48.ひとりでお出迎え side:アンジェ
遅れました。その上短いです。
すみませんm(_ _)m
「セトスさま、おかえりなさい!」
「えっ、アンジェ?」
初めて、セトスさまを玄関まで出てきてお迎えできるようになったの。
「セトスさま、ちゃんと見えてるでしょ? わたし、ここまで1人で来れたんだよ?」
今まではお部屋でお迎えしてたけど、玄関まで出た方が喜んで貰えるってイリーナが言ってたから。
「イリーナに連れてきて貰うんじゃなくて、1人で来れたのか?」
「うん!」
「よしよし、頑張ってくれたんだな。ありがとう」
抱きしめてくれて、頭を優しく撫でてくれる。
これ、気持ちいいから、大好きなの。
ぎゅーって抱きつくとセトスさまの匂いがしてとってもいい気持ちになれるから。
しばらくそうやって抱きついていたら、ふわっと抱っこして貰えた。
「アンジェが俺の為に頑張ってくれたご褒美」
やったー!
だっこして貰えたってことは、喜んでくれたって事だよね!
「えへへ、がんばった!」
セトスさまの肩に手をかけて抱きついているだけで、リビングのソファーまで連れて行ってもらえる。
そして、セトスさまの膝の上に座らせてもらって、あったかい手で肩を撫でてもらうと、ちょっとだけ眠たくなっちゃう。
だって、セトスさまは優しいから。
ふあぁ。
あくびをすると、セトスさまが少し笑ったのが分かった。
「ごめんなさい」
誰かと話している時にあくびするなんて、ダメな事だって知ってるのに……
「ゆっくりリラックスしてるって事だからいいんだよ。俺も嬉しいし。
アンジェにとってもいい話があるんだけど、眠いなら今度にした方がいいかな?」
「いい話!?」
一気に眠さが吹き飛んだ。
次は、何をさせてもらえるのかな?
セトスさまがしてくれることは、わたしが知らないことばっかりだから、楽しみ!
「次の休みに、天気が良かったら少し出かけないかと思って」
「お出かけ? どこに?」
「王都の外れに、叔父上の家があるんだ。父上の弟で田舎暮らしが好きな人なんだよ。
空気もいいし、そんなに気を使う人もいないし、アンジェのお出かけにはちょうどいいかと思って」
「行きたい!」
元気よく返事したけど、大丈夫かな……?
わたし、あんまり他の人と話したことないんだけど。
「そんな不安そうな顔しなくていいよ。叔父上も奥方もいい人だから」
私が不安になったのもちゃんと見てくれてて、手助けしてくれるセトスさまが大好き!
「それに、アンジェも、いつまでも人と会わないわけにはいかないから。
練習がてらちょうどいいと思うし、頑張ってほしいな。
何を言っても失敗したとかはないし、練習には本当にちょうどいいと思う」
「わかった。がんばります!」
「そんなに気を張らなくても大丈夫だよ。
って言っても初めてのことだし、不安だよね」
「……うん」
「じゃあ、アンジェの好きなおやつを持って行って、向こうで一緒に食べようか。ピクニックみたいにして」
「ピクニック!」
「行ったことあるのか?」
「したことはないけど、この前イリーナに読んでもらった本に出てきたの。
天気のいい日にお外でみんなで美味しいもの食べるの、楽しそう!」
「楽しいことと頑張ること、ひとつずつあったら頑張れるだろう?」
「うん、がんばる! セトスさま、ありがとう」
お礼を言うと、大きな手が優しく頭を撫でてくれる。
こうして貰えるのが大好きで、ずっとしててほしいくらいなんだけど……
「あっ、そうだ!」
いいことを思いついた。
「次のセトスさまのお休みに、お天気良くしてくださいって神様にお願いしとかなきゃ!」
マリーちゃんを置いてる出窓の所まで行って、お空に向かってお願いする。
「神様、次のセトスさまのお休みの日は、絶対絶対晴れにしてくださいね!」
セトスさまも来てくれて、一緒にお願いする。
「晴れるといいな」
「晴れるといいね!」
こうして2人で居るだけで、私はとっても楽しいけど。
もっともっと楽しいこと、セトスさまが教えてくれるんだよ。




