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異世界で魔王と呼ばれた男が帰って来た!  作者: 山口遊子


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40/111

40.大陸の人


 しかし、人の国に来てデカいツラをするとは気に喰わんな。ここにいる下っ端をどうこうしたところで大勢には影響ないかもしれないが、俺のやってることにケチをつけた連中だ。タダでは済まさんよ。


 4人ほどいる大陸語をしゃべるお兄さん。こんなのが道を塞ぐように立ってれば、真っ当な人間はこの道を通れないだろう。逆に、こいつらのおかげなのか路上には人気はない。


 それじゃ、ステルスを解きますか。


 いきなり目の前に現れた黒ずくめの俺に驚いた4人組がすっとんきょうな声を上げて騒いでいる。そのうちの一人が懐に手を入れ長めのナイフを構えた。いきなり刃物を抜くとは見上げたものだ。これまでさぞ多くの人に迷惑をかけて来たのだろう。


 最初に殴りかかって来た二人を、一人ずつ片手で首から吊るし上げてやった。バタバタと手足をばたつかせて俺を殴ったり蹴ったりしていたが、そのうち首が締まったのか気絶してしまい白目をむいて動かなくなった。


 所詮はただのチンピラ。そいつらをそこらに投げ捨て、残りの二人に向き直った。


 ナイフを抜いた男は少しは出来るかと思っていたのだが、俺の両手がふさがっているときに刃物で切り付けてくればいいものを、何を遠慮したのか様子を見ていた。それでは、いっちょ前の悪の戦闘員にはなれんぞ。


 ようやくナイフ男が俺に向かってナイフを突き出してきたところを軽くよけ、突き出たその手の手首をつかんで、軽く握手してやった。


 ゴキッ、ボキッ、グシュ。


 最後の音は俺の想定外だった。ナイフ男は骨粗しょう症気味だったようだ。あまり聞いてて気持ちのいい音ではない音といっしょにナイフ男の手首が潰れてしまった。悲鳴を上げないところは俺の見込んだ通り。カルシウムは足りないようだが根性はあるようだ。


 あれ? こいつじっとして動かないがどうした?


 よく見るとこのナイフ男、口から泡を吹いて気絶している。握った手を放したら、そのままバタンと倒れてしまった。おいおい、大陸の人、しっかりしてくれよ。


 最後に残った一人に振り向くとそいつは奇声を上げながら一目散にビルの中に逃げ込んだ。


 俺としては、そろそろ中から応援も来そうだし、往来での立ち回りは切り上げたいところだったのでちょうどよかった。ナイフ男が取り落としたナイフをアイテムボックスに仕舞い、道端で伸びている3人をビルの中に放り込んで、入り口の方に歩いて行く。3人を放り込んだとき嫌な音がしたと思ったら、手足があらぬ方向に向いているじゃないか。人をぶん投げればそういうことも起こり得る。


 さっき逃げ出した男だと思うがビルの中で大声でわめいている。上の方で人声や走り回っている音も聞こえ始めた。あの訳の分からない大陸語を近くで聞きたくないし、取り敢えず壊してから次のことを考えるか。


 まてよ、最近ビルをよく壊したが、そのせいで日本の建築技術が諸外国からわらわれては申し訳ない。ようし、今回はゴキブリ燻蒸くんじょう作戦で行くとしよう。なかなかナイスなアイディアだ。


『アンモニア』


 空気中の窒素と水蒸気からアンモニアガスを作り出す魔法だ。生成されたアンモニアの刺激臭が辺りを覆いビルの階段を伝わって上に昇っていく。俺にはもちろんそんなものは効かない。


 ビルの中にいた何人かは、ビルの横に付いていた非常階段から逃げ出せたようだが大部分は上へ逃げたようだ。


 さっきまでの騒ぎ声とは違い、咳やら怒鳴り声が聞こえ始めた。早く逃げないとアンモニア中毒になって肺がいかれるぞ。


 5分ほどアンモニアを生成してビルの中に満たしてやったところ、中から聞こえてくるのは咳だけだ。


『ピュアリフィケーション』


 これ以上続けると皆殺しになりかねないのでアンモニアガスをきれいに払ってやった。


「おーい、お前ら、皮膚がただれてるだけじゃなくて、放っておくとそのうち肺がやられて死んじゃうぞ。死にたくなかったら、俺から薬を買うんだな。1本50万だ。安いだろ。早いもん勝ちだぞ!」


 ビルの入り口から大声で上に向かって叫んでやった。日本語は分かるんだろ? 営業活動しながら階段を上っていくと2、3階には人気がない。4階に上がると、10人ほどが階段近くにいて咳をしながらえずいている。そいつらが赤くはれた顔をして俺を見上げるので、さっき叫んだのと同じようなことを言ってやった。


「放っておくと2、3時間で肺がやられて死ぬぞ。死にたくなかったら、俺から薬を買うんだな。1本50万だ。命の値段にしては安いだろ?」


 一人小太りで立派な服装をした男がいたので、キュアポイズン(弱)をアイテムボックスから取り出し無理やりそいつの口に突っ込んで飲ませてやった。顔を含め露出部分が赤く腫れて、今にも死にそうだった男が何事もなかったようにシャキッとした。


「今ノ薬、1本50万デ売ルノカ?」


「ああ、買うんなら急いだほうがいいぞ。骨の折れたやつが3人気絶して下にいるが、そいつは直さなくていいか? 今なら、1本100万でそいつを治す薬を売ってやってもいいぜ」


「金ヲ取ッテクル」


 小太り男が奥に引っ込んでしばらくして大きく膨らんだカバンを持って戻ってきた。


「コノ中ニ5000万入ッテイル。薬ヲモラオウカ」


「薬を売ってやる前に、ちょっと俺の頼みを聞いてくれよ」


「ナンダ、早クシロ」






最初、大陸系の人の言葉は広東語っぽく書こうとしましたが、あきらめて、日本語のカタカナにしました。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  何故だか分かりませんが、読んだ後清々しい気分になれました。  なんでだろう? 不思議だなー? (棒読み) [気になる点]  アンモニアどころかもっと凄い物も合成できそう。 [一言]  い…
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