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90.パルタリスじゃ


 父上、母上、パルタリスまで来ておるぞ。

 国境の町、タリナスまでもう少しじゃ。


 シルベリアから出るときにの、ペコランが待っておっての、タリナスまで戻るから一緒に行こうというのじゃ。

 旦那さんの荷馬車、ペコランの荷馬車、わしのメビウスと旅の仲間が増えて楽しくなってきたのう。ペコランは味噌と醤油を売りに持ってきておって、帰りはチーズが満載じゃ。旦那さんは日干しの魚じゃの。二人で荷馬車を並べて商売の話をしておる。

 夜にはキャンプして、ペコランの作った味噌汁と川魚の干物を炙って夕食じゃ。

 ペコランが煮干しを教えての、川魚から出汁が取れておいしい味噌汁になるのでの、旦那さん興味深げだったぞ。いろんな街のいろんな産物が合わさって、よりおいしいものになるのじゃ。

 これからが楽しみじゃの。


 朝、キャンプを片付けておるとの、ぶわっと魔法陣が展開して、シルビスが現れたのじゃ。びっくりしたわ。

「様子を見に来た。タリナスまで送ってあげる」と言うのじゃが、空気を読まんアライグマじゃの。道程を楽しむのが旅というものじゃ。無粋じゃの。

「……ナーリンちゃん魔族の知り合いが多いんだね。何者なの?」と今頃になって旦那さんが不思議がるのでの、「わしも魔族じゃ」と言うとびっくりしておったな。全然わからなかったというのじゃ。

 ま、これでもルルノール学園の生徒をもう二年半もやっておるからのう。


「召喚したほうが早いのに……」とぶつぶつ言うシルビスを鞍の前に乗っけての、四人でパルタリスまで向かうのじゃ。

 旅は道連れ世は情けじゃ。こういうのも楽しいものじゃ。


 パルタリスは宿場町。

 旦那さんが宿屋を回って魚を売ってくるそうじゃ。ここでお別れじゃ。

 宿屋では魚料理だったのう。

 シルビスがうるさいし、ペコランも送召喚で一気にタリナスに行けるならそのほうがいいと言うのでの、ここで一泊したら、明日は一気にタリナスに全員で飛ぶ予定じゃ。

 シルビスが面倒なのじゃが、まあ宿屋で一部屋借り、一緒のベッドで寝ることにしたわ。

 おやすみなのじゃ。

 

     1030年8月12日 パルタリスから。ナーリン



次回「タリナス到着じゃ」

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