8 楽しい実験とれーちゃんの受難
実験を楽しんでいたしーちゃんですが……
そして、迷宮図書館に向かったはずのれーちゃんは?
それからあたしと師匠は受容体の検証を始めた。
師匠が魔法を放とうとするのを思念波であたしがどこまで感知できるのか調べる実験、魔力と思念波は違うものなのかを確かめる実験、あたしが思念波を魔法として使えるのかを調べる実験。実験、実験、実験……
「あー、もーっ! 無理無理無理ーーーーっ!」
「な、いきなりどうしたのだ詩雛くん!」
「実験ばっかりで疲れたよー、これ、いつ終わるんですか?」
「む? まだ半分も検証していないのだが」
「げっ……あ! そうだ、師匠すみません。ソフィーちゃんを待たせているので続きはまた今度ねっ!」
「あ、待ちたまえ我が弟子よ!」
師匠が呼び止めるのを無視して廊下に飛び出すと、一目散に特別寮へ向かった。
── もう、師匠は実験ってなると目の色が変わること忘れてたよ!
実験は面白いけどずーっとおんなじこと繰り返しするのには限界がある。
「でも、収穫はあったよね」
携帯ストラップに付いた受容体は一回り大きくなっていた。師匠の思念波をいーっぱい吸収したからだ。ま、これはこれで良しとしよう。
── さて、それじゃあソフィーちゃんと一緒にれーちゃんを迎えに行こうかな。
こんこん。特別寮のドアをノックすると、しばらくしてドアが開いた。
「いらっしゃい、しーちゃん。先にれーちゃんが来てるよ」
「うん、知ってるよ。先に行ってもらったんだ。さ、ソフィーちゃん、れーちゃんを迎えに行こうか」
「え? れーちゃんならさっき来たばっかりよ?」
「え?」
「え?」
二人して首を傾げてから、一緒に食堂に入っていくと、四人がけのテーブルでぐったりとうつ伏せになっているれーちゃんがいた。背中から魂が抜けかかっているように見える。
「れーちゃん、どうしたの? 大丈夫?」
声をかけるとゆーっくりと顔を上げた。……あ、目がしんでるよ、れーちゃん……。
「あ、おーかーえーりー」
……あ、これ、ひょっとして……。
「ねえ、れーちゃん。迷宮図書館に行ったんじゃなかったの?」
確かめるために聞いてみると、ゆっくりと体を起こしたれーちゃんが言った。
「うん、そのつもりだったんだけど、階段のところでリーゼさんに会ってね」
「あ、察した。根掘り葉掘りいろいろ聞かれたんでしょう」
そういえばれーちゃんは人形ハウスも持ってたっけ。小さな動物が主人公の着せ替え人形で、れーちゃんは家族の人形とそのお家、店員さんがセットになったアイスクリームショップも持っていたっけ。たしかその人形の家族はうさぎだったはずだ。
リーゼお姉ちゃんって、見た目はクールビューティーなんだけど、ものすごーくぬいぐるみ好きなんだよね。特にソフィーちゃんと同じうさぎのぬいぐるみには目がないんだ。
れーちゃんが大きなため息を吐いて言った。
「そうなの。私の持ってる人形の話を聞かせてほしいって言われて、そのまま生徒会室でずーっとその話を……つかれたー」
れーちゃんがまたぺたりと机に貼り付いて動かなくなった。
前にあたしが捕まった時は、いつもとリーゼお姉ちゃんの目が違っててちょっとアブナイ雰囲気を感じたから、簡単に説明して逃げたんだった。その時に、『あたしよりれーちゃんのほうが詳しいんだよね。れーちゃんはお人形ハウスも持ってるんだよ』って、言ったな! そういえば! ……よし、このことは黙っておこう。そうしよう。
その時、ソフィーちゃんが厨房から出てきた。
「うふふ、リーゼさん、れーちゃんが来るのを楽しみにしていたのよ。前にしーちゃんからね、『れーちゃんがお人形ハウスを持っている』って聞いていたんですって。『そのお話をぜひとも聞かなくちゃ!』ってすごく嬉しそうに言っていたわよ。はい、おつかれみたいだからはちみつ入りのホットミルクをどうぞ」
「しーちゃーんーーー?」
「あっ、帰って自由研究の続きしないと! さ、れーちゃん、今日はそれ飲んだら帰ろうか!」
「その前に。ちょっと、リーゼさんに言ったのしーちゃんだよね?」
「わー、ごめんなさーい!」
ソフィーちゃんが騒ぐあたしたちをクスクス笑いながら見ていた。
迷宮図書館にたどり着けなかったれーちゃんでした(笑)
次回は行けるといいね!
それでは二週間後にお会いしましょう。
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しーちゃんが登場する物語
「古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─We are enlister. Save the princesses of Emulia. ─」
はこちら
https://book1.adouzi.eu.org/n5917gw/
ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
https://book1.adouzi.eu.org/n3370hf/




