15 やっぱり迷子
美桜ちゃんと迷宮図書館を探検! のはずなのですが……。
「さあ、それでは探検に行くのです! しーちゃん、れーちゃん、行きますよ」
「あ、私はさっき中に入ったから。それに、この本読んでしまいたいの」
「えー、つまらないのです」
「美桜、わがまま言わないの。それに、ここの図書館は……」
「仕方ないのです。それじゃしーちゃん、ソフィーちゃん、行くのです」
「え?」
美桜ちゃんは返事をする暇もなく、あたしとソフィーちゃんの手を取ると猛ダッシュで迷宮図書館の入口をくぐってしまった。
「えーっ!」
あまりの速さに、あたしの足が何度も宙に浮く。
── あー、引き摺られるのって、こんな感じなんだー……。ソフィーちゃんごめんね。これからは気をつけるよ……。
どんな脚力をしているのか分からないけれど、あたしが敵う速さじゃない。呆気に取られているうちにいくつもの本棚が瞬く間に通り過ぎていく。あきらめて引き摺られるままにしていると、急にピタリと美桜ちゃんが足を止めた。
「ふ、ふ、ふ。ここまで来れば大丈夫なのです」
「どういうこと?」
「美桜ちゃん。そんなに引っ張ったら、危ないよ」
「ソフィーちゃん、ごめんなさいなのです。でも、あのままあそこにいたらお姉ちゃんのうるさい注意を聞かなくてはいけないのです。それはめんどくさいじゃないですか」
「言乃花さんは、美桜ちゃんのことが心配なんだと思うよ」
「ねえ、それよりもさ、ここ、どのあたりなの?」
背の高い本棚が左右に並び、前にも後ろにも何列もの本棚がある。壁際の本棚は相変わらずどこまでも高くて、果てがないように見える。もう入口がどこかもわからない。
その時、美桜ちゃんが胸を張って言った。
「ふ、そんなの美桜が知るわけないのです。さあ、探検の始まりなのです! まずはこの本棚がどこまで続いているのか調べますよー!」
「あー、美桜ちゃん。この図書館、言乃花お姉ちゃんでもどこまで続いてるか分からないって言ってたよ。それに、この図書館に入ったまま行方不明になった人もいるって……」
「しーちゃん、何を言っているのです? だから探検するんじゃないですか! 大丈夫なのです。お姉ちゃんは風魔法が使えれば迷わないって言っていたのです。美桜に任せておくのです! それじゃあ、行きますよ!」
「美桜ちゃん、言乃花さんが心配していると思うよ。だから、戻ろう?」
「むむう。ソフィーちゃんに言われてしまっては仕方ないのです。それでは目的地をあの壁の本棚に変更するのです。あそこに着いたら戻ることにするのですよ」
「ああ、あそこね……」
「むっ。しーちゃん、なんなのです? そのため息は?」
「行ったらわかると思うよ……そうだ、美桜ちゃん。ここからは三人で手を繋いで行こう。でないと、迷子になるから」
「? なんのことかさっぱり分からないですが、仕方ないのです」
あたしたちは美桜ちゃん、ソフィーちゃん、あたしの順に手を繋ぐと壁に向かって歩き出した。
「な、なんなのです? この図書館は!」
歩き出してすぐに美桜ちゃんが叫んだ。
── まあ、そうなるよね。
まっすぐに壁を目指して歩いていたはずなのに、その壁がぐるぐる回って見えるんだもん。本棚と本棚の間の通路を、まっすぐに壁に向かって歩き出したはずなのに、周りの景色が歩くたびに変わっていく。目指していたはずの壁は、次の本棚の前に来たときにはもう向きを変えてしまっている。通路だって壁に向かって真っ直ぐに続いて見えているのに、歩き出すとぐねぐねと曲がりだしたりもする。
── だからここは迷宮図書館って名前なんだろうね。
「どうして道が変わるのです? はっ、美桜はわかりましたよ! 目くらましがかかっているのですね! それならば本気を出すのです!」
そう言った美桜ちゃんの体が桃色の光に包まれた。
「魔力には魔力で対抗するしかないのです。目指す壁はあちらですね。二人ともしっかり捕まっているのですよ!」
そうしてあたしとソフィーちゃんは、再び風に乗ることになった……。
── 美桜ちゃんのパワー、半端ないよっ!
最新話をお読みいただきありがとうございます!
今回は美桜が大活躍!?
しーちゃんは因果応報ですね(笑)
三人は無事に壁際に到着できるのでしょうか?
それでは、また二週間後にお会いしましょう!




