表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/50

43.隠れた人気とお勉強


「はぁ………どうしようかな」


思わずため息が漏れる。俺は今、2つの事に頭を悩ませているのだ。


まず、1つ目。甲子園と夏休みが終わり、学校が始まった直後くらいからなのだが、やたらと告白されるのだ。当然断るに決まっているのだが、その返事の仕方が問題だった。


そもそもの話告白を断った事など一度しかないのだから、適切な返事なんて思い付くはずがない。


あまりキツく振るのは申し訳ないし、その後波風が立ちやすくなる。かと言って中途半端な返事をしてしまっては、以前のような勘違いをされかねない。


何処かで読んだ漫画か何かで、突然振った相手に抱きつかれ、そのシーンを第三者に撮影されて悪意を持って広められる。その写真の誤解によって彼女と関係が悪化してしまい……なんて話があった。


まぁそれは飛躍しすぎにしても、だ。万が一にも瑠璃に悲しい思いはさせたくないからな。しっかり断る事が出来て、かつ相手を蔑ろにしない返事を考えないとなぁ。


『大事な彼女がいるんだ。その子以外と付き合う気はないから、ごめんね』


何の捻りもないが、変に取り繕うくらいならこんな感じで正直に伝えるのが一番だろうか。


(今日は呼び出されたりしなかったな。にしても、何で急に——)


下駄箱を開けると、何やら手紙らしきものが。悪戯でなければどう見てもラブレターだ。どうしようかなぁ、と悩んでいると——


「どうした高橋。また、手紙でも入ってたのか?」


「うぉ!って、土屋か。よく分かったな、その通りだよ。急に告白されるようになって困惑してるんだよな。土屋は何か知ってるか?」


土屋に声をかけられた。こいつは昔、虐められた友達を助けて自分が標的になってしまったのだが、それを俺が止めた事で仲良くなったのが出会いだった。それから度々助けてくれており、俺と美香の件でも色々奔走してくれたらしい。なんとも義理堅い男だ。


「自覚ないのか?顔良し性格良し、部活ではエース。甲子園にも出て、プロのスカウトが注目してるなんて噂もある。モテない理由がない」


「面と向かって言われると照れるんだが……。それに、もう大事な彼女がいるからな。その都度振って辛そうな顔されるのが心苦しくてな………」


「彼女出来たのか。良かったな、おめでとう。ま、モテる男の宿命だ、真摯に答えてくしかないな。逆恨みとかはされないように警戒しておくから、頑張れ」


確かにそれしかないよな。そしたら近い内に収まるだろう。多分………。




それともう1つの悩み。それは………成績!!


放課後、担任に呼び出されて、何を言われるのか、何かやらかしたっけなぁと思いつつ話を聞きに行ったところ——


『高橋。その……非常に言い難いんだがな……テストの点数がちょっとアレすぎてな……』


要するにお前バカすぎ。少しは勉強しろ。という事だった。やっぱり前のテストで数学14点などと言う点数を叩き出したのがマズかったのだろうか。


(昔っから数学って特に苦手だったんだよなぁ……)


とはいえ、授業態度なんかは良好だから評価的には問題ないと言われたので、少しでも点数を上げれば落単は大丈夫そう。


誰か勉強教えてくれる人いないかな?そう考え、ふと思いついた。


(確か、瑠璃って成績良かったよな!?)


これだ!喫茶店とかで勉強デート。いかにも高校生っぽくないか!?決してデートが目的じゃないぞ?勉強が目的だからな?………しっかり点数取れば、多少楽しんでも良いよな?


そうと決まれば、瑠璃を迎えに行って相談してみよう!メッセージで済む話だが、彼女を学校に迎えに行くのってちょっと憧れてたんだよな。瑠璃、驚いてくれるかな?



そんなこんなで、瑠璃の学校までやって来た。連絡はしてないので、帰っちゃってたら悲しいなと思って急いだのが功を奏し、ちょうど下校時間のようだ。だが、どうやって探すか考えていなかった!


(ここで待ってれば良いか?それか、誰かに聞いてみようか)


確かここは学年毎に男子はネクタイ、女子は制服のリボンの色が違ったハズ。瑠璃は赤色のリボンを付けてたハズだから、赤いリボンの女生徒に聞いてみれば分かるだろうか?


「あの、ちょっと良いかな?」


「ん、なーに?その制服、青城高校だよね?人でも探してるの?」


快活そうな女の子が目に入ったので声をかけてみたが、中々話が早くて助かるな。


「実はそうなんだ。四条瑠璃って子に会いに来たんだけど………知ってるかな?」


「瑠璃に……?あぁ、もしかして君もそうなの?瑠璃なら、今は多分体育館裏にいるよ。行ってみたら?」


()()……?何の話だろう。まぁ良いか。まだ帰ってないのと居場所が分かって良かった。


「助かった、ありがとうね!早速向かってみるよ!」


「どういたしまして〜。頑張ってね〜!」



『他校からも会いに来るなんて……隅におけないねぇ』


何に対しての応援なんだ?さっきの子が何か呟いた気もするがよく聞こえなかった。



そして、体育館裏に来た俺が目にしたのは——瑠璃が、数人の男子に詰め寄られているシーンだった。


(!?まさか、イジメか?それとも別の——)


すぐさま駆け出そうとした俺の耳に届いたのは、予想とは全く別の内容だった。



「「「四条瑠璃さん!俺(僕)と付き合ってください!!」」」



…………………は??今、なんて言った?






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] モテる男、女の宿命ですね
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ