22 心配してたけど大丈夫、かな?
師匠を心配していたしーちゃん。師匠の答えは?
「ね、ね、ソフィーちゃん。あれは実験室、これは『廊下を走るな』、そこの貼り紙は『爆発厳禁』で合ってる?」
「うん、しーちゃん。そう書いてあるよ。読めるようになって良かったね」
「すっごーい! さっすが師匠だよっ! ……ところでれーちゃん、さっきから何やってるの?」
あたしがちゃんと読めているかソフィーちゃんに確認してもらっている間に、れーちゃんはあちこちの文字を読みながら難しい顔をしている。あれは何か考え込んでいる時の表情だ。
── きっと、面白いことを見つけたに違いないよっ。
「れーちゃん、何考えてるの?」
「んーとね……ねえ、ソフィーちゃん。この世界の文字って一種類じゃないよね?」
「そうね、いろいろな文字があるわよ。数字と、それからしーちゃんたちが使っている文字と似ているものもあるね。んー、説明するのって難しいな。言乃花さんなら上手に説明してくれると思います!」
── ほほぅ。言われてみれば確かにそんな感じになってるよ。こっちの世界の文字は全然読めないって思ってたけど、似てるところがあるのかもしれないね。……ま、どうでもいいけど。
「ふうん。さすがれーちゃんだね、そんなことに気がつくなんて。でもさ、文字の違いが重要なんじゃなくって、読めるってところがすごいんだよっ! さっすが師匠ーっ! ……あ、そろそろ師匠に挨拶してあたしたちも戻らないと。そういえばソフィーちゃん、メイお姉ちゃんや冬夜兄ちゃんたちはどうしたの?」
「メイはリーゼさんのお手伝いをしているから生徒会室にいると思うよ。冬夜さんはレイスさんと一緒に鍛錬してるの。訓練室にいるんじゃないかな」
「え? それって魔法の練習してるの!? うわぁ、行ってみたかったなー」
「しーちゃん、鍛錬はすっごく危ないから近づいたら、め、なんだよ」
「ちぇーっ、ケチだ、ケチ」
「しーちゃん、そんな言い方したらだめよ」
「はーい」
あたしがソフィーちゃんと話しているのを、れーちゃんがなぜかクスクス笑いながら見ていた。
── なんで笑ってるのかな!
「師匠、ただいまー。すごいよ、この眼鏡っ! バッチリ読めたよー、って……あれ?」
実験室に入るとまた師匠が床に正座させられていた。その前に立つ言乃花お姉ちゃんの髪が少し前に流れていて、師匠の顔色が悪い。
「あら、お帰りなさい。眼鏡が使えて良かったわね」
振り向いた言乃花お姉ちゃんは普通にニコニコしている。お姉ちゃんが振り向いたら、師匠の顔色がすぐ元に戻った。
「はっはっは、私の作成したものに不都合などあるはずがなかろう。当然だ」
笑いながら立ち上がろうとして……見事にすっ転んだ。
── 師匠、学習しようよ。
隣でれーちゃんが目を丸くしている。
「む、またしても下半身が言うことを聞かぬではないか!」
「副会長。床で正座していたのですから当たり前でしょう。というかあなたの運動不足が原因では? 冬夜くんやレイスと一緒に鍛錬してみてはどうですか?」
「君は病み上がりの私になんという事を言うのだ!」
その言葉を聞いて、あたしは思い切って聞いてみた。
「師匠、現実世界で入院していたんでしょう? それってあたしが余計なことを頼んだから無理しちゃって、それで……」
その時、立つのをあきらめてあぐらで座った師匠がまた笑った。
「はっはっ、君が心配するようなことではない。君との実験は実に興味深い。それを私が負担に思うわけがなかろう。だが、心配をかけてしまったのだな、すまない。私は実験を始めるとつい寝食を忘れてしまうのだ」
「あなたのそれは自業自得です。レアさんからも言われていませんでしたか? 『毎日鍛錬を欠かさぬように』と」
「む、だから朝の鍛錬には参加するようにしているぞ!」
いつも通りの師匠の様子に、肩の力が抜けて笑ってしまった
「ふふ、良かったー。元気そうで安心したよっ。師匠、もう絶対無理しないでよねっ」
「弟子に言われては仕方あるまい。善処する」
「しーちゃんとプロフェッサー芹澤って仲いいね」
れーちゃんが話しかけて来たので得意になって胸を張っていると、ソフィーちゃんが言った。
「しーちゃんはこの世界に来たら必ずプロフェッサーさんのところに来てるのよ」
「そして、必ずと言ってもいいほどこの部屋でアレが起こるのよ……」
「アレって?」
「ふふ、そのうちわかると思うわよ」
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しーちゃんが登場する物語
「We are enlister. Save the princesses of Emulia. ─古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─」
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ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
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