13.入学2日目2
2日目の今日は、午前中の健康診断と身体測定で終了した。明日からの土日を挟んで、授業は月曜日から本格的に始まる。
教室のロッカーにかけていた制服の上着を着て下校したのだが、今日も村田と一緒だ。
最寄りの駅の出口で、
「またな、村田」
「それじゃあ、桐谷くん、また来週」
と言って村田とは逆方向に別れたのだが、堅気にはとても見えない二人組の男が村田に近づき何か話しかけている。なんとも村田はトラブル体質のようだ。放ってはおけないが今のところしゃしゃり出る訳にもいかないので、取りあえず立ち止まって聞き耳を立て様子を伺うことにした。
「お前が村田だな。海原と金村がお前のせいで大けがしたらしいじゃないか。落とし前を付けてもらおうか」
「おとなしくそこの車に乗りな。なあに、少しばかり痛い目に合ってもらうだけだ」
村田の足がプルプルと震えているのが分かる。
あの馬鹿どもが怪我をしたのは、村田のせいじゃないだろ! 自爆だろ! 村田に何をするつもりだ? 用があるなら俺のところに来いよ。モブA、Bは暴走族かなんかの関係者だったのか? まあ、目の前の二人組がそういう連中ならこっちとしても話が早い。
ここからでは二人組の顔は見えないが、目つきも悪いに違いない。こういうやつらは気兼ねなく成敗できる。なんにせよ俺が気兼ねはするわけないがな。
俺の周りの人間にちょっかい掛けるとは、いい度胸だ。今に後悔させてやるよ。
村田が二人組に連れられ、黒いワゴン車に無理やり乗せられてしまった。
これはいかん。俺もついでにワゴン車に乗せてもらえばよかった。
いったん、近くで一番高いビルの屋上に短距離転移し、そこの給水タンクとビル用のエアコン室外機の横で、戦闘服に着替えた。着替えはアイテムボックス経由なので一瞬でできる。戦闘服にそろいのフルフェイスヘルメットもかぶり顔は隠しておいた。
俺の戦闘服は基本的にはフュアたちと同じものだが、彼女たちの戦闘服にはマナ吸収機能を持つ白線が1本だけしか入っていない。それで必要十分だからだ。俺の戦闘服には白線が2本入っている。俺に必要十分な量のマナを吸収するため高性能版の戦闘服をきているわけだ。
久々に着た戦闘服の感触を確かめるように、手のひらを握りしめると、スーツと一体化した手袋がキュッと鳴った。
村田を乗せたワゴン車はまだそんなに遠くに行っていない。連れ去られた村田には、マーキング済みなので、どこに連れて行かれようが居場所はわかる。
それにしても白昼堂々の拉致とは恐れ入った。何人もの人が目撃しているというのに。まあ、ああいった目つきの悪い連中は後先考えないバカと相場はきまっている。誘拐となると、この国では相当罪が重いはずだが、割に合うのか? 駅の横には交番も建っているのによくやるよ。まあ、俺は警察沙汰にはしないが、それ以上に連中は後悔すると思うよ。その方が面白いし。
1キロほど走って、ワゴン車が止まったらしい。村田は何かの建物の中に連れ込まれたようだ。
それじゃあ、そろそろ行きますか。
ワゴン車の上に転移。
ボコン。
足下のワゴン車の屋根が俺の重みで凹んでしまった。こういうこともある。
ワゴン車の屋根から、村田が連れ込まれたと思しき、昔は車の整備工場だったような廃屋の入り口に飛び降りた。
ボコン。
飛び降りた反動でまた車の屋根が大きく凹んでしまったようだ。俺のせいじゃないぞ。俺の足の下に車を置いたヤツが悪い。
ボコン。ボコン。の異音で気が付いたのか、廃屋の中から、さっきの2人組とはちがうリーゼント頭の兄ちゃんが出てきて、俺を胡乱な目でにらみつける。
先ほど聞こえたボコン、ボコンが、目の前のワゴン車の天井が凹んだ音だと気付いたらしい。リーゼント兄ちゃんの俺を見る目が胡乱な目から、怒りの目にダイナミックに変化した。大事な車だったら俺の足の下に置くなよ。
リーゼント兄ちゃんが俺に殴りかかってきたのだが、車を傷めた関係で俺にも落ち度があると思い直し1発は殴らせてやることにした。さあ殴れ。
ベキッ!
おっと、ヘルメットをかぶったままだった。脱いでやればよかった。それにしても、柔なやつだ。どいつもこいつも、すぐに拳を痛めて気絶する。そんなに俺の顔は硬いのか? 硬いんだろうな。
これまで現代戦車の戦車砲弾を受けたことはないが、おそらく俺の顔は、矢のような形で羽の付いた何とかいう徹甲弾の0距離射撃の直撃に耐えられると思う。
今回俺はヘルメットをかぶったままで顔を殴らせたのだが、顔とヘルメットの間には若干の遊び部分があるため、ヘルメットの上から殴る方が、直接顔を殴るより反射ダメージは少なかったりする。何にも意味はないが、これマメな。




