53/106
53.タスランからの手紙じゃ
今日も乗合馬車じゃの。
タスランという街じゃ。
大きな街が続くのじゃ……。人間の国の規模は本当に大きいのう。
ノルワールの半分ぐらいの街じゃが、ここでもまだ魔王城下より大きいのじゃ。
街はずれで石臼水車の準備をしておった。
小麦の収穫が近いからのう。
風車でなくて、水車を使うというのが面白いのう。
風車は、風が無い日は仕事休みじゃが、確かに水車なら一年中使えるの。
このあたりから街はレンガ、石造りは減って、だんだん木造、しっくいになってきておる。市民生活のレベルがだんだんと下がってくるのじゃ。
貧富の差、じゃな。
田舎になるほど生活が悪くなる……。人間社会の常識じゃ。
魔族だと田舎ほど山の幸、川の幸に恵まれて魔王城下よりいいもの食っておったりするのだがの。
市場に顔を出したりしての、いろいろと細かく買い集めて、美味い物を探すのじゃ。
今凝っておるのはソーセージじゃ。
タスランのソーセージは美味いのじゃ! ちゃんと燻製しておる。
薬草もピリリと利いて、おすすめじゃな。
王都より安いしの!
1029年8月6日 ナーリンより。
次回「アーリャンからの手紙じゃぞ」




