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異世界で魔王と呼ばれた男が帰って来た!  作者: 山口遊子


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87.食事会2、紹介


 さて、今日は、約束の食事会の日。


「美登里、おまえに話しておきたいことがあるから早めに家を出るぞ」


「分かったー。支度したくはできてるからいつでもいいよ」


「それじゃあ行こうか」




「母さん、行ってきまーす」


「二人とも気を付けてね」


 家を出て、事務所に向かった。美登里は単純に最寄り駅に行くものと思ってるだろう。


「ねえ、お兄ちゃん、話しておきたいことって何?」


「俺が今まで言ってなかったことを今日は美登里に教えてやろうと思ってな」


「ふーん。歩きながらじゃダメなの」


「目で見ながら話した方がおまえも理解しやすいだろうと思ってな」


「何だろうな?」


「それは後のお楽しみだ。それから、今日おまえが見聞きすることは、父さん母さんには今のところ秘密な」



 二人で歩いて、事務所のあるビルの前までやって来た。喫茶店『KIRI-YA』の前でもある。日曜にもかかわらずかなりの客が店の中にいるようでいつも通りの賑わいだ。


「お兄ちゃん、この喫茶店の名前『きりや』って読むのよね。たまたまうちと同じなんだろうけど珍しいよね」


「そうだな。たまたまだったら珍しいかもしれないな」


「?」


「エレベーターに乗るぞ」


「ビルの中に入っちゃうの?」


「5階に用があるんだ」



 5階でエレベーターを下りてすぐの扉が事務所の扉だ。俺は鍵を開けて先に中に入る。


「おい、美登里ついてこないのか?」


「どうして、お兄ちゃんがここの鍵を持ってるの?」


「俺が借りている部屋だから当然だろ?」


「え? ええ!」


「美登里、早く中に入って扉を閉めてくれ」


 恐る恐る事務所の中に入った美登里が部屋の中を見回している。机と、応接セットと大小の冷蔵庫、小さな流し台くらいしかない部屋だ。あとは、謎の扉か。


「お兄ちゃん、どういうこと?」


「俺は、4月からここを借りて商売をしてるんだ。下の喫茶店のオーナーは俺だ」


「ほんとなの?」


「本当だ」


「それが、お兄ちゃんがわたしに話したかったこと?」


「それもあるが、こっちの話しはおまけみたいなもんだ」


「何よ? もっとすごいことがあるの?」


「まあな。美登里、そこの扉を開けてみろ」


「その扉って、飾りじゃないの? その先は隣のビルだと思うけど」


「試しにその扉を押してみればわかる」


 俺に言われた通り、美登里が扉を押し開けて、そして固まった。


「……、お兄ちゃん! ここどこ? こんなところに入って行って大丈夫なの?」


「ビックリしたと思うが、まだまだ続くぞ」


 扉の前で固まってしまった美登里の手を引いて、目の前にそびえる管理棟に向かった。


「ここは、俺の秘密基地みたいなものだから大丈夫」


「お兄ちゃんの?」


「そう。俺の」


 口をぽかんと開けているのがなかなかかわいい。今日の集合場所は管理棟のいつも使っているテーブルのある小部屋にしているので、そこで待っていれば、そのうち中川たちも現れるだろう。


 美登里を連れて管理棟に入り、まっすぐな通路を抜け部屋の扉を開けると、アイン、ドライ、それにサヤカとモエのホムンクルス二人組が、左右に二人ずつ並んで俺たちを迎えてくれた。


「マスター、おはようございます。美登里さん、おはようございます」


 4人が一斉に頭を下げて俺たちに挨拶あいさつした。


「やあ、みんな、おはよう」


「お、おはようございます。あれれ? サヤカちゃんとモエちゃん? どうして? えっ? どうなってるの?」


「美登里、とりあえず椅子に座って落ち着け。みんなも楽にしてくれ」


 今日は全部で9人がこの部屋に集まる予定なので、やや大きなテーブルが部屋の真ん中に置かれ、10脚ほどの椅子が周りに並んでいる。


 今いる6人が適当に席についたところで、俺は美登里に異世界に召喚されて以降のことを話し始めた。


「……そういった感じで7年ほど向こうの世界にいたんだが、何とかこっちに戻る装置を作り上げることができたんだ。それを使ってこの日本に拉致された同じ時刻、同じ場所に戻って来たわけだ。むこうで7年分歳を食ってしまったので、そのままうちに戻るわけにもいかないから、戻る前にあるアイテムを使って7年分若返ってこの姿になったわけだが、目つきは変わらなかったようだな。4月の初めごろ急に俺の目つきが変わったっておまえも言ってたろ、あの時だ」


「うそ。でも、ここにいる人たちも、ここも普通じゃないし。お兄ちゃん、お兄ちゃんなんだよね?」


「当たり前だろ。それとな、おまえには黙っていたが、おまえの同級生の月島紗耶香ツキシマサヤカ工藤萌絵クドウモエはおまえのことを心配して俺が送り込んだホムンクルスなんだ」


「そうだったんだ。って、ホムンクルス?」


「そう。ホムンクルス。そこに座ってるドライ、今は猿渡玲奈と名乗ってるが、ドライの作り上げた人造人間だ」


「美登里ちゃん、黙っててごめんね」「美登里ちゃんごめん。でもわたしたちは美登里ちゃんさえよければ美登里ちゃんの友達だから」


「そうなんだ。かなりびっくりだけど、お兄ちゃんありがとう。サヤカちゃんもモエちゃんもそう言ってくれてありがとう。これからもよろしくね」


 美登里がホムンクルスの二人を受け入れてくれて、俺も一安心だ。早速、3人でおしゃべりを始めた。


 美登里が俺の話を理解してくれたようだし、そろそろ、中川たちも合流してくるだろうと待っていると、


「あはよう」「おはようございます」「おっはー」


 3人がそろってやって来た。


 3人の挨拶あいさつにみんな答えたあと、


「みんなそろったところで、俺の妹を紹介しよう。こいつが妹の美登里だ」


「霧谷美登里です」


「そっちの髪の毛の長い女性が中川春菜、俺の同級生」


「中川春菜よ、よろしくね」


「そのとなりが村田英雄。同じく俺の同級生」


「村田英雄です。お兄さんにはいつもお世話になっています」


「その隣のツインテールが吉田京子。中川の中学の時の同級生で村田とは小学生の時の同級生だ」


「吉田京子。よろしく。わたしのことは京子って呼んでね、美登里ちゃん」


「それじゃ、少し早いけど、そろそろ向こうに跳ぶか。みんな俺の近くに寄って、右でも左でもいいから俺の手を触ってくれるか。慣れてないと、急に周りの景色が変わると目が回るかもしれないから、美登里はいったん目をつむっていた方がいいぞ」


 美登里だけが何のことかわからないようだが、みんなを真似て俺の手に手を添えて目をつむった。全員の手が俺の手の上にあることを確認して、


『転移』


 俺たちは、タイペイに転移した。




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