1 師匠作のブレスレット、かーっこいー!
ハルヴェストの丘編、いよいよ始まります。
いつもと少し勝手が違うようですよ?
その時、言乃花お姉ちゃんがみんなを連れてあたしたちの前に来た。あたしの手を取ると、
『しーちゃん、私たちこの世界の言葉が話せないの』
── ええっ! 思念波で話しかけてきたよっ!?
まさかの事態にめちゃくちゃビックリした。
── そういえばあっちの世界とは言葉が全然違うんだった。いつも普通に話せてたからすっかり忘れてたよ。
── ど、どうするのー!?
「%■◯※:、ツバキ コトノカ デス」
すると言乃花お姉ちゃんは、あたしの手を離してスマホを取り出すと話し出した。スマホから、音声が出る。
『はじめまして、椿 言乃花です』
「あら、外国の方なの?」
そこから言乃花お姉ちゃんはあたしが博物館で美桜ちゃんと知り合い、仲良くなったこと。今日ここに来ると聞いていたので、自分たちも観光に来たのだとスマホを使いながら伝えてくれた。
れーちゃんの方には、冬夜兄ちゃんとメイお姉ちゃんが同じように冬夜兄ちゃんのスマホを使って説明してくれている。
── つまり、みんなは外国人で「絶望の箱庭」のファン。作品の舞台である日本に聖地巡礼に来て、たまたま博物館であたしたちに会った。美桜ちゃんとあたしたちが仲良くなったので、日程を合わせて『ハルヴェストの丘』にも来ることにした。せっかくだから「作品のコスプレをして行こう」ということになって今。という設定らしい。
── 突っ込みどころ満載な気がしないではないんだけど、父さん達は一応納得してくれたみたい。
ひとまずほっとしたあたしとれーちゃんは、美桜ちゃんに引っ張られてソフィーちゃんのところへ集まっていた。
「ふ、ふ、ふ、驚いたのでしょう!」
美桜ちゃんの言葉は、耳には別の音で届いていたけれど、何を言ってるのかはすぐに伝わってきた。
── 思念波、便利。
「正直、ビックリを通り越して何がなんだかさっぱりだよ。なんでここに美桜ちゃん達がいるの!?」
「それは美桜が学園長にお願いしたからなのですよ」
「ふふ、美桜ちゃん昨日ものすごく頑張って宿題終わらせたんだよ。そのごほうびにしーちゃん達と遊べるようにしてもらったんだって」
「そこでみなさんを転移させちゃう学園長さん、すごすぎません?」
「当然なのです! あの方は本当にすごい方なのですよ。さあ、しーちゃんれーちゃん。時間は有限なのです! さっさと遊びに行くのです」
そう言うと、美桜ちゃんがグイグイとあたしの手を引っ張って園の奥へ進もうとする。
「ちょっと、美桜ちゃん! そんなに引っ張ったら……あれ?」
── また引きずられちゃう!
って思わず体に力を入れると、なぜかあたしの体はそこから動かなかった。向こうの世界だったら問答無用で連れて行かれているはずなのに。
「ああっ、しーちゃんが重いのです!」
「ちょ、何失礼なこと言ってんの? でも、なんかいつもとちがうね?」
すると美桜ちゃんが、プウッとほっぺたを膨らませて言った。
「このブレスレットのせいなのです! 玲士お兄ちゃんがくれたのですが、魔法を使えなくする効果があるのですよ。でも、こんなに強力だとは思わなかったのです」
それからいくら美桜ちゃんが力を入れても、あたしはそれに抵抗することができた。向こうの世界なら美桜ちゃんはピンク色のオーラに包まれていたはずだけれど、そんなものは一切目に見えない。
── さっすが師匠ーーっ!
「美桜、しーちゃんが困っているからやめなさい。それに一緒に回るのは無理みたいよ」
「どうしてなのです!?」
「あちらはこの後体験教室を予約されているそうだ。その間は別行動になるな」
「まだ教室までには少し時間があるみたい。それまでは一緒に行けるから、また後で一緒に遊ぼうね」
冬夜お兄ちゃんとメイお姉ちゃんが説得してくれて、美桜ちゃんはしぶしぶ頷いてくれた。
── とりあえず大丈夫かな?
── でも、きっとこれで済むわけがないよね! これからどうなっちゃうのーーーっ!?
こちらの物語は、本編の101.102話とリンクしています。
本編とはまた違ったストーリー展開を楽しんでもらえればと思います。
それでは、また2週間後にお会いしましょう。
本編の宣伝です。
しーちゃんが登場する物語
「 古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、精霊を仲間にして日本を救います! ─We are enlisters. Save the princesses of Emulia. ─」
はこちら
https://book1.adouzi.eu.org/n5917gw/
ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
https://book1.adouzi.eu.org/n3370hf/




