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27.妹の本音?

秋季大会長々としても仕方ないかなと思ったのでさっと終わらせます。


2回戦は、市川が先発をすることになった。やはり初回こそ緊張が見えたものの、回を進めるごとに調子を上げて行き7回を1失点に抑えた。その後交代した浅倉先輩が最後を無難に締め、3回戦に進出を決めた。



3回戦は俺が先発に指名された。後ろに2人がいるので、行けるところまで行けと言われた為、初回から飛ばしていた。順調に行っていたが、6回に2アウトからエラーで出たランナーを2塁に置き、決めに行った変化球が少し甘く入ってしまった。所謂ポテンヒットというやつだが、1点を失い降板。替わった市川も連打を浴び失点し、終盤に1点を返すものの逆転にはつながらず敗退してしまった。


『エラーが絡んでの失点だからな、あんまり気にするなよ』


試合後には浅倉先輩がそう声をかけてくれたが、若干気持ちは沈んだままだ。失点は仕方なかったにしても、チャンスで凡退してたんじゃな…


「悔しいな。俺らだけで投げた途端これだもんな」


「高橋君はまだ良いよ。エラーと不運なヒットだしさ。僕なんてただ打たれただけ」


「先制点取られた上にチャンスで凡退して、相手勢いづけちゃったからな。嫌な状態で繋いじゃって悪かった」


終盤の1点ビハインドで登板だもんな………余計なプレッシャーを与えてしまっただろう。


「お互い様だよ。僕がしっかり抑え切れば逆に勢いを取り戻せただろうし……。相手を押し切れる球威が欲しいよ」


「この冬の課題だな。俺は制球力、市川は球威か」


冬はグラウンドが使えない事もある為野手は体力トレーニングのみが中心になるが、ブルペンを使える俺達はそれぞれ教えあって調整するのも良いかもしれないな。


冬の練習はめちゃくちゃキツイらしいし、嫌でも鍛えられることになるだろうからそんな余裕があるのか分からないが…………頑張ろう。




――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――




夕方、今日は試合後という事で早く解散になったのでバッティングセンターに来ている。部活と違い軟球なので打った感触は違うが、気兼ねなくのびのびとスイングできるので好きだ。

先輩や順番への配慮や打ち損じを気にせずひたすら打ち続けるのはやっぱり楽しいな。


しばらく打ち続け、そろそろ帰ろうかと思い始めた頃………聞き覚えのある元気な声が聞こえた。あの声は……梨乃ちゃん?


「あれっ?高橋君……?おーい、高橋くーん!」


「やっぱり梨乃ちゃんか。どうしてここに?もしかしてお手伝いとか、そういうの?」


年齢的に店員として働かせることは出来ないけど、親族の店でお互いが納得してるならちょっとしたお掃除なんかをする分にはOKだったりするのかな?

実家の料理店を小さい頃から手伝って〜みたいな話も聞いた事あるけど、どうなんだろう。


「ううん、違うよ!瑠璃姉いたら一緒に帰ろうかなーと思って迎えに来てみたの!いなかったけどね!」


「そういう事か。確かに今日は見かけなかったな。普通に家に帰ってるんじゃないか?」


「うん、多分ね。他にバイトはしてないはずだし!……ねぇねぇ、もしかして高橋君はもう帰るところ?じゃあ一緒に帰らない!?」


どうせ駅には行くんだし、断る理由はない。1人で向かうのもつまらないしな。


「うん、丁度帰ろうと思ってたところだから、良いよ。一緒に帰ろうか」


「やったー!一回高橋君とお話してみたかったんだ〜」


そんな風にはしゃぐ梨乃ちゃん。俺はそんなに面白い話なんて出来ないぞ?まぁ、喜んでくれるのは嬉しいが…。



帰り道。部活動のあれこれや遊園地での出来事なんかの話をしていると、家に近づいてきたた辺りで突然梨乃ちゃんが真面目な顔をして切り出した。


「ねぇ、高橋君。ありがとね」


「ん?何がだ?家まで送ってる事?」


「それもあるけど、瑠璃姉のこと。元々大人しいお姉ちゃんではあったけど、一時期は本当に心配になるくらい暗くてさ……。何も話してくれないし、私じゃ力付くで解決なんて出来ないし」


その時期と言うのは、きっと中学生の頃の話なんだろう。という事は当時梨乃ちゃんは小学生の低学年くらいだった筈だ。どうしようもないだろう。


「でも、ある時から急に明るくなり始めたんだ。転校することになった時はまたちょっと落ち込んでたけど……すぐ立ち直って前より色々な事頑張り始めたの!高橋君のお陰なんだよ、きっと」


今の四条があるのは、彼女が自分で頑張ったからだ。俺はただ、きっかけを作っただけで。


「俺は大した事してないよ。結局、あいつが根っからの頑張り屋さんだったんだよ」


「それでも、本人には大した事だったんだよ、きっと。………うちのお父さんね、私が小さい頃に事故で死んじゃってるんだ。だから、瑠璃姉のあの顔を見た時、怖かった。また、私を置いて居なくなっちゃうんじゃないかって……。だから、高橋君は瑠璃姉だけじゃなくて、私の事も助けてくれたんだよ」


梨乃ちゃん……そんな風に思ってくれてたんだな。普段お調子者な子が真面目な話すると、何故か簡単にジーンと来てしまうから不思議だよな…。


「だからね、そのヒーローさんに一回会って、お礼とお話がしたかったんだ。思ってたより普通だったけど……」


「悪かったな!全体的に特徴もないフツーなやつで!」


「良い意味で言ったんだよ!なんでも出来るスーパーマンじゃないけど、凄く優しくて真面目な人なんだって。………お兄ちゃんがいたら、こんな感じだったのかなって」


「梨乃ちゃん………」


この子、もしかして普段のお調子者はわざとで、こっちの真面目なのが素なんだろうか。あえて明るく振る舞って、姉を元気付けるために作った性格なんじゃないだろうか?そんな事を思った。


「あれ……梨乃と、高橋君?どうして二人が一緒に?」


いつの間にやら家の前まで来ていたようで、気が付けば四条が立っていた。


「瑠璃姉を迎えに行ったらいなくて!代わりに高橋君がいたから一緒に帰ってもらったの!」


「あぁ、そういう事情だったのね。高橋君、梨乃がごめんね?あれ、でも私朝に今日はバイトはお休みって言わなかったかしら……?」


ん……?て事は、四条が居ないのを分かってて顔を出したのか?もしかして、俺と話すため?


「あれっ!?そんな事言ってたっけ!?じゃあ私、ただ遠回りして帰ってきただけじゃん!!」


…………そうでもないっぽい。俺の考え過ぎだったかな。ただ抜けてるだけだわコレ。


「寝ぼけてて聞いてなかったのね………なんにせよありがとう、高橋君。気をつけて帰ってね」


「高橋君、ありがとー!またね!…さっきの話は、私の本音だよ!」


さっきのが全部本心って事は、やっぱりあっちが素だったのかな。実は周りを気遣って………


「あっ、それからー………いつ高橋君は私の()()()()()()になってくれるのっ?」



「ブッ!り、梨乃ちゃんっ!?」

「ちょっと梨乃っ!?何言ってるのっ!?」


本音ってそっちかよ!ニヤニヤしながら引っ込んでいったし、やっぱりお調子者じゃないか、あの真面目な顔して話してたのはなんだったんだよ!



誰かこの気まずい空気を何とかしてくれよ!!





話の持って行き方に少し悩んでます。違和感感じさせてしまったらごめんなさい。

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― 新着の感想 ―
[一言] 野球は好きですが試合の展開や描写がストーリー展開に影響しないなら今回くらいの描写で十分だと思います。 この話では恋愛主体で野球はあくまで小道具にすぎないと思うので。
[一言] 試合に関しては、浮気相手との直接対決の試合以外は今回みたいに、サラッと流したほうが好まれると思います。 直接対決の試合に関しても、話数を長々と書くよりも少し投稿期間が開いてもいいから、文章を…
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