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89.シルベリアからじゃ


 亀のペコランといっしょにシルベリアに到着しての、去年は橋を渡るときに強盗団に取り囲まれて大騒ぎになったところじゃ。

 ペコランは荷馬車じゃ。二人でいろいろ語り合いながら馬二頭並べて歩くのもいいもんじゃ。

 学園は楽しいかとか、王都の市場はどうじゃとか、てくてく、ポクポクとな。

 野盗に襲われたことはあるかと聞いたらの、あるが、火を吹いてみせたら逃げて行ってそれっきりじゃと。なかなかやるのう、ペコラン。

 

 わしは若夫婦のことが心配で心配でのう、残党に仕返しされたりはしておらぬかのと到着してペコランと別れて真っ先に顔を出したのじゃ。


 無事じゃった。

 ほっとしたのう……。


 奥さん、大きなおなかをかかえてふうふういっておっての、おめでたじゃ。

 嬉しいのう。

 わしでもこんな若夫婦の小さな幸せ、守ってやることができたのじゃ。

 あれからなにかなかったかと聞くとの、なにもなかったと。

 旦那さん、べリア川の強盗団、退治されたらしいぞとこっそりウワサを流しての、商人仲間も喜んでおったそうじゃ。

 商人は前以上にハンターをやとってちゃんと護衛をさせておるし、心配はないと言って笑ってくれたの。


 奥さんはおなかが大きいのでお留守番での、明日からパルタリスに行くから護衛してくれないかと旦那さんに頼まれての、一緒に行くことにしたのじゃ。

 この晩は泊めてもらったの。

 馬小屋を借りてメビウスと一緒にわらのベッドじゃ。

 奥さんには新しく料理も教えてもらったぞ。

 次の炊き出し実習で出してみようかの。


     1030年8月10日  シルベリアより。ナーリン



次回「パルタリスじゃ」

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