23 ちょっとチートすぎない?
今回で一章完結です!
「とりあえず『後で試す』、と」
画面をタップしてコマンドを消し、代わりに『ビデオ通話』を選択する。『呼び出し中』の文字がすぐに切り替わると、画面にはソフィーちゃんと学園長さんが映っていた。さっきの東屋みたいだ。
「ソフィーちゃん、ただいまー。ちゃんと無事に帰ってきたよ!」
心配そうにしていたソフィーちゃんがパッと笑顔になった。
『良かった。しーちゃん、今日はありがとう』
「こちらこそありがとう! 学園長さんもありがとうございました」
『身体は何ともないね? 転移酔いを起こすこともあるらしいけど、詩雛くんは大丈夫そうかな』
学園長の眼鏡の奥の瞳が優しく細められている。
── くぅー、優しくてイケメンで魔法使い! 学園長さん、スペック高いよ。
あたしはにっこり笑って答える。
「うん、何ともないよ。そうだ、あのねソフィーちゃん!」
『何?』
ソフィーちゃんが軽く首を傾げる。
── うう、やっぱりかわいー! お友達になれて良かったよ。
と、あぶないあぶない。大事なことを伝えないと。
「あたし、これからも学園に行けるみたいだよっ!」
みるみるソフィーちゃんの目が丸くなった。それから、パァッと花が咲いたみたいに笑う。
『ほんと? ほんとにまたしーちゃん来られるの?』
ソフィーちゃんの耳がフルフル震えている。すっごく喜んでくれてるみたいだ。
「うん、ほんとだよ! さっきこのアプリを開けたらメッセージが表示されてね、回廊が開きましたって」
『フフ、無事開通したみたいだね。詩雛くん、アプリで回廊を開いてさっきの呪文を唱えると鏡が出るよ。回廊の出口はいくつか選べるから、好きなところに繋げるといい。なるべく人の目に付きにくい場所にはしてあるけれど、学園に着いたら忘れずに回廊を閉じるんだよ。間違って学園の子がそちらの世界に行くと大変だからね』
「了解です。学園長さん、回廊って一回使ったら次はいつ使えるようになるの?」
学園長さんは、んー、と言って人差し指を顎に当てる。それからパチン、とウインクをして言った。
『確か一回の転移で千ポイントもらえる、だったかな?』
あたしは思わずあんぐりと口を開けてしまった。
── それって、行き放題ってことじゃん! 何このアプリ、もしかしなくても最強でしょ。
『しーちゃん、大丈夫?』
ソフィーちゃんの声でハッと我に返った。
── あまりのチートさにさすがのあたしもフリーズしちゃってたよ。
慌てて返事を返す。
「あ、ごめんねソフィーちゃん。ちょっとあまりのチート仕様にびっくりしちゃって」
『チートって何?』
「え? ああ、気にしないで。これからは行きたい時に学園に行ける! って思ったらうれしかっただけだよ」
何となく説明をはぐらかした。あんまり使って欲しくないな、って思ったから。ソフィーちゃんは嬉しそうにニッコリして言った。
『うん、そうだね。しーちゃん、これからもよろしくね』
「うん、よろしくね。ソフィーちゃん!」
そのとき、学園長さんが言った。
『さて、詩雛くん。これからはいつでも遊びにおいで。僕も楽しみにしているよ。それからあの呪文は僕と詩雛くんだけの秘密にしてくれないかな。他のメンバーに知られると面倒なことになりそうだからね。そうそう、ソフィーちゃんには君から連絡できなくなることは伝えてあるからね』
『しーちゃん、わたし毎日連絡するからね、大丈夫よ』
「うん、わかった。楽しみにしてるよっ。あ、そろそろ母さんが帰って来ちゃう。またね、学園長さん。いろいろとありがとうございました」
通話を切ると同時に、玄関のドアがガチャリと開く音がした。
「ただいま、詩雛」
「おかえりー」と答えながら階段を降りていきリビングに入ると、テーブルの上に買い物袋がのっていた。ヒョイと覗き込むと、袋の一番上にコスモスの種の袋がある。
「母さん、この種買ってきたの?」
台所で手を洗っていた母さんが答えてくれる。
「ああ、それ? スーパーで配ってたのよ。子どもの日のサービスみたい」
「これ、植えるの?」
「そのつもりよ。でもたくさん入ってるから余りそうなのよね」
── おお、これはラッキーじゃない? コスモスは秋の花だもん!
「じゃあさ、これ半分もらっていい? 友達にあげたいんだけど」
「いいわよ」
── やったね! これを持って次は遊びに行こうっと。
初めての転移が終わってみると、ここからが始まりでした。今回の話は、コラボ元の「絶望の箱庭」の最新話とリンクしています。
「箱庭」の閑話は、このコラボの少し未来のお話になります。
今回で第一章が無事完結しましたので、次回は記念回となります。本編「絶望の箱庭」全面協力のもとで豪華人物紹介をさせていただきますので、お楽しみに。
二章からは、いよいよ「古墳に入ったら異世界の……」
の本編ともリンクしていきます。
それでは、また二週間後にお会いしましょう。
本編の宣伝です。
しーちゃんが登場する物語
「古墳に入ったら、異世界の姫様の協力者にされてしまったので、日本を救って異世界に転生します! ─WE ARE ALLY. SAVE THE PRINCESSES OF EMULIA. ─」
はこちら
https://book1.adouzi.eu.org/n5917gw/
ソフィーが登場する物語
「絶望の箱庭~鳥籠の姫君~」
はこちら
https://book1.adouzi.eu.org/n3370hf/




