79.ハンタークラブが大変なのじゃ
父上、母上、もう連絡が行ったかのう。
ちっとチリティの手を借りたのじゃ。申し訳なかったの。
説明させてほしいのじゃ。
休み明けの授業中にの、教室にどかどかとハンターギルド会長のジョーウェルが入ってきおっての、「手を貸せ」と言うのじゃ。
「わしは授業中じゃ。見ればわかるじゃろ」
「それどころじゃねえんだよ!」
「学生に授業より大事なことなどないわの」
「頼むから!」と言って手をひっぱられたのじゃ。
ピタラコスを見ると、頷いて、手を振るのじゃ。
行ってあげなさいと言うことかの?
あ、書き忘れておったがピタラコスまたわしの担任なのじゃ。三年連続じゃぞ。
わしそんなに目を放すと危ないのかのう?
歩きながら話を聞くとの、うちの学園のハンタークラブどもが行方不明での、帰ってこんらしいのじゃ。
「なんでそれをわしに言うのかの」
「お前ならなんとかするだろ」
「なんでわしがなんとかするのかの?」
「あーっもうめんどくせえなあ!! 同じ学生だろ! お前のクラブだろ!」
「わしはハンタークラブには入っておらぬぞ」
「あっそうだったのかてっきり……」
なんでもの、昨日双子山に向かって狩りに行って、そのまんまだそうじゃ。
「ハンターギルドで山を捜索すればいいじゃろう。そんなこともやらんのかの」
「やれるんだけど、それやると人手使うからあいつら一生かかっても返せん借金背負うことになるだろ」
そういうことかの。
「ならばちと着替えさせてほしいのう」
「急げよ」
そのまんま寮に戻って、装備して、馬に二人乗りしてハンターギルドに行ったのじゃ。上層部と学校関係者が集まってどうするこうするとモメておる。
「お前、なにかいい方法ないか?」とジョーウェルが言うのじゃ。
「……口出さんで任せてもらえるかの?」
「ありがたい。頼む」
それからわしはドラゴンの発着場に飛んでのう、ちょうど来とったチリティに頼んでの、二人で双子山上空、飛び回って捜索したのじゃ。
チリティのドラゴン、レッドドラゴンのアカミちゃんじゃがの、人間の匂いがわかるのですぐ見つかったわ。
木の下にクマが頑張っておるので全員木の上に登ってクマが昇ってきそうになると槍で突いておったな。
わしはアカミちゃんから飛び降りての、クマに電撃浴びせて即死させたわ。
攻撃されて手負いにされたクマは次からも人間を見れば襲うようになる。
ここで逃がすわけにはいかんからの。まったくいらん殺生じゃ。
五人全員木から降りてきて、「た……、助かった――!」と言うのじゃ。
どいつもこいつもヘタレすぎるわの。
驚いたのはメンバーにトラスタンがいたことじゃの。
そういえば今日休んどったの。
「……なにをやっておるのじゃ」と言うとの、メンバーが子熊を殺しての、それで親が激怒して襲ってきて一晩中木の上で防いでおったそうな。
当たり前じゃ。なんたる素人じゃ。
トラスタンいつハンタークラブに入ったんじゃ。剣術部じゃなかったかの?
みんなヘロヘロに弱っておるのでな、送召喚の転送で全員一気にハンターギルドのホールに運んだらみんなさすがにこれはびっくりしておったな。
ケガ人も何人もおったのじゃが、もう知らんわ。
「ありがとう……。今回は本当に助かったよ」とトラスタンが言うのでな、「おぬしらの礼など聞きとうない」と腕組んで仁王立ちしてへばっておる全員を見下ろしたわ。
「わしは授業中だったのじゃ! 学生の本分をなんと心得る! おぬしらがわしに言わねばならんのは礼ではなく謝罪じゃ! わきまえい!」と怒鳴るとな、全員、「申し訳ありませんでした!!」と頭、床に擦り付けて土下座じゃな。トラスタンもじゃ。
ギルド全員大笑いじゃ。
まったく大迷惑じゃて。
「裁きを申し渡す」
全員、ギョッとしてわしを見るのじゃ。
「クマは山の主様じゃ。その主様の子を必要も無いのに面白半分に殺すなど言語道断、狩人の風上にも置けぬ恥さらしじゃ! ハンターカードの半年間資格停止申しつける。よいな会長」
ジョーウェル、苦笑いして頷きおったの。
チリティに礼を言うておいてくれ。飛び降りてそのまんまじゃったからのう。
そんなわけでチリティのドラゴン便、ちっと遅れるかもしれん。
許すのじゃぞ。
1030年5月11日 ナーリン
次回「三年の体育祭じゃ」




