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魔法威力向上作戦

よろしくおねがいします。


「まずは……自身の魔力は分かりますよね。それを高める感じで上げていってください」


「はい。えっと、こうかな……」


 秀平の指導のもと、拓海が魔力を高める。感じ取れる魔力は微々たるものだが、その質は澄んでいると秀平は感じた。

 

「一旦ストップで。白瀬さん、魔力を高める時どのような感覚で操作していますか?」


「えっと、こう、出ろー、という感じで」


「なるほど。その方法は一旦忘れてください。魔力を身体の隅々まで巡らせるように、血管を通る血液が巡るように想像して魔力を動かして下さい」


「は、はい!」


 そう言って再び魔力の操作を始める。初めは何も感じなかったが、じわじわと魔力が全身に浸透するような感覚を覚え、拓海はそのまま魔力の操作を続ける。

 

 やがて全身に行き渡ったと思えた魔力を、今度は身体を駆け巡るように動かす。そうすると、今まで感じなかったほどの強い魔力を感じ取れるようになった。

 

 その様を秀平も見ていて感じ取り、納得できる魔力の高まりに一つ頷く。

 

「よし、その感覚を忘れないようにしてください。魔力を高めずに魔法を撃っても先程のようにダンゴムシを一撃で倒せない魔法しか撃てないと思いますから」


「は、はい!」


「それじゃあ、少し進んで試し打ちをしましょうか。魔力はそのまま高めておいてください」


「わかりました!」


 そうして道を進んでいくと、再びダンゴムシと遭遇する。ダンゴムシの数は4体。驚異になり得ない数だ。

 

 丁度いいと思い秀平は拓海に指示する。

 

「それじゃあ白瀬さん、そのまま魔法を撃ってください」


「わ、わかりました! マジックショット!」


 そうして放たれた拓海の魔法は、先程のぼんやりとした光の塊といった様相から輪郭のハッキリとした威力を物語る魔力の塊に変化し、ダンゴムシを一撃で打ち倒す。

 

 その事に成功か、と秀平は内心で呟くと、続けて指示を出す。

 

「的はまだいます。残り3匹にも同じように攻撃してください」


「は、はい! マジックショット!」


 続けて撃ち抜かれたダンゴムシも光へと消えるのを見ながら、拓海はこちらに近づかせる前に4体のダンゴムシを倒し終えた。

 

 そのドロップアイテムを拾いつつひとみが感想を言う。

 

「魔法の威力って、こうやって上がるんだね。私の補助魔法もそうすると効果上がるのかな」


「補助魔法は分かりませんけれど、多分ヒールなら効果は上がると思いますよ。大崎さんも魔力強化はできるんですから、やろうと思えばすぐでしょ」


「まぁね。このパーティだと中々ヒールを使う機会が無いから試す訳にもいかないけれど」


「お、大崎さんは魔力強化しながら魔法を使うとか、できるんでしょうか?」


 見ると、少し疲れたのか若干肩で息をしながら聞いてくる拓海の言葉に、ひとみが気負いなく言う。

 

「まぁ練習したよ。それこそ秀平君に教えてもらいつつ。秀平君は魔力強化しながら初級魔法を使って、大技の魔法も撃てるけれどね」


「俺の場合、NFOじゃないゲームの魔法体系だからね。そのゲームじゃその程度の事出来なきゃ対戦するのすら困難だったし」


「す、凄いんですね……」


 はぁはぁと息をしながら言う拓海の言葉に少し苦笑を浮かべつつ、秀平が言う。

 

「将来的には白瀬さんにも同じような事できるようになってもらわないとね。その為にも、今の魔力強化を身体に覚え込ませて無意識でもできるようにならないと。ダンジョンに入らない日も魔力強化の練習は続けてくださいね」


「わ、分かりました。頑張ります」


「実戦で使えるのはダンジョン内だけですから、今日は目一杯練習して帰りましょう」


「はい!」


 そうして探索を行い、基本的にモンスターを拓海が処理して進んでいく事で、11階層への石碑を発見する。

 

 すぐに石碑にアクセスして11階層へと移動すると、拓海の前に新しいモンスターが現れた。

 

 大きなアリだ。

 

 秀平達にとっては懐かしいモンスターだが、初見の拓海はその意外な大きさに小さく息を詰まらせる。

 

 アリは団体で居る事が多く、今回も6体の団体だ。

 

 その1体にまず拓海が遠距離から攻撃を仕掛ける。

 

「マジックショット!」


 マジックショットの衝撃でややよろめいたアリに、続けてもう一発マジックショットを撃つ。

 

 その間に奈緒と秀平が近距離戦に持ち込み、奈緒が闘気の刃で、秀平が魔力強化した杖術でアリを打ち倒す。

 

 もうこの階層程度のアリでは敵にならない程度には鍛錬を積んできた秀平達にとっては、単なる素材でしかなかった。

 

 拓海はマジックショットの一撃で倒せなかったアリに思う所があるのか、六角棒を少し素振りしてから、魔力強化を行う。

 

「この階層も、大丈夫そうですね」


「そうね。やっぱりアリだし大したことは無いわ」


 秀平の言葉に奈緒が同意して頷く。

 

 奈緒の表情は物足りないと言いたげなものであるが、今のメインは拓海の階層を引き上げる事だと理解している。

 

 軽く木刀を素振りして感触を確かめるのだった。

 

「それではこの階層も白瀬さんがメインで進んでいきましょう。回数をこなせばアリも一撃で倒せるようになるでしょう」


「はい! よろしくおねがいします!」


 そうして探索を行い、11階層を攻略する頃には拓海の魔法攻撃力はアリを一撃で倒せるようになるのだった。

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