100.修学旅行じゃ3
海じゃ! 港じゃ! 魚じゃ!!
魚市場、すごいのう!!
魚など、魔族領では川でしか獲れぬからのう。わしはあんなにたくさんの魚を見たのは初めてじゃ!
わしより大きい魚など初めて見たわの。
獲って来たばかりじゃし、どれもこの場で生で食べられるほど新鮮なのじゃ。
魚を生で食べるなんて考えられんことじゃ。
マヨネーズで食べるのじゃがの、美味いのじゃ!!
これはすごいのう。
魚は腐りやすくての、王都には流通しておらぬ。
だから値段も安いのじゃ。これ王都に運べるようになればいい商売になるのじゃが……。召喚術で運ぶのは、ちと反則かのう。
ここで買い付けて、ミルティーの店の名物料理にできぬかの。
市場の場所をちゃんと覚えておかねばの。
イカとかタコとか見たことあるかの?
水槽でうねうねうねうねしておった。こんなもの食べるのかの……。
見た目はどこの魔物じゃという感じだがのう。
貝もいろんなものが採れるのじゃ。
魔族ではたにしやカラス貝ぐらいしかおらんしあんなもん誰も食わんが、こちらの貝は焼くととてつもなく美味いのじゃ。
どれもこれも醤油をつけるときっとうまいと思うぞ。
この街に醤油を売り出すのはどうかのう。
めちゃめちゃ売れると思うがのう。
あ、興奮しすぎて書き忘れておったが、パーナルという街じゃ。言わんでも知っておるか。有名じゃからの。
海じゃ海じゃ本物の海じゃ!
わしより前が全部水じゃ! いや、海水じゃ!
湖と違って水の向こうに山が無いのじゃ! いや陸地がないのじゃ!!
なめるとホントしょっぱいのじゃ! これが全部塩水とはのう……。魚の味が濃いわけじゃ。
この大地はほとんどが海で、実は陸地のほうが小さいのじゃと父上に言われてものうすぐには信じられん話じゃがのう、こうしてみると、海のほうがでかいという話、信じられそうじゃ。
漁船がいっぱいじゃ。
ここで魚というのはな、網で捕まえるのだぞ。
あんなでっかい魚どうやって釣り上げるのかと思ったのじゃが、網なら納得じゃ。
南方からの貨物船も着いておる。
でかい船じゃ。ドラミちゃんぐらいあるぞ。びっくりじゃ。
この船が柱が何本も立っていてのう。布を張って風で動くのじゃ。
これだけでかい船なら荷物がいっぱい載るのう。
ドラゴン便では荷馬車一、二台分ぐらいしか載らないがの、船なら大量に運べるからのう。
魔王領に港を作って、船で荷物を運んで、運河で魔王城下まで……。
何年かかるか、大計画じゃのう。
父上が生きとる間に実現できるかの? あっはっは。
南方の人は日焼けして真黒じゃ。こげ茶色というか褐色と言うか。
王都でもあんまり見かけん。みんな髪が真っ黒なのじゃぞ。
南方に諸島国家があってのう、百年以上前からずっと取引しておるのじゃ。
同じ人間同士だがの、これも異種族交流だのう。
ここから世界がずっと広がっておるのかと思うの。
外国じゃ。今まで考えたことも無い、魔族領よりもさらに広い広い、大きな世界じゃ。
わしの知らなきゃならない世界は、まだまだたくさんあるのだのう。
ドラミちゃんに乗って、旅してみるかの?
それとも船に乗せてもらって、旅するかの?
なにがあるかのう?
何が待っておるのかのう?
新しい世界、知ったら、いても立ってもおられないわの。
楽しみすぎじゃ。
わしは田舎者丸出しでのう一日中大騒ぎしておったので班の殿御が全員引いておったのう。「落ち着けナーリン」と二十回以上言われたわ。
夜、宿屋で、魚にこっそり醤油出して食ってみたのじゃ。
思った通り、やっぱり最高じゃの! これを商売にしない手はないのう!
父上も母上も、ぜひ検討してもらいたいわ。
10月30日分。 つづくのじゃ。
次回「修学旅行じゃ4」




