19 憧れの迷宮図書館
猫にマタタビ
れーちゃんに本
by 詩雛
「ここが、迷宮図書館……」
入口を一歩入っただけで、れーちゃんの足が止まった。両手を組み合わせ、右、左、上から下までぐるーっと視線を動かしている。
迷宮図書館は入口から奥のカウンターまでの間が閲覧室になっていて、低い本棚がいくつも置かれているんだ。本棚の上の段や棚の上には表紙が見えるように置かれた本が並べられている。いろんな本があるみたいだけど、文字が読めないから何をオススメされているのかなんてさっっぱりわからない。はずなのにっ!
── どーしてそんなにキラキラ目を輝かせてるのかなっ!?
「うふふ、れーちゃんって本当に本が好きなのね」
ソフィーちゃんがクスクス笑いながらそう言うと、
「あら、しーちゃんいらっしゃい。しばらくぶりね」
カウンターの手前にある丸テーブルのほうから声が聞こえたけれど、テーブルの上に本が山積みにされていて見えない。その山の向こうから言乃花お姉ちゃんが出てきてれーちゃんに声をかけた。
「こんにちは、ようこそ迷宮図書館へ。あなたが詩雛さんのお友達かしら?」
「あ、こ、こんにちは。はじめまして守川 怜奈です。たくさん本があって素敵な図書館ですね!」
緊張したれーちゃんが、カチコチになりながら挨拶した。でも、目はキラッキラのままだ。言乃花お姉ちゃんが優しい声で言った。
「ここは閲覧室よ。迷宮図書館はあの奥にあるわ。はじめまして、椿 言乃花です。言乃花って呼んでね。怜奈さんは本が好きなのかしら?」
「はい、大好きです! 本を読んでる時は他のことを全て忘れちゃいくらい好きです。こんなにたくさんの本! 読めたら素敵ですよね」
「そうね。本は知識の泉ですもの。良かったら私が読んであげましょうか?」
「え、本当ですか?」
「怜奈さんはどういった本が好きかしら?」
「私は……」
「はーい、そこまで。ストップだよ! れーちゃん、今日は学校の案内に来てるんだから本を読むのはまた今度ね。れーちゃんが読み始めたらぜーったいここから動かなくなるからねっ!」
「あら、残念ね。怜奈さんまたいらっしゃいね」
「はい、ありがとうございます。ぜひ! そうだ言乃花さん、私に文字も教えてくれませんか? ここの本が読みたいです」
「そういえば言葉が違うのだったわね」
── まったく、油断も隙もないよっ!
れーちゃんに本は猫ちゃんにマタタビ渡しちゃうようなもんだからね。あぶないあぶない。
── こっちの世界の文字かー、そういえば師匠に頼んでたアレ、どうなったかな?
「そうそう、この後師匠のところに行くから聞いてみようと思ってたんだよ。例のものが完成したかどうか」
「師匠? それに、例のものって?」
れーちゃんがキョトンとしながら聞いてきて、言乃花お姉ちゃんも首を傾げている。
「うふふ、プロフェッサー芹澤はしーちゃんが来るのをとても楽しみにしていたみたいよ。しーちゃんが来たら実験室に来てほしいって言ってたから、完成したのかもしれないね」
「え、ソフィーちゃん本当? うわー、たっのしみー!」
── ついに完成したのかな? ふ、ふ、ふ、これはあたしよりもれーちゃんがもーっと喜びそうだよねっ。
「よし、そうとなればさっさと出発しよう! 言乃花お姉ちゃん、またね」
「あ、詩雛さん少し待ってくれるかしら。私も副会長のところに用事ができたわ。一緒に行くわね」
あたしたちは四人で師匠の実験室に向かうことになった。迷宮図書館を出て噴水のところまで戻り、降りてきた階段を三階まで上がると実験室はすぐ目の前だ。ガラリと戸を開けて、
「こんちわー、師匠お久しぶりです! 来たよーっ!」
と声をかけた。中には相変わらず白衣を着てボサボサ髪の師匠がいる。
「おお、わが弟子詩雛くん待っていたぞ!」
「師匠もお帰りなさい! 二つの世界に行ってきたんだよね? お話聞きたいです」
「さすがは詩雛くんだ! ぜひ私の実験成果を聞かせてやろうではないか」
「副会長、その前にこちらの方を紹介します。詩雛さんのお友達の怜奈さんです」
「む? なんだと? また一人サンプルが増えるのか! さすがはわが弟子だ。怜奈くんと言ったな? それでは実験を始めようではないか!」
「え? 実験? え?」
── 師匠、相変わらずだね。
グイグイれーちゃんに迫っていくから、れーちゃんがびっくりして固まっている。その隣では言乃話お姉ちゃんが手を額に当ててため息を吐いていた。
── あー、この賑やかな感じ、また学園で楽しい生活が出来るんだって実感がわいてくるよ!
── 今年の夏休みは、いーっぱい楽しいことが起こりそうだよっ!
学園メンバーが次々登場してきました。
次回はプロフェッサー力作のアレが登場しますお楽しみに。
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それではまた二週間後の金曜10時にお会いしましょう!




