2 さっすが師匠ー、かーっこいーっ!
ハルヴェストの丘をみんなで楽しみます。
あたしたちはみんなでハルヴェストの丘の体験教室がある方へ歩き出した。すると、学園のみんなが首にかけていた眼鏡を付ける。
── あ! あれって翻訳ゴーグルだ。さっすが師匠ーっ! これであたしたちの世界の文字がみんなにも読めるってわけだね。師匠ー、かーっこいーっ!
すると、横でれーちゃんがプッと吹き出した。
── くっ、れーちゃんあたしの思念波読んだね?
「だって、しーちゃんだだ漏れだよ」
「仕方ないじゃん。師匠がすごいんだもん」
「うん、それは分かるけど」
そう言いながらまだクスクス笑っているれーちゃんをムッとして見ていると、美桜ちゃんが何かを指差しながら言った。
「冬夜お兄ちゃん、あそこに『世界のカブトムシ・クワガタ展』と書いてあるのです! 美桜はあそこに行ってみたいのです」
「へえ、たしかに面白そうだな」
「ふ、ふ、ふ、美桜ちゃん早速トラップに引っかかったね」
「なっ、しーちゃんどういう意味なのです?」
あたしの言葉を聞いた美桜ちゃんが目を丸くして聞いてくる。
「ここの園内はね、細長ーく奥まで続いてるんだよ。ここは一番手前だから、ここで先に時間を使っちゃうと他のアトラクションが楽しめなくなっちゃうよ」
「なっ! そうだったのですね。これは危ないところでした」
あたしが得意そうに説明していると、れーちゃんがまたもや笑いながら言った。
「ふふ、えらそうに言ってるけど、しーちゃんもマップで見た時、一番に『ここ、行きたいっ!』って言ってたんだよ。今日は混んでるから、やりたいアトラクションがあったら先に行っておかないとすごく並ばないといけなくなると思うよ」
「そうなのですね! これは作戦を考えないといけないのです」
途端に真面目な顔で悩み始める美桜ちゃんをみんなが温かく見守っているうちに広場に到着した。
ここには広場を囲むように食堂やお土産屋さんが並んでいて、手前の方にはゴーカート乗り場やおもしろ自転車の乗り場がある。体験教室は一番奥の方にあって、その手前で道が二手に分かれている。奥へ行くと他のアトラクションがあって、小さいけれど観覧車なんかもあったりするんだ。
開演してまだそんなに時間がたっていないから、お土産屋さんや食堂は空いてるけど、体験教室の前にもゴーカート乗り場の前にも、もう何人もの人が並んでいた。
広場には出店が出ていて、ヨーヨー釣りやスーパーボールすくい、宝石探しといったお店が並んでいる。
れーちゃんのお母さんが言った。
「作るのに結構時間がかかるみたいだから交替でお手洗いに行っておきましょう。父さんたちから先に行ってきて」
父さんたちがトイレに向かうのを確認して、あたしは母さんにおねだりした。
「ね、ね、母さん。あそこで宝石探しのお店が出てるの。十分五百円! れーちゃんとやりたいなー、お・ね・が・い」
いつもの母さんなら、
「こんなところでお金の無駄遣いしないの」
と断られるところだけど。
── ふ、ふ、ふ。今日のあたしは一味違うよっ。
あたしには思念波という強ーい味方ができたからね! あたしはすかさず母さんの手を取って思念波を流してお願いしてみた。
すると、効果てきめん。母さんはため息を吐くと、
「もう、しょうがないわね、ちゃっかりしてるわ。いいわよ。由実さん、これを大人しくさせときたいからいいかしら?」
と、れーちゃんのお母さんに聞く。おばさんもオッケーを出してくれた。
── やっりー! 思念波、使えるねっ。
あたしがニヤリとしながられーちゃんを見ると、れーちゃんも頷き返してくれた。以心伝心ってやつだよね。
「美桜ちゃんはどうする?」
「もちろん美桜もやってみたいのです! お姉ちゃん、いいですか?」
すると言乃花お姉ちゃんもため息を吐いて、
「れーちゃんたちがするなら一緒に行ってきなさい。その間ゴーカートに並んでおいてあげるから。冬夜くんたちはどうする?」
「メイ、宝石探しやってみたくないか?」
「うん、やってみたいかな」
「それじゃあ冬夜くんと私はゴーカート乗り場に並んでおくから、メイさん、美桜のことお願いできるかしら」
「はい。それじゃ美桜ちゃんは私と一緒に行こうね」
「はいなのです!」
こうしてあたしとれーちゃん、美桜ちゃんとメイお姉ちゃん、それからソフィーちゃんの五人で宝石探しにチャレンジすることになったんだ。
── ふ、ふ、ふ。楽しくなってきたよーっ!
こちらの物語は本編の「102 新しい試み」の裏話になります。本編に箱庭メンバーは登場しませんが、実はこんなことしてました。
さあ、美桜ちゃん、メイも加えて四人で宝探しに挑戦します。皆いいお土産ができそうです。
それでは、また2週間後にお会いしましょう!




