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36.晴樹の宣言

前話の髪型云々の会話内容を少し調整しました。


好きな髪型はポニーテール、と言う風に変更しました。


今、俺は……何を言われたんだ………?突然の出来事に、頭が混乱して理解が追いつかない。


『君のことが好きです。あの時からずっとずっと、大好きでした。私と……付き合ってください!』


四条は、確かにそう言った。好き?俺の事が…!?あの時と言うのは、中学生の時のあの出来事以外にはないだろう。


つまり、4年かそれ以上の間俺の事を想っていてくれたと言うこと。


(って事は…………これまでのあの態度は)


本当に同じ人物なのかと思うくらいに変化する表情。俺のちょっとした一言に一喜一憂し、楽しそうにしている姿。


それらは全て『好きな異性』に向ける好意の現れだったのか?


梨乃ちゃんから聞いたこともある。俺に胸を張って会うために、可愛くなるための努力を始めたと。


俺に対する態度は、敬愛の念から来るものだと、いじめから立ち直った事で元の明るい性格に戻ったのだと、そう思っていた。いや、そう思うようにしていただけだったのかもしれない。


色々な考えが頭の中を巡り何も話せない俺を見て不安になったのか、四条がまくし立てる。


「あっ、あのねっ!高橋君が、まだ割り切れてないのも分かるし、やりたい事の邪魔をするつもりはないの!


………それにっ。野球の練習とかの力にはなれないかもだけど、お料理とかは得意だから好きなもの作ってあげられるし……!あっ、勉強も教えてあげられるよ!


それでも………ダメ…かなぁ…?」


……!これは、自己アピール?紡ぐ一言一言に必死な想いが感じられる。そんな告白を受け、俺は……!


「……えっと、ゴメ「そ、そうだよね!……私なんかじゃダメだよね……!」


まずい、話し出しのチョイスを間違えた。

途端に泣き出してしまいそうなほどに顔を歪める四条を見て、胸が締め付けられる。


「あっ、いや違っ…!そう言うごめんじゃなくて!」


「えっ……?」


女の子から告白させた上に、ハッキリ返事もできないなんて我ながら情けないと思う。


「すぐに返事が出来なくてごめんな。俺さ……まだ自分の中でケリがついてない気がするんだ。あの事に」


あの男に勝って、今までの自分と決別すると言えばいいのかな。………あいつへの思いはもう残っているわけじゃない。それでも自分の中の区切りとして。


「野球に集中したいから、って言っちゃったからな……。それを実行もできないんじゃ、本当に負け犬になっちゃうから」


先ほどから四条は、真剣な表情で俺の言葉を聞いてくれている。



「あの時さ、四条が励ましてくれなかったら……もしかしたら俺はあのまま野球もやめていたかもしれない。 


その事は凄く感謝してるし、そんな風に想ってくれるってのはめちゃくちゃ嬉しい。


だから……少しだけ待っててもらえないかな?


()()()()()()()()()()()()()()に行くから!


胸を張って、四条の前に立てるようになって!」


精一杯の気持ちを込めて、真っ直ぐに瞳を見つめる。すると、俺の言いたいことが伝わったのだろうか?ハッとした表情になり、その後普段のような笑顔に変わっていった。


「うん、分かった。………絶対、負けないで欲しいな。でも…女の子の一世一代の告白を保留なんて、いけない人だね、高橋君は?」


「うっ……それを言われると、申し開きのしようもないけど…」


理由はどうあれ、女の子に恥をかかせたことになるのだからどんな誹りでも受け入れて見せよう。


「ふふふ…冗談だよ。それは君が、しっかりと私の事を考えてくれてる証拠だよね。とりあえず受け入れちゃえとか、面倒だから振っちゃえなんて無責任な事をしない優しい人だって、分かってるもん!


それに、そんな真面目すぎてちょっと情けなく見えちゃうような所も、大好きだから。強さも弱さも、あなたの良さだと思えるから!」


こんな情けない俺の姿を見ても、それさえ好きだと言ってくれる四条。


こんなに健気で、臆病で、でも優しくて。誰よりも努力家な女の子。適当な返事なんて出来ようはずがない。


来週の決勝戦、絶対に負けられない理由が1つ増えちゃったな。


「ありがとう、四条。来週の決勝戦、君に俺の全力の試合を見せるから。よかったら応援に来て…くれるかな?そしたら、もっと頑張れるかも」


告白を保留しておいて、応援に来てくれなんて酷い奴だと思う。でも、その瞬間を一番近くで彼女に見て欲しい。それも本音だ。


「もちろんだよ。必ず応援に行くから。最高にカッコいいあなたの姿を見せて欲しい!


出来たら、良い返事が貰えると嬉しいな。………この場で即振られてたら、泣き崩れる自信があったよ、正直。


望む結果を得るためにはどんな事だってして見せるからね、私!


あっ……君の為なら、常にポニーテールにだってしてあげるよ?」



「あはは、それは正直めちゃくちゃ嬉しいかも。……じゃあ、俺、行くね。また来週!」


たしか星道の方は、準決で少し苦戦して、投げる予定がなかったであろうエースが終盤に投げてしまったらしい。


そのためおそらく先発は天城隼人が出てくるんじゃないか……と言う話だ。


何だか今の俺は負ける気がしねえ!試合の日が待ち遠しいな。



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― 新着の感想 ―
[良い点] くっ! 尊すぎかよ!! もう付き合えよ
[一言] ビッチとクズに、ざまあを望みますが 流石に神(作者)のみぞ知る でしょうから ハラハラしながら待ってます
[気になる点] 前話のポニーテールの件で 「うん、好きだよ。あ、でも普段の四条の方が好きかな………って、四条?どうし……っ!」 普段の四条の方がって言ってるのに 「君の為なら、常にポニーテールにだっ…
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