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異世界で魔王と呼ばれた男が帰って来た!  作者: 山口遊子


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77.アイン


 ドライがアインのために部屋を用意するのにどれくらい時間がかかるかはわからないが、早めにアインを呼んでおこう。



「ただいま」


「あら、誠ちゃん、お帰りなさい。今日は少し遅かったのね」


「帰りに少し寄り道したからね」


「そう。少しくらいの寄り道はいいけど、夕飯までには帰って来てよ」


「わかってる」



 台所にいる母さんと少し話をして、2階の自分の部屋に入った。妹の美登里は中学から帰って来て隣の自室にいるようだ。


 俺の部屋で部屋着に着替えていると、ドアの向こうから美登里が俺を呼ぶ声がする。


「お兄ちゃん、入ってもいい?」


「ああ、いいぞ。どうした」


「お兄ちゃんに相談があるの」


 美登里が俺のベッドに腰を掛けて喋りはじめた。俺は着替え終わって自分の机の椅子に座って話を聞いている。


「相談? できることと出来ないことが有るが取りあえず言ってみろ」


「あのね、お父さんやお母さんには内緒だよ」


「ああ」


「わたし、クラスの女子に仲間外れにされているみたいなの」


「どうしてそう思う?」


「わたしがあいさつしたり、話しかけても返事もしてくれないし、誰もわたしに話しかけてくれないの」


 それはひどい。確かに仲間外れ。いや、れっきとしたイジメじゃないか。


「そうか。なんで、そうなったのか美登里には心当たりはないか?」


「この前の休みに、男の子の友達と遊んでたんだけど、それが学校でうわさになってそれからみんなに仲間外れにされ始めた気がする。その男の子けっこう女子の間で人気がある子だから」


「要するに嫉妬されたわけか?」


「そうなんじゃないかな」


「それで美登里はお兄ちゃんにどうしてもらいたいんだ?」


「ううん。話を聞いてもらいたかっただけ」


「そうか。だけど、そんなことぐらいでおまえを仲間外れにするような連中だ。いまのうちに、ろくでもない連中だと分かってラッキーだったじゃないか」


「そうかもね。うん。そうよね。お兄ちゃんに話を聞いてもらって何だかすっきりした。ありがと、お兄ちゃん」


 美登里がすっきりしてくれたのはいいが、イジメはそのうちにエスカレートしていくからな。蜘蛛1匹だと心配だ。早めになにか考えなくてはいけない。


 今日はどうしようもない。美登里のことはあとで考えることにして、アインを先に呼んでしまおう。




 部屋に鍵をかけ、隠蔽いんぺい設置した転移陣から向こうの拠点に跳んで行き、前回同様アインのいる中央指揮室にそのまま現れた。


「マスター、どうしました?」


「お前を迎えに来たんだ」


「そうでしたか。マスターの指示通りこちらの準備はできています。

 フュア、中央指揮室まで来てください。

 それと、前回指示された、戦闘服ですが出来上がっています」


 アインがアイテムバッグを取り出し、それを俺に差し出した。


「ありがとう」


 受け取ったアイテムバッグから戦闘服一式を取り出し自分のアイテムボックスに収納しておいた。村田がこの服を着ることができるのは当分先のことだろうが、実物があれば励みになるだろう。


 アイテムバッグをアインに返してしばらくして、フュアがやって来た。


「マスター、お久しぶりです」


「ああ、それでフュア、アインから聞いていたと思うが、これからお前がここの指揮をとってくれ」


「了解しました」


「頼んだぞ」




 拠点内にはマナ供給回路をいたるところに張り巡らせている。マナが必要な魔道具はコンセント方式でマナ回路に接続することができて非常に便利だ。マナそのものは、マナ収集器でいくらでも集めてこれるので無コストで使い放題のエネルギーと考えられる。


 俺は別の次元の世界からこの世界ににじみ出てきている位置エネルギーのような何かがマナに変化しているのではと勝手に思っている。そのうち相手の世界が位置エネルギーを使い果たす日、つまりマナが枯渇する日が来るのだろうが、そんなのは何万年も先のことだろう。


「フュア、ドライが作った転移陣があるから、俺たちに用があったらそれで連絡してくれ。そうだなー。このあたりに転移陣をセットしておくか。マナを供給できるよう回路を壁のコンセントにつなげれば、これでOKだ」


 ドライから先日受け取った転移陣の片割れを、中央指揮室の脇の空いた場所の床の上に置いておいて、壁に取り付けてあるマナ回路のコンセントに転移陣から伸びたコードを繋げておいた。


「せっかく来たから、帰る前にポーション類を補充しておくか。アインはここで待っていてくれ」


 ポーションを仕舞ってある倉庫に転移した。倉庫の中にあるポーション類は特別なものを除き大瓶に入っているので、置いてあった大瓶を粗方あらかたアイテムボックスに収納した。これだけあれば、かなりの期間補充しなくてもいいだろう。


 その後、もう一度中央指揮室に戻って、設置したばかりの転移陣からアインとともに俺の世界に戻った。




「ここが、マスターの世界ですか? 雰囲気的にはあまり拠点と変わりませんね」


「ここはドライが空間拡張か何かして作った部屋だから、まだ俺の世界というほど俺の世界じゃないな。そこの間仕切りの向こうにドライがいるはずだ、行ってみよう」



「おい、ドライ。入るぞ」


「マスター、どうぞですー」


「ドライ、アインを連れて来たから面倒を見てやってくれるか?」


「ドライ、久しぶり」


「アイン、お久しぶりですー。まだ、為替のポジションをとっていませんから、ちゃっちゃとアインの部屋を作ってしまいますー」


「あと、アインがこっちで生活するために必要な情報をアインに渡してやってくれ。それじゃあ、俺は家に帰るから後は頼んだぞ」


「了解しました」「了解しましたー」



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