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異世界で魔王と呼ばれた男が帰って来た!  作者: 山口遊子


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79.要塞化


 ちょっとした小遣い稼ぎをした翌日。



 今日も早くから事務所に顔を出した。


 事務所の扉を開け、まずは二人を見つけようと、ドライがいるはずの扉を開けようとしたら、扉が急に開いて中からアインが現れた。


「マスター、おはようございます。ドライからマスターがいらっしゃったと知らされましたのでお迎えに参りました」


「アイン、おはよう。で、そのドライはいま何してる?」


「拠点を要塞化するとか言って張り切って作業をしているようです」


「要塞化?」


「はい。今回私までこちらの世界に来た以上は、こちらの方が真の拠点になるのだと張り切っているようで、向こうの拠点からもかなりのものを持ち込んでいるようです。中を見てみますか?」


「あとでな。それで、アインは当面必要になりそうなこっちの世界の情報をドライから貰い終わってるよな?」


「はい。大抵のことは一人でも可能な水準で情報を得ています」


「それじゃあ、詳しい説明はいらないな。これがお前の戸籍謄本とそのほかの書類だ。えーと、名前は『氷枝冴子ひえださえこ』、24歳だ。お前のことだから、後は自分でできるだろ?」


 昨日窓口の男から手に入れた紙袋をアインに渡した。中身をざっと見たアインが、


「必要になれば、適当に住民票なども作ります。昨日注文した衣料品などが届きましたら、必要な手続きを済ませた後、自動車免許を取ろうと思います」


「お前ならすぐ取れるだろうな。あれって、免許センターに直接出向いてそこの試験に合格すればすぐ免許がもらえるんだろ?」


「そのようです。明後日の午後には免許を取得できると思います」


「そうか、そしたら車が欲しくなるな」


「私の方で良さそうな物を考えておきます」


「それじゃあそっちの方は取りあえず任せる。さて、ドライの様子を見てみるか」



 いつものドライの部屋のつもりで扉を開けて、中を覗いたのだが、あまりの光景に俺も久しぶりに口アングリをしてしまった。目の前には巨大な空間が広がっており、向こうの壁が見えない。はるか頭上には青い天井が見えるが、その真ん中あたりに太陽が輝いていた。まさか実際のダンジョンではないとは思うが、これでは、階層内のフィールド型ダンジョンだ。今俺の立っている出入り口の正面には、建設用のやぐらが数本立ち上がり、作業用ゴーレムがそこかしこで立ち働いている。


 辺りを見回していると、建設現場の方から、ドライがやって来た。


「マスター、おはようございますー」


「おはよう。でだ、これはどうなっているんだ?」


「拠点を要塞化しようとしたんですが、どうせ作るなら広い方が良いと思いこの大きさまで空間を拡張しましたー。このくらいの広さがあれば、将来的にも役立つと思いますー。現在は中央指揮室を設置する管理棟を建設していますー」


「えらいことになっているが、まあ、これはこれでいいだろ。それで、ドライはもうトレードの方はやめたのか?」


「いいえ、ノートパソコンはわたしの体内に取り込んでしまいましたー。わたし自身NETに常時繋がっていますー」


「結局そうなったか」


「NETで繋がったものなら世界中の機器をほとんど操作できますー」


「どういうことだ?」


「ほとんどの機器のファイヤーウォールを突破できますー。ヤル気になれば、いくらでも口座残高を増やせますー」


「取り敢えずそれはやめておけ。あとで大ごとになると面倒だ」


「今のはただの一例ですー。情報も好きなところから簡単に取ってこれますー」


「そいつはすごいじゃないか。だが、あまり強引にファイヤーウォールをこじ開けるとばれるんじゃないか?」


「一度、試してみましょうかー?」


「やめておけ」


「わっかりましたー」


「どっか座るところがないか?」


「申し訳ありませーん。管理棟の中に入れるようになるには今日の午前中いっぱいかかりますー」


「なら、事務所に戻るか。アインもついて来てくれ」


「はい」



 事務所のソファーにアインとドライを座らせ即席の朝会あさかいを始めた。


「アインの方は、こちらの世界で自由に動けるように、まず身の回りのことを早く片付けてくれ」


「了解しました」


「ドライ、拠点だか、要塞だかわからないが、結局どんな風になるんだ?」


「一応、建設を進めるため100体ほどのゴーレム兵をあちらから連れてきて作業に当ててますー。あとは、各種ゴーレム工場、ポーション工場、牧場、農園、養魚場などを作り自給自足能力を高めますー」


「いろいろ作るのは構わないが、何を想定してここまで作ってるんだ?」


「第3次世界大戦ですー」


「お前、なんか変なものでも読んだのか?」


「マスター、いつ何が起こるのかはわかりません。備えあれば憂いなしですー」


 やれやれ、どこで聞いてきたのか。それでもドライの言いたいことは分かった。


「それじゃあ、納得できるまでがんばってみろ」


「了解ですー」



「あと、二人に相談なんだが、俺の妹のことだ」


「マスターの妹さんですか?」


「ああ、今年中学に入学したんだ。中学は分かるだろ?」


「はい。存じています」


「どうも、学校でいじめにあってるらしい。今は周りから無視されているくらいだからどうということもないが、どのみちこんなものはエスカレートするだろう」


「それでしたら、妹さんに、ボディーガードを付けましょう」


「ボディーガード?」


「ドライが今作っているホムンクルスを見せてもらいましたが、何体か妹さんのボディーガードとして作り上げてしまい、中学生として同じ中学に通わせませんか? そうすれば、いじめなど跳ね返せると思いますが」


「戸籍はどうにかなるとして、同じクラスに編入させることができるかな。妹の中学は1学年4クラスあるぞ」


「何とでもなると思います。そこは任せてください。戸籍については、ドライが電子化された台帳なら改ざんも可能と思いますので、マスターの手をわずらわすことももはやないでしょう。そうですよね、ドライ?」


「はい。その程度でしたら簡単ですー。電子化されていなくても保管場所は簡単に分かりますから、何とでもなりますー」


「なんだか、凄いことになって来たが、妹の方も頼むな。ホムンクルスができあがるのは今月末だったか?」


「中学1年生の女子の体格なら、もう少し早めることは可能ですー」


「わかった。それも、よろしく頼む」





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