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生徒の保護者が元カノだった  作者: ネコクロ


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第7話「学校の人気者」

「いじめ……」


 その言葉を聞いた俺は、眉を(ひそ)める。


 いじめ問題――本来ならあってはならないことだが、学校生活において切っても切りきれぬ問題だ。

 実際、何十年も前から問題視されている今でも、ニュースに取り上げられることは多々ある。


 しかも、そういったニュースはたいてい取り返しがつかない事態に発展したケースが多く、被害者が助けを求められなくて明るみになっていないいじめ問題や、学校側が隠蔽(いんぺい)したことで明るみにならなかったケースも多いだろう。

 それだけでなく、教師側が目を光らせても、生徒が陰に隠れて(おこな)っていることもあり、発見するのが困難なこともある。


 もし本当にいじめなら、何かしらの策は絶対に考えないといけない。


「噂になっているってことは、元々クラスでいじられる傾向にあった子だったのかな?」

「いえ、違います」


 俺の質問に対し、上条さんは短く言葉を切り、首を横に振る。


「これはあくまで、噂でしかないです。実際にいじめられているところは見たことがないですし、他の人たちも彼女がこなくなったから、そう噂しているだけでした。何より、あの子がいつも一緒にいた子の一人は、学年でも人気が非常に高く、彼女の幼馴染です。村雲さんをいじめた場合、その人気者に嫌われることになるのに、手を出したとも考えられません」


 学年でも人気が非常に高く――か……。


 となると、美鈴ちゃんのような子だろうか?

 確かに俺が高校時代、美鈴ちゃんの周りは人が多く集まり、彼女に気に入られようと必死で(こび)を売る子も結構いた。


 それは男女問わずであり、彼女自身に良くするだけでなく、美鈴ちゃんが仲良くしている子にも、みんな優しくしていたと思う。

 カースト上位、というやつなのだろう。

 ああいう感じをイメージするなら、村雲さんの幼馴染が人気者であり、その幼馴染と村雲さんが仲良しであるのなら、他の生徒が手を出すとは考えづらい。


 ――だけど、それは表での話だ。


 その幼馴染と仲がいいからこそ、目の(かたき)にされて、他の人には気付かれない裏でいじめているという可能性は、十分に考えられる。


「そしたら、その幼馴染の子の名前を教えてくれるかな? まずはその子から話を聞いてみたいから」

「いいですけど――」


 俺は、上条さんから名前を聞き、すぐにその子のところへ向かうのだった。


          ◆


「――まじか……」


 A組を覗きにいった俺は、女子たちが仲良く机をくっつけてお弁当を食べている光景に、圧倒される。

 十人以上が集まっており、彼女たちの視線は一人の美少女へと注がれていた。

 その美少女が話す言葉に、皆笑顔で相槌(あいづち)を入れたり、笑みを零したりしている。

 見た感じ、みんなお弁当は食べ終えているようだ。


 数学の授業を教えに来ているからわかるが、その皆から視線を注がれている子が、村雲さんの幼馴染である、美堂(びどう)彩花(さやか)さんだ。


 あの中に入って声をかけるって、さすがに先生でも勇気がいるな……。


 まず間違いなく、俺が学生時代ならあの輪に近付くことは避けていただろう。

 きっと声を掛ければ、『なにこいつ?』みたいな感じで、取り巻きの女の子たちから冷たい目を向けられるはずだ。


 正直、上条さんと別の意味で美堂さんには声を掛けづらい。


 放課後にするか……?

 いや、あの手のタイプの子は、放課後になっても女の子たちに囲まれているし、なんならそのまま遊びに行くことが多いはず。

 というか、休憩時間でも、授業が終わればすぐに囲まれてしまう子だろう。


 そうだとしたら、いつ声をかけても一緒なので――俺は、覚悟を決めることにした。


「ごめん、美堂さんはいるかな?」


 俺が教室の外から声をかけると、まるで訓練された兵隊のように、女子たちの顔が一斉に俺のほうを向く。


 うん、怖いよ。

 一気に気まずくなるし、なんでこう、この学校の女の子の中には、人を従えるのに優れたような子が数人いるんだ……?


「あっ、白崎先生。はい、私はここにいますよ」


 そんな中、まるで戦場に咲く一輪の花かのように、美堂さんがかわいらしい笑みを浮かべながら席を立った。

 他についてこようとする友人たちを笑顔で制しながら、彼女は優雅な足取りで俺の元へと歩いてくる。


「食事中にごめんね」

「いえ、もう食べ終わっていまして、みんなで雑談をしていただけですので。それよりも、どうなさいました?」

「美堂さんって、村雲さんの幼馴染なんだよね?」

「……っ」


 俺が村雲さんの名前を出した瞬間、御堂さんは一瞬顔が硬直した。

 ――ように見えたが、すぐに彼女は悲しそうに目を伏せた。


「瑠美ちゃんの件ですか……。そういえば、瑠美ちゃんは白崎先生が担任をされている、E組になったのですよね……」


 自分のクラスでもなく、学校にも来ていない子のことなのに、美堂さんはちゃんと村雲さんのクラスを把握していたようだ。

 やはり、仲がよかったんだろうな。

 そんな子が不登校になってしまえば、話題に上がっただけで悲しそうな表情をするのも無理はない。


「そうなんだ。何か事情を知っていれば、と思っているんだけど……」

「申し訳ございません……。私も、わからないのです……。急に学校にこなくなって、連絡しても返事がなくて……。お家に会いに行っても、会ってくれません……」


 やはり、俺の想像した通り彼女は『知らない』と答えた。

 そこまでは、予めわかっていた感じだ。


「いじめ、という噂を聞きますが、私にはとても考えられないのです。学校でも、登下校でも私はほとんど一緒にいましたが、瑠美ちゃんがそのような目に遭うところは、一度も見たことがありませんので……」


 美堂さんは、俺がいじめの件を持ち出す前に、自分から話してくれた。

 幼馴染であれば、高校までのルートもだいたい同じだろうし、学校でも一緒に居ることが多かったのなら、確かに彼女の言う通りだ。


 もしかしたら、周りがいじめと決めつけているせいで、逆に原因を言い出しづらくなっているのか……?

 美堂さんが会いに行っても会おうとしないのなら、家庭内暴力や虐待で、会えないようなことになってる可能性も……?

 もっといえば、誰かが家で村雲さんの傍についており、美堂さんに何も言わないように村雲さんを脅しているとか……?


 ――いや、さすがにそれは考えすぎか……。

 でも、いったい何が理由で、幼馴染の美堂さんにすら会わないのだろう?


 俺は謎が解けるどころか、更に謎が増してしまった。


「ごめん、ありがとう。ちょっと俺のほうで考えてみるよ」


 これ以上美堂さんを付き合わせると、離れた位置から俺を睨んでいる女子たちの目が怖いというのもあり、俺は彼女を解放した。

 謎は全然解けていないのだけど、この件で彼女から引き出せる情報はあまりなさそうだし、これも仕方がない。


 後は、休日にゆっくり考えてみて、状況を整理したほうがいいと俺は思うのだった。

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