美桜ちゃんはジャンケンに負ける前からずーっとブーブー文句を言っていた。ハルヴェストの丘に来る前にリーゼお姉ちゃんとソフィーちゃんと三人で、とんでもなくすごい遊園地に行ってたみたいだから、そこと較べるとつまんないみたいだ。
── だけど、景色が見えないくらいものすごい速さで動くコーヒーカップやジェットコースターと較べられても仕方ないよね? そんなのこっちの世界にあるわけないじゃん。
観覧車に乗ってもつまんなそうにしてたんだけど、突然腕を組むと眉を寄せてウンウンうなりだした。
「ちょっと美桜ちゃん、どうしたの?」
「やっぱりおかしいのです。魔法が使えないのはいいのです、しかたないのですから。でもそれだけじゃないのです。何かが変なのです。いつもの美桜ならもーっと文句を言っているはずなのです。それにもっとパワーがみなぎっているはずなのです。それがいつもよりも少ないのですよ」
「えー、それじゃあよくわかんないよ」
「説明が難しいのです。感覚的な問題なのですよ」
「んー、感覚かあ。ソフィーちゃん、何のことかわかる?」
「んー、そうね。うまく説明できるかわからないけど、プロフェッサーさんが実験データを取るって言っていたから、きっとブレスレットに何かあるんじゃないかな。わたしのこのブローチにも同じような機能が付いてるって言っていたの」
ソフィーちゃんのピンクの水玉のワンピースの胸元には、かわいいイチゴの形のブローチが付いていた。
「このブローチを付けてからね、ものすごく嬉しい、とかものすごく心配っていうような大きな気持ちがね、ちょっとだけ小さな気持ちにいつの間にか変わってるなって思ってたの」
「それって感情の動きが少し小さくなったって感じ?」
「うん、そんな感じかな」
「それなのです! なんだか美桜が美桜じゃないみたいな感じがするのです」
「なーるほどー」
── そういえば師匠、思念波についても何か研究してたよね……。よし、試してみよう。
「美桜ちゃん、そっちの腕出して」
「いいですよ?」
美桜ちゃんがブレスレットを付けた方の腕を出してくれたので、そのブレスレットに触りながら思念波を流してみた。
「……あ、やっぱり」
「何か分かったのですか?」
「うん、ちょっとだけど思念波を吸収してるね、このブレスレット」
── くうーーっ、さっすが師匠! もう思念波の研究進んでるじゃん! 師匠ーーーっ! かーっこいーーーっ!!
「しーちゃん、思念波って何?」
「あ、そうか。んーとね、簡単に言うと感情の波のことだよ。感情が大きく動くと、強くなるんだって」
「なるほどなのです。美桜の感情をこのブレスレットが抑えているわけなのですね。でも、何のためなのです?」
「あたしもよくわかんないんだけど、その思念波には力があって、エネルギーになるらしいよ」
「よくわからないのですか? でもしーちゃんはその波のことを知っているのですよね? もしかしてしーちゃんもその思念波というものが使えるのですか? 詳しく知りたいのです!」
そう言うと美桜ちゃんがぐぐいっと顔を近づけてきた。
「美桜ちゃん、近い近い!」
「美桜ちゃん、ちょっと落ち着こうね。あぶないよ」
意外なところから師匠芹澤の実験計画が発覚しました。
さて、ここからどうなるんでしょうか。
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それではまた二週間後にお会いしましょう。




