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草原の探索

よろしくおねがいします。

感想読ませていただいております、ありがとうございます。


 東京ダンジョン第21階層草原エリア。ここに主に出現するのは角の生えた大きなウサギだ。

 

 起伏の乏しい草原であるがゆえに不意打ちなどを受ける心配は無いのだが、秀平側もモンスター側も、視線が通りやすいので遠くから見つけては駆け寄って攻撃してくるという事が多い。

 

 そんなウサギ達の主な攻撃方法は体当たりと前歯での攻撃だ。体当たりは十分に体重の乗った攻撃で、連続で押し込まれると態勢を容易に崩す。

 

 基本的には体当たりを迎撃するか、体当たりを仕掛けられる前に速攻で倒すかになる。

 

 ドロップアイテムはウサギの角。その硬質さは中々のもので、勢いをつければ人体を貫く事も可能だろう。

 

 そんな角を鞄の中にしまいながら、何度目かになるウサギの襲撃を攻略する。

 

 ふう、と一息ついた秀平にひとみが声をかけた。

 

「そろそろ一旦休憩しない?」


「そうね、大分進んできたようだし」


「確かに、お腹も空いてきましたしね」


 ひとみの言葉に奈緒も秀平も同意すると、三人で休憩する事にした。

 

 休憩地点と定めた現在地に秀平がフィジカルガードの結界魔法を発動させ、その範囲内で鞄を下ろす。

 

 メイン収納では無い別ポケットの中に入れておいた飲み物やコンビニのおにぎりを取り出して、地面へと座り込んだ。

 

 周囲は草原で下に柔らかな芝生が生えているからそれほど尻に刺激は感じず、落ち着いて座る事ができる。

 

 ひとみと奈緒もそれぞれ飲み物と食べ物を取り出してから芝生の上へと座り、食べ始める。

 

 三人で持ってきた弁当を食べていく中で、ふと奈緒が問いかける。

 

「地面に続いていた後は途中で消えたけど、やっぱりそこで引き返したのかしら」

 

「多分、そういう事なんでしょうね。ここまで何も無いと」

 

 出発地点の石碑から続いていた道の跡は秀平達がいる現在地点より少し手前で途切れていた。

 

 秀平達はそこから少し先へと進んだ所で現在休憩をしている。

 

 だがいまだに周囲を見渡しても何も見当たらない状態なので、どうやら外れの道だったらしいと考えていた。

 

「じゃあ、今日の所はこの後引き返して、探索終わりにしようか」


 ひとみの言葉に秀平が考えてから、それに頷く。

 

「そうですね。ここまで進んでくるだけでも時間かかってますし、引き返すのも時間かかるでしょうし」


「私も賛成。全然準備もしてきていないから、ダンジョンの中で泊まる訳にもいかないしね」


「休憩して戻って、それで今日は終わりだね。今日一日じゃ次の階層へは行けなかったかぁ」


 サンドイッチをもぐもぐ食べながら言うひとみの言葉に、確かに残念だなと秀平は思う。

 

 今まで大体一日に2階層から3階層は進んできていただけに、始めての停滞である。

 

 しかもこの階層、広いので迷いやすい上にどこから石碑に繋がるのかさっぱり分からない。

 

 チュートリアル卒業してからすぐにこうして停滞するとは、中々難易度高いなぁと秀平は感じていた。

 

 それは奈緒も同じなのか、お弁当のおにぎりを食べてから言う。

 

「中々ウサギだけというものつまらないけれど、構造自体が厄介よねこのフロア」


「そうだよね、だだっ広い草原だし」


「本当に、探索を広げないと先へ進めないというのは冒険している気分にはなるけれどね」


「洞窟型はまだ優しいタイプの構造だったかぁ」


「チュートリアル終わった途端唐突に世界に放り出される感じは洋ゲーの雰囲気ありますね」


 秀平のそんな言葉にひとみが「あぁ~わかるわかる」と同意するが、ゲームに触れてこなかった奈緒には通じなかった。

 

「海外のゲームはそういうのが多いの?」


「一応チュートリアル中に説明はしてくれるんですけれどね。終わったらはい、好きなことして、どうぞ。みたいなゲームはいまだにありますよ」


「でも最初に出てくる目的も結局目先の目標でしかないから、大きなストーリーの導線は実は序盤は全く出てこないなんていうのが多いよね、オープンワールド系のゲームだと」


「そうですね。序盤に大きく取り上げられたクエストが実はサブクエストの一つだったなんてよくある事です」


「序盤に出てくる敵対勢力同士の戦争に介入して終結に導くクエストがサブクエストっていうのは中々納得いかなかったな」


「そういうクエストは細々とした作業が多かったりしますからね」


「そうそう、そうなんだよね!」


 秀平とひとみが自身の知るゲーム知識の中から、自分たちの置かれた状況に近い話を続ける内にどんどん話が逸れていく。

 

 そんな二人の会話に知らない知識を植え付けられてきた奈緒がなんとか同意を示しつつ、軌道を元に戻す。

 

「それで、現状投げっぱなしにされている状況だけれど。この先どうやって探索する?」


「とりあえず、石碑から続く足跡を辿って探索、ですかね」


「でもそれもいくつもある訳だし、確実じゃないよ。しらみつぶしにする?」


「……それも非効率よね」


 奈緒の言葉にうぅ~んと唸る。確かに非効率なのだが、現状それしかないかな、と秀平は思っていた。

 

 そんな中でひとみが手を挙げて確認する。

 

「ネットで情報集めて攻略しちゃうっていうのは? まとめサイトとかなら情報あると思うけれど」


「いや、それは止めておきましょう。なるべく自分達で探索して結果を出したいです、俺は」


 ひとみのそんな提案に秀平が拒否を示す。それに奈緒が同意する。

 

「確かに、分かっている道を進むだけなのは冒険とは言わないわよね」


「まぁ、そうだねぇ。私も提案しておいて何だけどそれは無いかなって思ってた」


「じゃあなるべく今後も、俺達は答えだけを確認するような事はしないという事で」


「ネタバレ禁止だね!」


「私もそれでいい。やはり困難は自力で乗り越えてこそだ」


 秀平の基本方針に、ひとみと奈緒も承諾するのだった。

 

 そんな会話を終えてから、自然と三人で揃って立ち上がり、探索へと戻る。

 

 とりあえず今は、石碑まで戻る事に集中するのだった。

書き溜めが尽きたので次の更新は2~3日ほどかかります。

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― 新着の感想 ―
[一言] 「いや、それは止めておきましょう。なるべく自分達で探索して結果を出したいです、俺は」 まるでゲーム感覚ですね。命が掛かっていることを忘れているのではと思います。それも自分一人の命なら好きに…
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