6 魔法使いへの道は険しかったよ……
「つ、疲れたー」
生徒会室を出たあたしは、のろのろと階段へ向かった。
── あれ? そういえばソフィーちゃんどうしたのかな。実験室に来てないよね?
廊下を戻って覗いてみたけれど、ソフィーちゃんはいない。
──おかしいなー。ソフィーちゃんきっちりしてるから約束を破ることなんてないと思うんだけど……。図書館で何かあったのかな?
ちょっと心配になりながら二階まで降りてくると、特別寮の方から歩いてくるソフィーちゃんがいた。
「ソフィーちゃん、良かったー。遅いから心配したよ」
「ごめんなさい、しーちゃん。美桜ちゃんが何度も抜け出そうとするからしばらく図書館から出られなかったのよ」
「あー、そうじゃないかとは思ってたけどやっぱりかー」
「うふふ、しーちゃんが魔法を使うお手伝いをしたいからがんばるって言ってたわよ」
「はっ、そうだった。美桜ちゃんに鍛錬の仕方を教えてほしいってお願いしてたんだ。ソフィーちゃんは教えてもらったことあるんだよね?」
「うん、少しだけ教えてもらったから毎日トレーニングしてるわよ」
「ね、ソフィーちゃん、それ教えてもらえる?」
「え? わたしが?」
ソフィーちゃんの耳がピンと真っすぐになった。
「わたしが教えてもらったのってほんのちょっとよ」
「あたしはそのちょっとも知らないんだよ。ね、お願い! ソフィーちゃん」
「え、ええーっと、うまく教えられないかもしれないけど、いいの?」
「どんなちょっとのことでもあたしには宝物だよ! 魔法使いになるためなら、なんだってするよ!」
「しーちゃんの用事は終わったの?」
「うん、今日のところはね。だから、お願いします!」
「わかったわ。おやつの用意も終わったから少しだけね。それじゃ東屋に行こうか」
それからあたしはソフィーちゃんと噴水の近くの東屋に行き、少しだけ鍛錬の方法を教えてもらった。
魔法を使うには、心・技・体を整えることが大切なんだって。ソフィーちゃんが教えてもらったのは心を鍛える方法らしい。やり方を教えてもらって、ソフィーちゃんの前でやってみた……んだけど。
「む、難しいっ!」
「しーちゃん、お話したらダメだよ」
── し、静かに瞑想するってあたしには向いてないっ! くうぅ、これも修行だ!
ってがんばってみたけど、一分も続かなかった。
「ああ、ダメだー! 難しすぎるよ」
するとソフィーちゃんがクスクス笑った。
「ふふ、しーちゃんにも苦手なことってあるのね」
「あたし、じっとしてるより体を動かす方が好きなんだよ。……ねえ、これ続けないとダメ?」
「魔法を使うには心を落ち着けて魔力と向き合うこと、って教えてもらったわよ」
── 心を落ち着けて思念波を感じ取るって考えたらいいのかな?
あたしはもう一度目を閉じて、ソフィーちゃんの思念波を探ってみた。
『なんにでも一生懸命になれるしーちゃんっていいね。もっと教えてあげられるといいな』
── なるほどー。思念波はうまく使えるようになりそう! ……だけど、これは魔法になるのかなー?
──新たな謎に直面した気がするよっ!
「しーちゃん、そろそろ美桜ちゃんたちを迎えに行かない?」
「そうだね!」
美桜ちゃんはやる時はやるタイプだったみたいで、図書館にいる間にのこりの半分の課題を終わらせていた。
「今日中に終わらせて明日からはたーっぷり遊ぶのです!」
力を込めて言うから、
「あ、ごめん美桜ちゃん。明日は来られないんだ」
って答えると、
「なんですとー!」
── いや、この世の終わりみたいな顔されても困るんだけどっ!
すごいリアクションされちゃったけど、こればかりはどうしようもない。
「明日はうちとれーちゃんの父さん母さんと一緒に遊びに行くんだよ」
「『ハルヴェストの丘』っていう動物と触れ合えたり、観覧車や芝すべりなんかもあるところに行くんだよ」
「ずるいのです! 美桜も行きたいのです!」
「美桜、わがままを言わないで。あなたが行けるわけがないでしょう」
すると、美桜ちゃんがニヤリと笑った。
「ふ、ふ、ふ、イイコトを思いついたのです!」
── あ、嫌な予感っ。
さて、美桜ちゃんは何を思いついたんでしょう?
二週間後をお楽しみに。またお会いしましょう!




