表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【書籍発売中】俺の天使は盲目でひきこもり  作者: ことりとりとん
番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

66/84

4.


 コンサートからの帰宅後。

 クリスマスコンサートだったから夕方から始まって、終わったころにはもう夜だった。

 その時間から帰宅してご飯を食べたアンジェはもうヘトヘトだった。


 だけど。


「セトスさま、まだ、寝ちゃダメよ〜?」


「俺はまだ寝ないけど、どうしたんだい?

 アンジェはもう眠いだろう?」


「まだ、くつ下、置いてないもん」


「覚えててくれたんだね」


「あたり前だよー!

 このまま寝ちゃったら、サンタさんがきた時に、どこに置こう?って、こまっちゃうよ?」


「そうだね。くつ下持ってきてあげるよ」


「ありがと」


 俺がくつ下を取って戻って来るまでの短い間ですら、アンジェは夢の国へ旅立ってしまいそうでフラフラしている。


「アンジェー?起きてる?」


「おきてるよ!」


「はい、くつ下」


「ありがと!これ、ここにおいて寝たら、サンタさん、プレゼントくれるかなー?」


「くれると思うよ」


「じゃあ、あしたの朝、おきるの、楽しみにしてる!」


「そうだね。おやすみ」


「うん!おやすみ、なさい」




 翌朝。


「セトスさま、おはよ!

 プレゼント、あったよ!」


 サンタさんはあんまり計画的にプレゼントを選ばなかったようだ。

 絶対にくつ下に入らないサイズのプレゼントが、くつ下の隣に置かれていた。


「ん、けっこう、大きい……?くつ下に入ってないよ?」


「そうだねぇ、まあいいんじゃない?」


「うん!これ、何?とってもふわふわで、さわるの、きもちいい」


「ブランケットだよ」


 サンタさんこと俺が、色々見て回って探したブランケット。

 アンジェにとっては手触りが一番大事だからとにかくふわふわで触り心地の良いものを。


 色なんかのデザインは特にアンジェの好みがないから、俺の好み全開で選んだ。

 彼女に似合うと思ってる、パステルっぽいオレンジ色で、トナカイのイラストが入っているノルディックなデザインだ。


「ふふ、ふわふわ〜」


 うん、幸せそうに、俺の選んだブランケットに頬ずりするアンジェはやっぱり世界一かわいいな!


「これ、膝に掛けても暖かいと思うけど、こうやって肩から掛けてケープにもできるんだ」


 肩に掛けて着せてあげて、前の大きなボタンを留める。


「いいね、これ、あったかい!」


 ウキウキで超可愛い笑顔の彼女は、余程手触りが気に入ったのか、ずっとブランケットを撫でている。


「さいきん、寒いから、くれたのかな」


「そうだろうね。これからもっと寒くなるから使う機会も増えるだろうし」


「サンタさん、どこに帰ったのかな?」


「んー、俺もよく知らないけど、空の向こうに帰って行くらしいよ」


「じゃあ、ちゃんとお空に、おれい言わなきゃ!窓のところに、行きたい」


 肘を持たせて窓際までエスコートし、窓を開けてあげる。


「さむっ」


 突然吹き込んできた北風に、アンジェが咄嗟に首を縮めた。


「大丈夫?閉める?」


「だいじょーぶ」


 俺に向かってそう言うと、すぅ、と息を吸い込んだ。


「サンタさーん、プレゼント、ありがとうー! だいじに、使うねー! けほっ」


 急に冷気にさらされた上に、ほとんど出すことの無いくらいに大きな声を出したからか、軽く咳き込む。


「お礼言えて良かったね。窓、もう閉めていい?」


「うん。ありがと」


 ケープ代わりのブランケットを整えてあげてから、ソファへ連れて行く。



「うふふ、この、ブランケット、だいすき!」


「良いものもらえたね」


「うん! 来年も、来てくれるかな」


「いい子にしてたら来てくれるんじゃないかな?」


「じゃあ、、今の、きもち、忘れる前に、お手紙書いて、くれる?」


「いいよ。何て書く?」


「プレゼント、ありがとうって。だいじに、使うよって、言いたいの」


「じゃあそんな感じで書いてみようか」


「ありがと!来年、くつ下のなかに、入れておくの」


 ふふふ、とブランケットに頬ずりしながら既に来年のことを楽しみにし始めた。

 来年もここにいることを当たり前の事と思ってくれているのが、たまらなく嬉しいな。



クリスマス番外編は以上で終了です。

お付き合い頂きありがとうございました。


また番外編を更新する時にはよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編『婚約破棄された令嬢は、変人画家と食虫植物を愛でる』 よろしくお願いいたします。 https://book1.adouzi.eu.org/n9374gs/ 短編『ディフェリア・グレイ〜雨と共に世界に溶けてゆく君と〜』 よろしくお願いします。 https://book1.adouzi.eu.org/n0312gt/
― 新着の感想 ―
[一言] 終わった〜! 良いお話をありがとう!
[良い点] 短編から始まり、連載になり、さらに番外編と追って読んでます。ほのぼのとした愉しい話をありがとうございます。 [気になる点] アンジェちゃんからのピアノのプレゼントの続きが気になります。クス…
[気になる点] ……あれ、アンジェのピアノ伴奏は? [一言] 更新お疲れ様です(*`・ω・)ゞ 無垢な笑顔は人類の宝。 大切にしていってほしいですね✨ 気がむくのを楽しみにしています(*^^*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ