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22.気分転換


翌朝、5時頃に目を覚ました俺は、ある事に気付いた。


…………何時集合なのか聞いてねぇっ!


いや、これは聞かなかった俺も悪いな。電話して叩き起こすにはまだ早いし、まぁ自分の確認不足だ。確実に大丈夫な時間から待っていれば問題ないだろう。


「行き先とかは当日まで秘密だ、とか言われたから分からんが、どこ行くにしても大抵の店は早くても9時頃開店だよな。となると、移動時間も含めて7時前に待ってれば問題ないか?」


朝飯をどこかで食べてから移動、と言い出さないとも限らないので、朝食は軽く済ませて私服に着替えた。


普段なら駅まで走ったりもするんだが、出かける時にそれはどうかと思い自転車で向かう事にする。


「流石にちょっと早かったかな……?まぁ遅れるより良いだろ。コーヒーでも飲みながらのんびり待とう」


6時過ぎに着いてしまったのは少しやり過ぎだったか……待ち合わせどころか歩いている人すら殆ど見当たらない。休日の朝だもんな…。


30分程経った頃だろうか?ベンチでボーッとしていると………


「おはよう、高橋君。もう着いてたんだね。私も早めに待ってようと思って来たんだけど、それより早いなんて。一体何時から待ってたの?」


四条に声をかけられた。口ぶりから察するに光に誘われたって事だろうか?俺が全く知らなかったのは、伝え忘れたのか、驚かすつもりだったのか。どっちも有りえる話なのが困るな。2人だと思い込んでて聞かなかった俺も悪いけど。


「おはよう、四条。四条も光に誘われたのか?俺、今日の事何も聞いてなくてさ。遅れたらまずいと思って6時過ぎには着いてたんだ」


「真中君何も言わなかったんだね……。今日は7時半頃に集合だって。あと、沙織ちゃんも来るから、全部で4人になるみたい」


マジか。まだ全然早かったよ。知らなかったから早く来た俺はともかく、待たせないようにとは言えこんなに早く来るなんて、四条は真面目だなぁ…。


ってか、あと1時間近く四条と2人っきりって事?予想外過ぎてちょっと緊張してしまう。早く来てくれ光達……!


――――――――――――――――――――――――



「あれ………晴樹と、四条さん?もう来てたのか?早くない?」


それから10分もしないうちに光と清水が2人で歩いてくる。仲良いなこいつら………と言うか、結局全員予定の時間より30分以上早く着いてるじゃないか。余裕もって動いて正解だったな。


「お前から集合時間聞くの忘れたから、早めに来たんだよ!四条は真面目だから普通に早かったけど」


「悪い悪い!でもまぁお前なら逆算してそれなりの時間には来ると思ってたよ。余裕もって予定組んでるから、多少遅れても問題ないしな」


本気で怒ってる訳ではなく、いつもの軽口ってやつだ。光もそれを理解して軽く謝りつつも、気にするなと言ってくれる。


「とか言って、アイツに時間伝え忘れちまった!多分かなり早く待ってるから急がねえと!って慌ててたのは誰だったかなぁ〜?」


「ばっ!余計な事言うなよ沙織ぃ!四条さんも微笑ましいものを見るような目やめてくれよ!」


「ふふ、真中君って本当に友達思いなんだね。高橋君もそうだし、似た者同士って感じ」


こっちの確認不足なんだから気にしなくて良いのに、わざわざ急いで来てくれたんだな。清水も巻き込んでしまって申し訳ない。


「とにかく!早く揃ったならそれで良いだろ?さぁ行こうぜ!」


あ、照れてるの誤魔化そうとしてる。意外とこう言うのに弱いんだよなこいつ。このままだといたたまれない感じになるしな、乗っかってやろう。


「そうだな、まずはどこに行くんだ?光が色々考えてくれてるんだろ?」


「おう!…と言っても、半分以上は沙織の発案なんだけどな。やっぱ女子の方が詳しいわ、こう言うのは」


「光ってば、女子が居るのにスポーツショップとか行こうとしてたのよ?私はまだ良いけどさ、瑠璃が可哀想でしょそんなの」


「私は気にしないよ?皆で遊ぶなんて初めてだし、そういうお店の方が高橋君が楽しそうにしてるの見られそうだし……」


「確かに新作のグローブとか見たりするの好きだけどな。皆と居るなら普通に遊ぶ方が楽しそうだ」


そんな会話をしながら、電車で移動を始めた。どうやら、かなり遠くまで出かけるらしいな。


「光、これどのくらい電車で移動するんだ?」


「一応時刻通りなら1時間半くらいか?ちょっと遠出になるけど大丈夫だよな?」


「結構かかるんだな。俺は大丈夫だけどな」


1時間半くらいって事は、大体◯◯駅辺りまで行くな。あの辺に皆で遊ぶような場所と言えば…………



「この駅で降りるぞ〜。因みに、目的地は駅を出て直ぐそこだ」



やはりこの駅か。となると、その目的地ってのは……



「わぁ、こんな所に新しく遊園地が出来てたんだ!」



そう、ここに新しくオープンしたばかりの遊園地だ。実は俺も気になって調べていた場所だ。友人達と来る事になるとは思ってなかったが、評判も良いのでかなり期待している。四条も楽しみにしてる様子が見て取れるし、無難で良いチョイスだと思う。


「流石清水。こう言う所ならみんな楽しめそうだ」


「でしょ〜?………本当は彼氏と来れたらもっと楽しいんだろうなぁ〜」


チラッと光の方を見ながら話していた様な気がするが……本人一切気付いてないな。後半は聞かなかった事にしよう………。



美香を振るくだりについての感想なのですが、後々しっかりと理解させる話を挟む予定です。それまでモヤモヤさせてしまう事については申し訳なく思っております……すみません!


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