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PLS  作者: 城弾
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第7話「Time Passed Me By」Part4

「これは後から聞いたんだけどね、高校受験のころ」

 家庭科室。

 少女たちの密談が続く。


 とある日曜。試験を受ける当日に迷ってもたまらず、蒼空学園への道をチェックしようとしていた優介。

 午後からのんびりと出向くつもりでいた。

「蒼空にしたんだ。あんたならもうちょっと上を狙えるんじゃない?」

 美少年に成長した弟を溺愛する女子大生の姉。優香。

「それじゃまたまりあと同じになりかねないだろ」

 肉親相手ということもありざっくばらんな話し方の優介。

「そこまで嫌わなくたって。物凄く好かれてるんでしょ? それも相当に可愛い子に」

「天使のように愛らしいと聞いてるわよ。ねぇ。亜優」

 もう一人の姉・優奈が双子の片方に確認する。

「そうね。女のあたしが見てもまりあって可愛いし。あれだけ可愛い顔だと妬みようがないんじゃない。まさに天使だし」

「ぼくにとっては悪魔だ」

 純愛も取り方によってはストーキング。

 ふてくされたようにそのままソファに横になる優介。食後で胃を落ち着ける目的だったが、そのまま寝息を立ててしまった。

「あらあら」

 可愛い弟のその寝顔に顔が緩む姉二人。

「ほんと。性別を間違えてうまれてきたんじゃない?」

「これで男というのがわが弟ながら信じられないわ。色白だし」

 少女たちは子供のころの浅黒い肌が中学くらいからぐっと白く輝きだす。

 まさにそれと同期して優介も色白に。

 これは家系もある。だがニキビ対策で使っていたものが紫外線をブロックする効果があり、そのためあまり日に焼けなかった。

「ねぇ。この肌色だとあたしのファンデでいけるんじゃない?」

 悪戯心が頭をもたげる。

 よほどこちらの方が小悪魔な姉たちが、美少年を起こさないように美少女へと仕立て上げていく。

 悪いことに優介が着用していたのがブラウスとレディースパンツ。

 小柄な優介は問題なく着られるのである。男性服にない柔らかな肌触りを好んで家にいるときは着用しているケースも多い。

 とにかく彼には男の自覚が希薄だし、女を異性として意識する感覚も薄い。


 よほど疲れていたのかまったく目を覚まさずなすがままにされている優介。

 とうとうメイクが完成してしまった。


「ふぁー。よく寝た」

 背伸びをして起き上がる優介。長めの髪がはらりとこぼれ、メイクと合わさり美少女へと見せる。

 張本人たちの姉二人は悪戯が成功してクスクス笑いと思いきや、その美貌に見ほれていた。

 実際に動くと本当に女の子にしか見えなくなっていた。

「うわっ。もうこんな時間!? 行ってくる」

 下見の時間がなくなるので慌てて飛び出す優介。

「ちょ……ちょっと優介。お化粧……」

 だが聞く耳を持たなかった。


 外に出て笑われて戻る。そんなことがなかった。

 あまりに自然に「女の子」に見えたからである。

 ブラウス。レディースパンツ。スニーカーの色も赤。

 中学生のボーイッシュな女の子が背伸びして化粧した。そんな感じに見えた。

 胸のない女なんていくらでもいる。まさかじろじろと見ることも出来ない。

 巨乳なら本人もある程度覚悟というか諦めもあるが、貧乳はコンプレックス直撃だけに周辺も気を使う。それゆえだ。

 とにかく「変ではない」ためどこでも指摘されないままに。


 うっかり寝過ごして停留所を三つ過ぎてしまった。歩いて戻ろうとする優介。

 歩道を青信号で渡るのだが、そこに信号無視のスクーターが突っ込んできた。

「え?」

  まさか青信号でわざわざ突っ込んでくる車両があるとは思わず、棒立ちになってしまう優介。だが

「危ねえっ」

 驚くべき反射速度で後ろから突き飛ばす物がいた。

「わっ」

 転倒してしまうが轢かれる危機は逃れた。見上げると自分と大して変わらない世代の少年が背中を見せて立っていた。

「大丈夫か?」

「う……うん」

 女は付きまとったり、自分の意思を無視して勝手なことをする。綺麗な女ほどその傾向が強い。特にまりあ。

 そう思っていた彼にとって捨て身で自分を救ってくれた少年の行為はとても崇高に感じられ、ときめいた。

「待ちやがれ。このやろう」

 優介のそんな思いを知る吉もなく、少年は猛然と走り出すと車にブロックされてもたついている暴走スクーター目掛けてジャンプ。そしてキック。

 見事に暴走ライダーを成敗した。


 スタジオ。

「かっこよかったよぉ。あのときの彼。本当にヒーローだった」

 当時を思い出してまさにうっとりとしている優介。そして

「どうした。顔色が悪いぞ」

「い……いや。なんでもない」

 大樹に心配される裕生であった。

(やべ……それオレだ……)


「ヒロ君!」

「よう。シホ。どうだ。かっこよかったろ」

 得意げな中学時代の裕生。受験前ということで髪形はおとなしいものにしてある。

「もう。また無茶して」

 ショートカット。裸眼の中学時代の詩穂理が慌てて駆け寄ってくる。

 トレードマークの黒いロングやメガネは高校に入ってから。

 ただし胸は中三のこの時点で既にEカップであった。

「平気だよあのくらい。高校に入ったら映画研究会に入るか作りたいのに、あの程度のアクションで怯んでられるか。そうだな。髪もヒーローらしく逆毛に赤毛と決めるか」

「バカ。相手はお芝居じゃないのよ」

 その胸元を強烈に押し付けギュッと抱き締める。

「心配させないで……」

「……悪い」

 母親を水死で失っている彼は残されたものの気持ちがよくわかる。

 だから素直に詩穂理に謝った。

 しかし恋愛感情とは思わず、幼なじみを案じてと解釈していた。


 家庭科室。

「聞けば優介はこの学校への下見の時に運命的な出会いがあったって言うのよ。一人目が暴走スクーターにキックを見舞った少年とか」

 そこでまりあは思案する。

「なんだか風見君みたいね?」

「そ…そうですか? 偶然の一致じゃありませんか?」

「なんであなたが真っ赤なの。詩穂理さん」

 詩穂理も思い出していた。そして思わず裕生を抱き締めた1件を思い出して照れていた。

(あのときのことは…それにしてもあのときに水木君がいたなんて)

「そうね。そんなマンガみたいな話そうそうないわよね。でもなんかもう一度助けられたとかで」

 今度は美鈴の表情が強張る。


 優介は道を聞きながら蒼空高校へと向かう。

 当然人の多いところを行く。商店のそばや人家である。

 マンションのそば。小柄な少女たちと巨漢の一団とすれ違った時である。

「きゃあああっ」

 上から鉢植えが落ちてきた。悲鳴から察するに過失だが。

 反射的に避ける前にすれ違っていた巨漢に覆いかぶされた。

 自らの背中で優介を守ったのである。

(まただ! また男の子に助けられた。ああ。なんて男の子っていいんだろう)

 優介の勘違いはますます深くなる。

「大丈夫か?」

「は…はい」

 頬が熱くなるのを隠さずにピンクに彩られた唇の優介は笑顔で返答した。

 丸太のような腕の逞しさを頼もしく感じ始めていた。


 スタジオ。

「どうしたんだい。大地。気味こそ顔色悪いよ」

 珍しく男の心配をする恭兵。

「へ……平気だ」

 相変わらず短い返事の大樹。

(……あの時か)


 優介が立ち去ってから大樹はゆっくりと体を起こす。

 頭を抑えてしゃがんでいた双葉と美鈴。

 それがいきなり大樹に抱きつく。

「助けてくれてありがとう。お兄ちゃん」

 こちらもまた勘違いがひどくなる双葉である。

 子供のころからの筋金入りのブラコンだ。これではますますひどくなるのも道理。

「だけどお兄ちゃん。浮気はダメだよ」

「ほんと。綺麗な女の子だったよね」

 美鈴も妬むより素直に賞賛する美貌だった。

「たまたまだ」

 二人を庇おうとしたら優介まで巻き込んだと言うことだ。


 家庭科室。

(まさかあの時の女の子か水木君だったなんて。女の子にしか見えなかったよ)

 ちなみに大樹には覆いかぶされ、美鈴たちはしゃがんだ上に頭を守っていたため優介も顔がわからなかったのだ。

 だから高校で再会してもそのときのことを思い出せない。


 蒼空高校にたどり着く。

 この日はあくまで下見。だから校門の前で目的は達した。

 まだ部外者ということで中にはいるわけにも行かない。

(これでよし。またバスで帰ろうっと)

 停留所で待つことにした。たまたま時間帯のせいか一人だけ。

 そこに歩み寄る一人の少年。黒髪で地味な印象だが、端整な顔立ちはよくわかる。

「やぁ。これから帰り? もし暇なら僕と付き合わない?」

「え?」

 既に思考がそちらによっていたこともあり、スポーティーな美男子にときめきを感じてしまった。

(ぼくを必要としてくれるの?)

 女は嫌い。けど男は一緒になれない。そう考えていた。

 ところがその男の方から言い寄ってきた。求めてきた。

(ああ。わかった。僕は男の方が好きなんだ。だから女が言い寄ってくるのにもときめかないんだ。そうか。ぼくってホモだったのか)

 決定的に勘違いした瞬間である。

「はい。ぼくでよければ」

 さすがに声は男の子のそれ。もっとも充分に高めだがそれでも一発で性別がわかる。

(げ。男なのか。化粧までしているし女物ばかりだからてっきり)

 大抵は手のひらを返したくなるものだが、声を聞くまでは女と信じて疑わなかったビジュアル。それもやりにくい。

 つい女の子相手にするように無難に済まそうとしてしまった。

「美しい。なんてまぶしいんだ」

「えっ?」

 これまた優介の心を動かした。

 どこにでもいる男なら「強い」「かっこよい」は褒め言葉になっても「美しい」「キレイ」はならない。

「可愛い」に至っては侮蔑に取るものもいる。

 しかし優介は美しいという言葉に喜びを感じてしまった。

 女ばかりの一家ではそれは褒め言葉。いつの間にか優介の基準も女性よりになっていた。

「そ…そんな、ぼくのことをそんなふうに…」

 舞い上がっていた。

(このスキに)

 その美形は逃げ出した。


 スタジオ。

 顔中脂汗で美男子台無しの恭兵である。

「なんだよ。お前もひどい汗だな」

 基本的に鈍感な裕生が自分のケースを忘れて指摘する。

「ははは。ちょっと暑いよな。この中」

 あろうことか。まさか自分が優介がこうなった原因を担っていたとは。

 乾いた笑いしかでてこない


 全速力で逃げ出した恭兵。真正面からジョギング中の少女とぶつかってしまう。

「きゃっ」「うわっ」

 ちょうど押し倒す形になる恭兵。とりあえず感触と匂いから顔を見なくても相手が女の子とわかる。

(口直しに)

「申し訳ありません。お嬢さん。ぶつかってしまうなんて。お怪我はありませんか?」

「……う……うん、ちょっとぼーっとしている」

「ゲ!? なぎさ」

 ぶつかったのは日課のジョギングをしていたなぎさだったのだ。

 なぎさもぶつかった相手に怒鳴りつけようかと思ったが、それが憧れの恭兵となったら怒りも霧散。

 ましてや抱き合うどころか「押し倒されている」ので舞い上がってしまった。

「まったく。ボーっとしているなよ」

「ゴ、ごめん」

 双方に不注意で非はあるのだが、一方的な言い分の恭兵。

 惚れた弱みでそのまま受けとめるなぎさ。

「ほら。立ちなよ」

 「女装少年」に出会った直後のせいか、本物の女であるなぎさに対してはいつもほどひどい態度にならず、手を差し伸べたりしている。

「うん」

 態度の違いに戸惑うもののおずおずと手を握るなぎさである。


「しかし僕のビジュアルは男も落とすか。高校に入ったらもっと長くして、金髪にしようかな? アクセなんかもいいな」

「キョウくん。それ校則違反にならない?」

「いいんだよ。いい男は美しくなるための行為はすべて正当化されるんだから」

 この当時から既にナルシスの気があった恭兵である。


 余談だが優介は帰宅して入浴して初めて自分がメイクしたまま外出していたことを知る。

 化粧はこれが初めてというわけではなかったため、違和感を感じなかったらしい。


 家庭科室。

「まったく。いくらメイクしてたからって優介を女の子と思ったあげくナンパなんてどんな軽薄男なのかしら。優介から春休み中に聞かされたときは頭がくらくらしたわ」

 いわば「思いだし怒り」のまりあである。苦笑しているなぎさ。

「なぎささん。まさか火野君だったりしないわよね?」

「キョ…キョウ君が男の子に声をかけたりすると思う?」

 逆に強気に出てみた。

「それもそうね」

 納得したまりあ。

「とにかく少しでも優介のそばにいたかったの。だからパパにお願いして」


 春休み中。

 無事に合格を決めた優介はほっとして休みを楽しんでいた。惰眠をむさぼっていた。

 しかし隣家が騒がしい。

「うるさいなぁ。空き家に誰か引っ越してきたの?」

 窓を開けて見る。するとそこには一番みたくない美少女が。

「ま、まりあ? 何でお前がここに?」

「引っ越してきたのよ。ここのご夫婦が持て余しているというからご希望のお家を探して。もちろんこちらが費用持ちで」

「なんだって?」

「それから優介。見て?」

 吊るしてある蒼空高校女子制服を見せる。

「それは」

「わたしもあなたと同じ学校に通うことにしたから」

 もちろん優介の動向を父親の配下によって調べさせている。

 受験先を調べてあわせていたのである。滑り止めまであわせていた。

 そして確定した蒼空高校に入学したのである。

「また一緒に学校に行こうね。優介」

 悪夢の始まりだった。だが

「ふふん。まりあ。無駄なことをしたな」

「どうしてよ」

「いくらお前がぼくを好きでも、ぼくかお前を好きになることは絶対にない」

「振り向かせるもん。いざとなったら既成事実を作ってでも」

 ちなみに、あまり深く考えないで発言している。

「無理だね。だってお前、恋愛対象じゃないもん」

 これはショッキングだった。自分の可愛さを自覚しているまりあにしたら屈辱的だった。

「だってぼくはホモだったんだから」

 勝利宣言とばかりに言い放つ。

 言われたまりあはきょとんとしている。無理もない。現実味のない台詞である。

 しかし目の前の少年が確かにどちらかというと男を恋愛対称にしているのが似合いそうな風貌と思ったらいきなり現実味が出てきた。

「……何よ!? それ」

「言葉どおりだよ」

 それから優介は下見の時に少年たちに優しくされたことをうっとりとして語る。

 そのリアリティでまりあも信じてしまった。

「だ……ダメよ優介。他の女ならまだしも、男に走るなんて」

「もう遅い。僕は気がついたんだ。まりあ。お前は性別からして恋愛対象じゃなかったんだよ。いくら追いかけてきても無駄さ」

 散々ついてこられてたまっていた鬱憤を晴らすかのごとく芝居がかって言う。

 まりあは二重三重にショックを受けた。そういう場合の逃げ道は一つ。涙。

「ううう……優介のバカーッッッッ」

 泣きながらまりあは窓を閉じる。そして運び込まれたばかりのベッドにうつ伏せになると、引越しの作業員がいるにもかかわらず盛大に泣き喚いた。


「あのさ……素朴な疑問なんだけど……諦めるって言う選択肢はなかったの?」

 おずおずと尋ねるなぎさ。

「なんで?」

 子供のように尋ね返すまりあ。

「いや。好きな男がホモとか言ったら、新しい恋を探した方がいいんじゃないかと」

 まだ女好きはマシかなと考えるなぎさであった。

 まりあと優介がくっつくデメリットはなぎさにとっては皆無。

 むしろまりあに相手がいると言うことで、恭兵がまりあを諦める分いい展開である。

 それでも思わず優介を諦めた方がいいのではないかと忠告をせずにいられない話であった。

「最終的にこっちをむけばそれでいいのよっ」

 自分に言い聞かせるように高らかに言うツインテール娘。

 その甲高い声が歩いていた二組担任・川隅亜彩子の耳に入った。家庭科室の扉が開く。

「あなたたち。何しているの? 今日は家庭科部はないんでしょう? 早く帰りなさい」

「はーい」

「じゃあ帰りましょうか」

 ちょうどいいタイミングでお開きとなる。


 スタジオ。三人とも顔色が悪い。優介だけが陶酔気味。

「あのとき感じたんだ。僕は男の子を愛するために生まれてきたんだって。純粋に愛するために肉欲に溺れないように女の肉体にはならなかったんだよ。きっと」

「待て待て。だからそれは勘違い。君は単なる女嫌いなだけで別に同性愛というわけじゃない」

 恭兵と大樹は自分がこの原因を不可抗力とはいえど作っていたことを察した。

「愛するなら女にしろ」

 だから必死でフォローする。この雰囲気でやっと裕生も理解した。

「ああ。男に比べりゃどんくさいし色々と面倒だが」

「そのくせわがままだしナルシストだし、ぼくのことなんて本当に愛してるわけじゃなくて、ただ単に自分の気持ちを優先しているだけだし」

 裕生の台詞を遮って女に対する不満を並べ立てる優介。

「おいおい。それって……」

 どうみてもまりあのことだろう。いいかけてやめた恭兵。

(こいつがまりあを嫌っているなら好都合か。しかしホモというのだけはどうにかしないと男に付回される羽目になるし。ったく、こんなビジュアルしているんなら女で生まれてこいってんだ。それならいくらでも)

「ぶるぁああああっ」

「わぁっ。びっくりしたあっ」

 生活指導。若元の突然の声に驚く4人。いや。大樹だけは無表情でわかりかねる。

「いつまで居残ってんだ。さっさと帰れっ」

 こちらも強制的に解散となった。


 とりあえずどうして優介が男に走ったかは理解出来たので目的は達した。

 しかしその原因を作っていたのが自分たちと知り、顔を見合わせて困惑する三人であった。


 下校となれば当然ながら下駄箱へと向かう。そして鉢合わせする少年たちと少女たち。

「あ」「げ」

 目が合う優介とまりあ。じりじりと歩み寄る少女と、半ば本能的に逃げる少年。

「待ちなさぁぁぁぁいっ。優介ぇぇぇぇぇっ」

「いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」

 上履きのまま外へと飛び出した二人。あっと言う間に見えなくなる。

「どんなに嫌われても愛を貫く……Pure Love Story?」

 自らも相手の義妹という一つ屋根の下に住む恋敵を持つ美鈴が半ば同情するようにつぶやく。

「Platonic……は当てはまりませんね」

「Powerful Love Storyというのが一番近いんじゃない?」

 まりあの前途多難な恋路。しかしあのパワーなら力ずくで振り向かせかねないな。

 そう思う少女たち。

 少年たちはなんとか優介を普通に戻して付きまとわれないように、そして責任を取れないかと思案していた。

次回予告


 魔性? それとも母性? 三年生の栗原美百合は上品だが天然ボケ。そして誰もを抱き締める。

 だが笑顔の裏に隠されたものを感じ取った恭兵は…

 次回、PLS。第8話「Fallin’ Angel」

 恋せよ乙女。愛せよ少年。

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