第21階層の探索について
長らく停止してしまい申し訳ありません。
突然デスマりました。
今後ゆっくり更新再開していきますので、引き続きよろしくお願いいたします。
秀平達四人パーティは第21階層へと降り立った。
秀平と奈央、ひとみにとっては久しぶりの、拓海にとっては初めての草原エリアである。
周囲に広がる草原を見てうわ~と声をあげる拓海に、ひとみが頷く。
「すごいですね。見渡す限り草原」
「草原エリアだからねぇ~」
そんな意味不明なやり取りをしているひとみと拓海をい他所に、秀平と奈央が足元の地面を見つめる。
足元には若干の跡がついており、先に他にもいくつかの冒険者が通った痕跡がある。
だがその痕跡はそう多く無く、方向も三方向へ別れているものだ。
「ふむ、先人達は三方向へ行ってるか」
「ですね。どれかが当たりだといいんですけれど」
二人のやり取りに拓海が声をかける。
「当たりじゃない場合、どうするんですか?」
「それはもう、しらみつぶしに」
「……この見渡す限りの草原をしらみつぶし、ですか」
「時間はかかるだろうけれどね」
そう言いながら秀平は地面を確認した後、正面の道を指さした。
「とりあえず今日は、正面の道を行ってみましょうか」
「そうだね。それにしても、何か次の石碑の分かる手段でもあればいいんだけど」
同意したひとみから、そんな言葉が溢れる。
その言葉に秀平がうーんと一つ考えてから気付いたように言った。
「何か、ギルドショップで売ってないか帰りに見てみましょうか」
「そうね。そういうアイテムも取り扱っているかもしれないし」
「じゃあとりあえず、先へ進みましょうか」
そうして、四人のパーティは草原エリアの探索を開始するのであった。
拓海は初遭遇の角ウサギとエンカウントした時には少々苦戦をしたが、秀平達は難なく撃退する。
半日かけて石碑から正面に進路を取った秀平達だが、やはり次フロアへの石碑は見つからず、この日は退散する事になった。
その後、角ウサギのドロップアイテムを換金した後ギルドショップへと赴く。
まだ仮設の建物ではあるが中身は充実しているショップ内で、秀平達は色々な道具が並んでいるフロアを眺めていた。
フロア内には照明やテント、コンロや寝袋などが置いてあり、さながらキャンプ用品店だ。
将来的にはこういった道具も必要になるのかもしれないな、と思いつつ商品を眺め、お目当ての道具を探す。
ただ目当ての道具とは言え、それは「何となく進む方向が分かる道具」という曖昧なものであり、一概にこれだ、というものはない。
ダンジョン内で方位磁石が有効なのであればありがたかったが、現実では役立ちそうなそういう道具はダンジョン内では一切役に立たないのだ。
四人であーでもないこーでもないと話しながら道具を探していくが、中々良いものは見つからなかった。
「うーん、やっぱり難しいかなぁ」
「そうですね。私達の探している道具って、ゴールが分かる道具みたいなものですから。そういうのがあったら既に商品化されててもおかしくないのかな、と」
ひとみと拓海の言葉にうーんと頭の悩ます奈央。
そこへ、秀平が一通り考えた後に相談をした。
「ダンジョン内で方向を認識するのに必要な事って、何だと思います?」
「方向を認識するのに必要な事……まずは起点となる場所、かな」
「起点、は転移した石碑が起点になりますよね」
「そこを中心に探索しないと流石に迷うわよね」
秀平の言葉に三人が答えると、秀平は一つ頷いて続きを言う。
「要はその起点から、ゴールとなる次の石碑までの方向が分かれば良い、と」
「そうなるよね」
秀平の言葉に同意するひとみに、拓海と奈央が一緒に頷く。
三人の同意にふむ、と一つ考えた秀平が頭の中でいくつかの魔法のアイディアを構築していた。
「石碑は起点と終点に必ずある。起点から終点まで……魔力か何かが流れていたら、それで方向が割り出せるかも」
「魔力か……流れてるの?」
「分かりません。ダンジョン内で探索魔法を使った事が無いので」
そう言って秀平は、道具フロアに並べられている、小石サイズの小さな精製された魔石を一つ手に取った。
「もし探索魔法、探知魔法で魔力の大まかな流れが検知できたら……その先には終点の石碑があるかもしれない」
秀平の中に知識としていくつかの探知魔法が候補の挙がる。それ自体は大した効果を持たない魔法であるが、もし可能であるならば、と考えていた。
魔法は分かる、知識もある、後はそれを魔道具として具現化できれば……今後の探索は、快適になるのではないか。
秀平はそう考えて手に取った魔石をレジへと持っていく。
「もし成功すれば、次の探索はぐっと楽になるかもしれません。とりあえず俺の方でなんとかしてみます」
「そっか。じゃあこの件に関しては秀平君に任せるよ。二人もそれでいいよね」
「私はもとより、手段も無いしな」
「私も別に。もし失敗してもじっくり探索すればいいだけなので」
三人の同意を取り付けて、秀平は頭の中で構築した魔道具を具現化させるべく、頭を働かせるのであった。
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