5 楽しい芝すべり
「美桜、先に席を取っておくわよ」
「はいなのです」
美桜ちゃんたちはゴーカートとおもしろ自転車に乗ってきたんだって。残念ながら席は離れちゃったので、
「また後でね」
と言って別れた。
「いっただきまーすっ!」
お昼ご飯は焼き立てビザ。ここのビザには自家製のソーセージとチーズが使われてるんだ。ふわとろのチーズにプリップリのソーセージ。かむとじゅわ~っと肉汁が口の中に広がる!
── んー、おいしいっ!
「れーちゃん、これはあたしたちの作ったソーセージもぜったいおいしいよね!」
「うん、そうだね」
「これはビールが合いそうだね」
父さんたちがそう言いながら母さんたちの方をチラチラ見ていたけれど、母さんたちはずーっと知らないフリをしていて面白かった。
美桜ちゃんたちのテーブルを見てみると、美桜ちゃんがものすごい速さでビザにかじりついていて、言乃花お姉ちゃんに何か言われているみたいだった。そのとなりでソフィーちゃんも幸せそうにビザを食べている。その様子を通りがかりの人が目を丸くして見ていた。
「あの人、すごいね。着ぐるみのままで暑くないのかな」
「表情も変わるなんてすごい技術だよな。生きてるみたいだ」
── ま、生きてるんだけどね!
『しーちゃん、そこはないしょにしとかないと』
そう思ったられーちゃんに伝わったみたいで思念波で返ってきた。しゃべらなくても伝わるのって便利だよねー。
昼食後、父さんたちが、
「よし、腹ごなしだ」
と言って、芝すべりに向かうことになった。美桜ちゃんたちに伝えに行くと、後から合流することになった。母さんたちは日傘を差して見物するらしい。
ちょうどお昼の時間なので空いている。
あたしとれーちゃん、父さんたちはそれぞれプラスチックのそりを持って階段を上がり、スタート地点に並んだ。すかさずあたしは、
「父さん、おじさん! あたしたちと勝負だよ! あたしたちが勝ったら後でソフトクリーム買ってね!」
と声をかけた。父さんがサムズアップしながら、
「よし。大人の実力を見せてあげよう」
と乗ってくれた。
── ふっ、この勝負。もらったよ!
あたしも同じポーズで返すと、四人でスタート地点に並ぶ。
「「レディー。ゴー!」」
の掛け声で一斉に滑り降りた。
「あはははははは、なにこれ、すっごーい!」
思った以上にめちゃくちゃスピードが出る! 気持ちよーくすべって行ったら、ゴールで勢いよくすっ転んでしまった。視界がくるんと回る中で、れーちゃんがすかさず足ブレーキをかけて止まるのが見えた。
「れーちゃん、ずーるーいー。そこは一緒に転ぼうよ!」
と文句を言ったら、さらりと無視された。ひどい。
父さんたちはその後から降りてきた。
── よし、勝った。
父さんにサムズアップしながら、
「やったね。あたしたちの勝利!」
と言うとおじさんが、
「待った。三回勝負だ」
とくやしそうに言ってきた。だから、
「れーちゃん、どうする?」
と声をかけると、
「いいんじゃない?」
とれーちゃんも自信たっぷりに言った。
── だよねー。負ける気、しないよね?
と顔を見合わせていると、おじさんが、
「思ったよりもスピードが出たから途中でブレーキをかけてしまったんだ。今度は勝つからな。でないと父としての威厳が……」
なんかぶつぶつ言いわけをしていたけれど、あたしたちはさっさとスタート地点に戻った。
── ソフトクリームのためにも、ここは勝ちに行くよっ!
結果は三回とも父さんたちの惨敗。最後に泣きの一回が入り、ハンデとしてあたしとれーちゃん二人で一つのそりに乗って対決したけれど、あっさり勝った。
── ま、当然だよね?
最下位はおじさんで、後で全員にソフトクリームをおごってもらうことになった。やったね!
父さんたちはそこでダウンしてしまい、ちょうどその時、美桜ちゃんたちが合流した。
「待たせたのです。しーちゃん、れーちゃん、だれが一番早いか勝負なのです!」
そう言った美桜ちゃんが、一回目見事にすっ転んだのは言うまでもないよね?
ハルヴェストの丘の芝すべりは、本編104話に登場しています。れーちゃん側からみた芝すべりの様子も読んでみてくださいね。
美桜ちゃん達との対決は次回に続きます。2週間後をお楽しみに!
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しーちゃんが登場する物語
れーちゃんが主人公のSFです。
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ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
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