86.ノルワール到着じゃ
父上、母上、心配せぬように。息災じゃ。
今回は馬を一頭借りてのう、それに乗って旅することにしたのじゃ。
一人旅じゃの。この馬はハンターギルドの馬での、ジョーウェルに借りたのじゃ。
例のハンタークラブ遭難事件の謝礼とか申しての、夏休みの間中貸してくれることになったのじゃ。
栗毛での、かわいいのじゃ!
メビウスというんじゃ。旅慣れておってのう、大抵のことには驚かん度胸もあるいい馬じゃ。
馬でてくてく歩いていくというのは実に楽しいのう。
目線が高いのでな、風景が広がるわ。
途中途中で水を飲ませたり草を食べさせたりと、世話も楽しいのじゃ。
馬と旅するってこんなに楽しいんじゃのう。
すっかりわしに懐いてくれての、わしの相棒じゃ。
途中で一泊キャンプしての、馬って本当に立ったまま眠るのじゃのう。
ここまで危ないことはなんにもなしじゃ。
ノルワールの宿屋で馬を預けての、市場など見て回っておる。
やっぱり王国第二の都市とあって王都とあんまりかわらんわ。
ここにも大きな劇場があるのだのう。
チラシを送るぞ。
「小さな恋のハミング」というのをやっておる。
子役が主役という珍しい演劇じゃ。
子供同士の淡い恋物語じゃ。母上にはちと刺激が足りんかもしれんのう。
わしはどうでもいいので観ておらんが、子役が美少年と美少女で初日公演から大人気なのじゃ。
子供らには学校があるのでの、夏休みの間だけしかやっておらぬので観に行くならおはやめがお勧めじゃ。
1030年8月3日 ノルワールより。 ナーリン
追伸
浮浪児たちにどんな職をやればよいかと考えたことがあるのだがのう。
劇団で子役をやらせるというのは悪くないかもしれん。今度孤児院に提案してみようかの。
次回「タスラン到着じゃ」




