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母との別れ

ブラーガルドのさるスラムの夜、一軒の古ぼけた家で一人の女性が一人の幼女を寝かしつけ、家を出た。


(『ハナ』…、『サキ』はまた行って来るよ…。娘のお前を養う金を稼ぎに…。)


金髪の長い髪に長身かつ吊り目で黒を基調とした服装に黒のハイヒールを履き、『カムイ』と揶揄される程のオーバーティーン(大人)の絶世の美女サキは今夜も富裕層の町に繰り出した。



一夜明け、ハナは目を覚まし、母がいない事に気づいた。


「ママ…、どこなの…?ハナ…、会いたい…。」


ハナは母親を家中探し回ったが、どこにもいなかった。


「ママ~、どこ~!?ハナ~、会いたいよ~!!」


ハナは泣きじゃくった。それからしばらくして、役人達がハナのいる家に踏み込んできた。役人達の中の紅一点がハナに歩み寄った。彼女は青い雫のチョーカーをしていた。


「初めまして、あなたがサキの娘ハナね?」


女性はハナに涙を拭く布を渡して、彼女にサキの娘であるか尋ねた。


「うん…。」


ハナは頷いた。


「わたしは、雫の騎士団団長マキュリーナ。あなたを保護しに来たの。」


マキュリーナはハナに保護しに来たと伝えた。


「えっ…?」


ハナは目を丸くした。


「もう大丈夫よ。これからは母に代わってわたし達雫の騎士団があなたの面倒を見るわ。」


マキュリーナは自分達が面倒を見るとハナに伝えた。


「ママはどうしたの!?」


ハナはマキュリーナに母の事を尋ねた。


「ごめんなさい…。それは話せないの…。」


マキュリーナはハナに母親について話せない事を詫びた。


「ママどこ~!?ハナ会いた~い!!」


ハナは再び泣き出した。マキュリーナは泣き出すハナを抱擁した。


「大丈夫…、わたし達雫の騎士団があなたを育てるから…。だから…、もう…。」


マキュリーナも涙を流した。母との別れの辛さを彼女も感じていたのだった。



泣き止んだ後、ハナは雫の騎士団に保護され、雫の騎士団直営の孤児院に預けられたのだった。ハナ、(よわい)3歳の出来事だった。

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