27.冬物衣料を買うのじゃ
父上、母上。
寒くなってきたのう。風邪などひいておらんかの。
魔族領よりこっちのほうが温暖だとは聞いておるがの、着ていいのは制服だけじゃからのう。オーバーとか買う必要があるのじゃ。
これはわしにはさっぱりわからん。魔族みたいに毛皮着て学校に行くわけにもいかんじゃろうしな。街でも毛皮は見かけんからの。
プラルと一緒にお買い物じゃ。
わしはハンターのバイトで相当金を稼いでおるのじゃが、だからと言ってあんまり高いものを買うのもヘンじゃし貧乏っぽすぎるのもどうかと思うしの。
びっくりしたのじゃが貴族向けの毛皮のコートとか高級品じゃぞ。
これはいい輸出品になるの。テンとかキツネとか高値が付くぞ!
調べてみるとよいと思うぞ。
プラルに選んでもらったのが羊毛のオーバーじゃ。
農家が羊を飼っておったが、肉にするだけじゃなくて毛も売り物になるのだのう。
暖かくて快適じゃ。魔族だとそのまんま毛皮にしてしまうがの、織物にするというのはちょっとなかった発想じゃの。
手袋、帽子、マフラー、それにストッキングじゃ。
冬の間ぐらいズボンでいいと思うのじゃが、おなごは冬の間もスカートでないとダメなのじゃ。厳しいのう。
毛糸というものがある。羊毛をふわふわの糸にするのじゃ。
これを編み棒で編むと手袋やマフラーやセーターが作れるのじゃ。
わしもカーディガンを一着買ったわ。
毛糸から服を編むというのはこちらのおなごのたしなみの一つでの、寮のおなごたちもヒマな時は編み物をしておるというのは普通の光景じゃ。
考えてみると毛皮にしてしまうと羊が一頭いなくなるがの、毛を刈るだけなら一頭から何度も何度も刈れるのじゃ。確かに合理的じゃ。
父上はふぁっしょんというやつにはうといからの。さすがにこういう知識はなかろうて。
編んだものを殿御にプレゼントするというのは最高の愛情表現じゃ。
プラルも班の貴族の子にマフラーを作ると毛糸玉を幾つか買い込んでおった。
わしにはあんなちまちました作業は願い下げじゃ。
やりたい殿御もおらんしの。
父上はわしが編んだマフラーなど欲しいかの?
わしならお断りじゃの。
そんなものおなごにもらっても、いつもそのおなごに首を絞められておるような気がするだろうて。まっぴらごめんじゃ。
1028年11月3日 ナーリンより。
次回「読書の秋じゃ」




