8 あやしい? 学園長(学園Side:)
前回のソフィー側のお話です
急にリーゼがガタンと音を鳴らして椅子から立ち上がりました。
「あんの学園長ー! ソフィーちゃんにこんな怪しいものを渡すなんてっ!」
そう言って拳を震わせたその時、突然背後から、
「心外だなあ。僕の好意を素直に受け取れないなんて」
と、残念そうに言う声が聞こえてきました。皆がはっとしてそちらを向くと、口元を引き上げて笑みを作る学園長が立っています。
「な、いつの間に!? ちょっと学園長! こんな得体の知れないアプリをしれっとソフィーちゃんに渡さないで下さいよ!」
リーゼが食ってかかると、さも驚いたという顔をして言いました。
「あれー。君達が言ったんでしょ? ソフィーが一人の時間が心配だって。だから有能な僕が誠意をもって対応したんだけどな。そえそうソフィーくん、どうだったかな?」
するとソフィーは両耳をピンと立てて嬉しそうに言いました。
「はい。しーちゃんっていうとっても元気なお友達が出来ました。いろいろとお話し出来てとっても楽しいです。学園長、ありがとうございます」
「そう。それは良かったね」
学園長もにこにこしながらそう言うと、ふと思い出したように付け足した。
「そうだ、ソフィー。もしも何か困ったことがあったら、いつでも僕の所に相談においで。いつでも、ね」
このとき、学園長の目は笑っていなかったのですが、気付いた者はほとんどいませんでした。
それからしばらくたったある日。
パタパタパタという音がしてソフィーが廊下を駆けて来ます。
「大変、大変」
そう言いながら学園長室の前に着くと、ふーっと息を整えてからコンコンとドアをノックしました。すると、
「どうぞ」
柔らかい声が聞こえてきます。それにほっとした顔でドアを開けました。
「失礼します」
「あれ、ソフィーちゃん? どうしたの。たしか休憩時間だったよね」
不思議そうに聞く学園長に、トトトッと走り寄ると、
「学園長。大変なんです。しーちゃんが家出しちゃう!」
「はい? ……とりあえず落ち着いて、大丈夫だから。ほら、座って話そう?」
珍しく一瞬目を点にした学園長は、ソフィーを落ち着かせようとソファーに座らせると向かい側に腰を下ろし、
「話してごらん」
そう言ってにっこり微笑みました。
「……なるほどね」
ソフィーが身ぶり手ぶりを交えながら一生懸命に話すのを、学園長は黙って聞いてくれました。
「それで、ソフィーはどうしたいの?」
そう聞かれてキュッと唇を結ぶと、学園長をまっすぐに見つめます。
「学園長。わたし、しーちゃんが危なくないようにしたいんです。しーちゃんのおうちの人が留守の間、ここに来てもらうことは出来ませんか?」
学園長は少し考え込む仕草を見せました。
「……あのね、ソフィー。実はしーちゃんはこの世界とは別の世界にいるんだ」
「現実世界でも幻想世界でもない世界ですか?」
「そうだよ。しーちゃんがいる世界は、簡単に行き来出来るほど近くにはないんだ」
ソフィーの耳が微かに小さく震えました。
「じゃあ、しーちゃんには会えないんですね」
しょんぼりしていると、学園長の口元が引き上がります。
「でもね、門を設置すれば大丈夫だよ。僕に任せなさい。せっかくソフィーが頼ってくれたんだし……そうだ、次のお休みの日に来てもらうのはどうかな?」
「え、本当ですか? 学園長ありがとうございます! さっそくしーちゃんに伝えますね」
そう言って立ち上がろうとすると、
「ちょっと待って、ソフィー。タブレットを見せてくれるかな?」
キョトンとしながらもイチゴのショルダーバッグの蓋を開けてタブレットを取り出すと学園長に手渡しました。
「ああ、やっぱりね。ソフィー、僕からもしーちゃんに伝えたいことがあるから、ここで通話してくれないかな?」
ソフィーは目をパチパチさせてから、
「わかりました」
と言うと、アプリを立ち上げて通話ボタンを押しました。直ぐに通話に切り替わり、
「もしもし?」
しーちゃんの声が聞こえてきます。ソフィーはすうっと息を吸うと言いました。
「あのね、しーちゃん。そのお休みの日、遊びに来ない?」
「……はい?」
異世界通話がグレードアップ。初めてのビデオ通話がどうなるのか、続きはまた二週間後。投稿時間は10時を予定しています、
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それではまたお会いしましょう。
本編の宣伝です。
しーちゃんが登場する物語
「We are enlister. Save the princesses of Emulia. ─古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─」
はこちら
https://book1.adouzi.eu.org/n5917gw/
ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
https://book1.adouzi.eu.org/n3370hf/




