7 実験失敗? いえいえさっすが師匠!
プロフェッサー芹澤に異世界人との顛末を話すしーちゃん。さあ、実験開始!?
「あのね、師匠は思念波って知ってますか?」
「思念、波だと? ふむ、検証したことはないが理論としてならば存在証明は簡単に出来るな。着眼点としては面白い観点だが、我が弟子はずいぶん難しい言葉を持ち出してきたものだ。だが、それがどうかしたのか?」
「はい、実は……」
あたしは昨日出会った異世界人のこと、思念波を集めなければいけないことを説明した。
「ふむ、思念体か。おそらくそれは意識体または幽体、確かに通常長時間存在し続けるには肉体への過負荷が大き過ぎる在り方ゆえ検証は控えてきたのだが、肉体を通常通りに機能させておけるならば可能な状態変化とも言えるか。ならば……」
師匠はいきなりつかつかと黒板に向かうと、ものすごい勢いで何か書き始めた。よ、読めないー!
「すいません、師匠! 読めないので説明お願いします! 師匠、師匠ーーーっ!」
ものすごく集中しているのかちっとも反応してくれない師匠に思わず駆け寄って腕をぐいぐい引っ張った。
「おっと、すまない。興味深い観点だったものでつい検討を始めてしまったようだ。それで何かね? 詩雛くん」
「だから、この思念波ってそんなすごい力があるの? 本当に大災害を止めることができる?」
「ふむ。詩雛くんはその思念波を受容体に集め、自然災害を防ぐ力として使いたい、ということだな?」
あたしが頷くと師匠は、
「ではその受容体とやらを検証せねばなるまい。渡してくれたまえ!」
師匠が大きな手を広げて差し出してきた。
「だ、だめだよ。他の人に触れさせちゃだめって言われてるんだ」
「なぜだ?」
「それは、わかんないけど……」
「なんだ、分からないのにだめなのか?」
なんだろう? 絶対に触らせちゃだめだって確信があるけど、それがなぜかはわからないよ……変なの。
「ふむ、では仕方がない。観察だけさせてもらうとしよう。そこに出すことはできるだろう?」
師匠はそう言って黒板の前の机を指さした。あたしは腰につけていたポーチからスマホを取り出して机の上に置いた。スマホにはじゃらじゃらといっぱいアクセサリーが付いている。ぱっと見て受容体がどれかわからなくするためだ。木を隠すなら森の中って言うよね? 大きな紫の熊のぬいぐるみとカラフルな房飾りをよけて、手作りのビーズアクセサリーを机の上に置いた。輪の形にビーズを繋げたもので真ん中に小さな穴の空いた白い石がある。あたしはその石を指さして言った。
「これが受容体です」
「ふむ、この石そのものが受容体であるのか? それともこの石に何か細工があるのか?」
「えーっと、石はもともと砂粒くらいの大きさだったんですけど、シュリーアさんが水色の光をとばしてその中に入れたの。そしたらその石が受容体になって、思念波を吸収できるようになったみたい」
「砂粒だと? これは小石くらいの大きさではないか」
「うん、成長するんだって。元の石の大きさと同じくらいまでは大きくなるって言ってたよ」
「ほう、では試してみるか」
師匠が手をかざして何か魔法を唱えようとした時、師匠の思念波を感じ取った。
『石よ、砕けろ!』
「わーーーっ!! ちょっと師匠、ストーーーップ!! 何砕こうとしてるんですか!?」
「何!? なぜバレたのだ?」
「師匠の思念波! もー、壊さないでよ! そんなことするならもう見せません!」
慌ててスマホをポーチにしまうと、
「何をする? それでは実験できないではないか!」
「だから実験って言いつつ壊そうとしたのは師匠でしょう?」
「だからそれが実験ではないか。私の思考したことを読み取れたのだろう?」
思わずぽんと手を打った。
「なるほど。さすがです、師匠!」
「当然ではないか。私を誰だと思っている? さて、それでは実験を続けようではないか!」
「はい。よろしくお願いします、師匠!」
芹澤と詩雛のやり取りは毎回書いていて楽しいです。
さあ、この実験どうなるんでしょう? どっかーんしてしまうのか? それとも?
二週間後をお楽しみに!
本編の宣伝です。
しーちゃんが登場する物語
「古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─We are enlister. Save the princesses of Emulia. ─」
はこちら 現在27話までとリンクしています。
https://book1.adouzi.eu.org/n5917gw/
ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
https://book1.adouzi.eu.org/n3370hf/
コラボは箱庭本編の少し先の物語になっています。
ブクマ、いいね、⭐️、レビューよろしくお願いします!




