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異世界で魔王と呼ばれた男が帰って来た!  作者: 山口遊子


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27/111

27.更地3


 コンクリートの破片や内装の建材の破片、事務所で使っていた机や椅子やキャビネットがなだれ落ちてくる。そういった瓦礫で腰まで埋まってしまった俺だが、なおも俺を生き埋めにしようと上からビルが崩れてくる。


 ビルが内部から崩壊していく大音響の破壊音を聞いていると、なんだか嬉しくなってきた。


「フフフ。ハハハ。ワハハハ」。これでは傍から見ると狂人だな。


『レビテート(浮揚)』


 ビルに入る前にかぶり直していたヘルメットや戦闘服の肩に音をたてて瓦礫がぶつかる。半ば瓦礫に埋まった体が少しずつ浮き上がり、最後に落ちて来たビルの屋上の部材の上に立つことが出来た。辺りは、もうもうとほこりが舞って視界がふさがれている。


 ビルが燃える幻影を見せられうの体で逃げ出した『花菱組』の連中なのだが、出口を出てビルが崩れ始めたところを目にしたとたん、火事の記憶を完全に忘れてしまったはずだ。


 ほとんどの連中が俺が吹き飛ばした窓ガラスで大なり小なり血を流していたが、どうして自分や周りの連中が血を流しているのかの記憶もなくしている。


 どちらも、幻影にそういうふうな術式を組み込んだから当然だ。


 自分たちが先ほどまで居たビルの崩落するさまを、吹き上がるホコリで真っ白になりながら、あっけに取られて眺めていた『花菱組』の連中のなかに、縦じまのグレーのスーツを着てエナメル靴をはいた偉そうにみえる男がいた。そいつに『ステルス』で接近し『スリープ』を掛けて小脇に抱え『転移』で拉致してやった。


 転移先は、先日村田が拉致られた廃屋だ。


 今日は誰もいないようで、うまい具合にそのままになっていた村田が縛りつけられていたスチール椅子にそのおっさんを座らせる。


 目を覚まして騒がれても面倒なので、アイテムボックスの中に入れていたロープで手足を椅子ごと縛りあげたあと、『レストア』で目を醒まさせた。


「おっさん、あんたは『花菱組』のお偉いさんかい?」


「なんだ? お前は! 俺にこんなことをしてただで済むと思ってんのか?」


 いくらヤの付く専門職のおっさんがドスの利いた声ですごんで見せても、俺には効かんよ。


 おっさんがロープで椅子に縛りつけられていることに気付いたようで、椅子をがたがたさせるのが非常にうるさい。


「煩い!」


 ということで、おっさんの座ったスチール椅子を蹴っ飛ばしてやった。

 当然おっさんは椅子もろとも吹っ飛んだ。スチール椅子が可哀そうなことにひん曲がってしまった。


「おっさん、立場をわきまえろ。俺がおっさんに聞いてんだよ!」


 おっさんは少しは反省したのか、それとも吹っ飛ばされた痛みに耐えているのか、おとなしくなった。


「それじゃあ、さっきの質問にさっさと答えてくれよ」


「俺が、『花菱組』の花菱だ」


「ふーん。あんたが組長さんか。手抜き工事かなんかであんたのビルが崩れちゃったんだけど、どんな気持ちだ? 崩れる前に逃げ出せて良かったろ? あんたんところのトラックが突っ込んだ家の中には人が居たんだぞ」


 廃屋のコンクリートの床の上に転がっている花菱組長の前に、しゃがみ込んで強い口調で言ってやった。


「……」


 影山が黒であることは分かっているので、確認を取る必要もないが念のため確認しておこう。他にもオシオキの必要なヤツがいたら片手落ちだからな。


「それで、誰に言われてあんなことしたんだ? こいつだろ?」


『金村建設 社長室 課長 影山正文』と書いた名刺を花菱組長の鼻先にまで持っていき、


「正直に言った方がいいぞ、あんたの自宅も手抜き工事が思わぬところで発覚するかもしれないぜ」


「お、お前がうちの事務所を壊したのか?」


「おっさん、何度言ったら分かるんだ? 聞いてんのは俺の方なんだよ」


「……。お前の言う通り、金村建設の影山から金で頼まれた仕事だ」


「最初から言えよ。それでも、ちゃんと聞いたことに答えてくれて褒めてやるよ。それじゃあ、次はおっさんの自宅がどこか教えてくれよ」


「俺の家を壊すつもりなのか?」


「そのつもりだけど、それがどうした? お前は金欲しさで、人の家へトラックを突っ込ませたんだろうが!」


 他人の家は良くて自分の家は良くないってか。笑わせる奴だ。


「おっさんが言いたくないなら、それでもいいんだぜ。家の一軒や二軒いつでも更地に出来るからな。家の方が良かったと後悔してもおそいからな。それじゃあせいぜいいい夢を見な」





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― 新着の感想 ―
[良い点]  報いを受けるべき者が相応の報いを受けるというのは、やはり 読んでいて痛快ですね。  人(読者)は根本的に復讐物を好むものという事でしょうか。 [気になる点]  しかし不思議なもので、森本…
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