母との再会、そして…
「…お母様…。」
「ハナ…、『ママ』でいいよ…。あたしは『様』付けされる程偉くないしね…。」
サキは自分の事は『ママ』でいいと言った。
「ママ…、わたし…。」
サキは突然ハナを抱きしめた。そして、二人は涙を流した。
「逢いたかったよ…。長い間生き別れた娘のお前に…。」
サキは生き別れた娘にもう一度逢いたかったと言った。衛兵はサキが自分より身分の高いハナの事を『お前』と呼んだ事から怒り、抜刀しようとするも主であるブレンダン王に制止された。
「ハナ…、お前はあたしの虹だよ…!だって…、あたしがお腹を痛めて産んだんだもん…!」
「ママ…、今のわたしは…、『ハナ=サキ=スバル』なの…。セカンドネームはママの名前からとったの…。だってママは…、わたしの誇りだもの…。ママがいなかったら…、わたしはここに立つ事もかなわなかった…。だから…、ありがとう…。わたしを産んでくれて…。」
居合わせている者達の一部も涙を流した。
「ハナ…、最後にお前に伝えたい事があるんだ…。最後まで…、夫やみんなの力になってやるんだよ…!」
サキはハナに最後までみんなの力になるよう伝えた。
「はい…、ママ…。」
ハナは頷いた。抱擁を解いたサキはアレクセイの方を向いた。
「…娘を…、どうかハナを…、幸せにしてあげて下さい!」
「承知しました…。このアレクセイ=フォン=スバル…、夫として…、あなたの娘、ハナ=サキ=スバルを…、幸せに致すと誓います。」
アレクセイはサキにハナを幸せにすると誓った。
「ハナ…、あたしは失礼するよ…。あたし…、娘の晴れ舞台に立ち会えて良かった…。今までの事が報われた気がするよ…。さよなら…。」
サキは娘の晴れ舞台に立ち会えた事に喜びを感じて式場を後にした。これが母と娘の永遠の別れとなるのだった。
それから数年後…、ハナの夫アレクセイは家督を継承し、スバル国王に即位した。そして、ハナは王妃として夫を支え続けた。スバル王国は『昴王』ことアレクセイ王とハナ王妃の二人三脚の元で空前の発展を遂げていくのだが…、それは別の物語。




