10 師匠からの呼び出し
転移がテンプレになりました(笑)
パンペルデュパーティーが終わってからも、あたしは週に一度くらいのペースで学園に゙お邪魔していた。放課後、家に帰ってきたタイミングでソフィーちゃんから連絡が来るのが合図みたいになっていて、その時間に連絡が来ると転移して学園にお邪魔している。
もちろんソフィーちゃんは毎日連絡をくれる。おしゃべりだけの時は、夜寝る前にスマホが鳴るんだ。その日にあったことをお互いに話す時間は本当に楽しい。だいたい東屋から通話してくれるので、ソフィーちゃんは花壇の様子も見せてくれる。あたしがあげたコスモスは順調に背が伸びていて、それをとっても嬉しそうに報告してくれるよ。
放課後の連絡は、おやつのお誘いだったり、放課後クッキングのお誘いだったり。だけど、ここのところは師匠からの呼び出しが多い。
── 最初の呼び出しの時はすごくびっくりしたよ……。
その日は放課後にスマホが鳴った。自分の部屋でランドセルを降ろしたと思ったら、机の上のスマホが大きな音を立てたんだ。
「わ、びっくりした」
異世界通話の通知音は電話アプリのとはメロディーが違うから直ぐに気付くんだけど、画面の「ソフィー」ちゃんの文字を見るまで学園のことはすっかり忘れちゃってるから、毎回びっくりする。
「あ、ソフィーちゃんからだ! 今っ日っは何のお誘いっかなー」
軽い気持ちでビデオ通話ボタンを押したら、画面が真っ青になっている。
── え、バグった!?
「プロフェッサー、しーちゃんですよ」
というソフィーちゃんの声とともに画面の青が動き、師匠の顔がドアップで映っていた。
「わっ、え、師匠!?」
「やあ、我が弟子詩雛くん、元気だったか?」
「はい、元気です! でも何で師匠がそこに?」
すると、ひょこっと師匠の後ろからソフィーちゃんが顔を出して、
「こんにちは、しーちゃん。今日はプロフェッサー芹澤さんからしーちゃんにお願いがあるんだって」
「我が弟子よ。先日依頼のあったアイテムについていくつか検証したいことがあるのだ。では、実験室で待っているぞ」
そう言うと師匠はタブレットの前からくるりと身を翻し、スタスタと遠ざかっていった。
── はて、依頼したアイテムって、何だっけ?
頭をコテンと傾げているとソフィーちゃんが、
「しーちゃん、プロフェッサーに何か作って欲しいってお願いしたんだよね? そのことで学園に来て欲しいみたいなんだけど、今から大丈夫?」
── そういえば、あっちの世界の文字が読めるようになりたいってお願いしてたっけ。すっかり忘れていたよ。てへっ。
「うん、大丈夫だよ。準備して実験室に行くね」
「待ってるね」
通話を切ると急いで学園に行く準備をして門に飛び込んだ。
実験室前で出て、忘れずに鏡を消す。
── この瞬間って自分が魔法使いになったみたいで毎回ワクワクするんだよね。
鏡が消えたのを確認して実験室に駆け込んだ。
「師匠! 来ましたー」
「おお、待っていたぞ我が弟子よ。早速だが協力してくれないか?」
「了解です、師匠! 何をしたらいいんですか?」
師匠の前の机には紙と鉛筆が用意してある。
「ここに今から私が読み上げるものを、君の国の文字で書いてくれたまえ」
「わかりました!」
言われた通りに師匠が話す言葉を紙に書き写した。その紙を見た師匠が眉を寄せる。それから紙を近付けてじっくりと見ている。
── どうしたのかな?
「君の国の文字は少々変わっているようだな。こことここで文字が変わっているように思うのだが?」
「え? そうですか? ……ああ、そっかー! 師匠、あたしの国の文字っていくつか種類があるんです。ここは、漢字って言う文字で、これはカタカナです。それから残りはひらがなっていいます」
「なるほど。実に興味深い! だがそうなるとかなり調整に時間がかかるな。こちらの文字に一番近いのはひらがなのようだが……。詩雛くん、検証のためにすまないが今の文章を三種類の文字ごとに書き直してくれないか」
「えーっと、ひらがなとカタカナには直せるんですけど、全部漢字には直せないです、師匠」
「ほう、そうなのか。更に興味深いな。では……」
あたしは師匠の実験室でなぜか日本語に苦戦するというなんだかよくわからない事態にはまってしまった。
── 説明するのってめんどくさいし、難しいよー! こういうのが得意なのはれーちゃんのほうなんだよー、助けてれーちゃーん、かもーん!
本編「絶望の箱庭〜鳥籠の姫君」最新話がこちらのコラボの初転移場面にリンクした内容となっています。
ソフィーがしーちゃんに引きずられてリーゼの怒りを買いましたが、本編では言乃花の妹美桜ちゃんにまたもや(笑)。
美桜ちゃんはしーちゃんと同い年。二人が出会うことはあるのか?
それではまた二週間後にお会いしましょう。
芹澤の作るアイテムとは?




