第9話「起・クールマ育成計画②」
第1の街ライデン、ギルド本部。
製作委員会の改善を後回しにし、まずは自分達の置かれている現状の改善を優先することにした。
即ち、小説と絵の効果倍率問題である。
天上院咲と姫は、次に吸血鬼大戦で大問題になった〈絵〉の定義について考える。
「世界が願いを叶える事は解って。それを大体、紙が介在しなければ叶えなくて良い、まではいい感じになったが。問題は絵の方なんだよな……」
姫がこれまでの過程を全否定するような事を言う。
とにかく絵は文字では無いので抽象的で、直感的で、理詰めには向いていないのだ。
咲は文法体質だが、下手だがある程度の絵はかけるので何となく今までの経緯で解る。
「だよね、例えば。〈剣〉って書けば剣の情報とイメージは読者に伝わる。小説のタイピングでも工数は〈KENN〉と押すだけなので工数4しかかっていないのに、正確に読者に誤解無く伝わる。一方、ラクガキ程度の〈絵の剣〉ならそれこそ工数10本の線だけで終わるかもしれないけど。〈プロの絵〉や〈プロに近い絵〉となると、工数100以上や、思考回数もその総体時間も長い。これが原因で〈お父さんが許さない〉という思考の動機で描いてもいないのに、その頭上の頭の思考まで重要視され、絵に載っていないのに〈意図していないものが伝わった〉という本編とは全く関係ない真実が表面化した。これのせいで【絵を描かないで小説を書いている理由】にもなっている訳だ」
製作委員会よりよっぽど致命的な誤作動である。
姫もその意見には同意する。
「うん、文字の紙媒体ではクールマに食わせる情報としては正しいが。絵の場合ちょっと話が違ってくるのは解る。同じ剣でも〈文字の剣〉と〈絵の剣〉では全く情報量が違ってくる。小説や文字は、目に視えて叩いた数が解るし、他者の理解度も行動力も段違いだが。絵も同様に考えて入るし、線の工数も目に見えて解るが。全部じゃない」
「だよね、発注した値段の問題でも無いよね……」
と、そこまで咲が言って、姫はふと気づく。
「……、いや。少なくとも私達自身が発注金額や、作業時間をあらかじめ設定しておけば、まともな数理が出てくるから少しはマシになるんじゃないか? かなり特殊だが、例えば、発注書の段階で、発注金額と作業時間を明記して置いて〈発注書〉として置いておき、その後〈完成絵〉の2つの情報をクールマに食べさせて願いを世界規模で叶える……とかなら、まだマシになると思う」
例えば、発注書の内容が〈剣〉でも、発注金額が1000円、作業希望時間が1時間なら、まあまあいい感じの剣の絵が出来上がるだろう。
勿論発注書なので、そのた色々な剣の設定用紙も必要になる。
例えば同じ剣の発注書だとしても。
剣、100円、10分の発注書と。
剣、1000円、1時間の発注書では、工数も思考数も変わってくるという考え方だ。そして発注した〈剣の設定〉は変わらない。
一つの目安にはなるだろう、という考え方だ。
「で、この世界種に食わせる〈絵〉に関しては見た目の〈工数〉だけではなく、〈思考数〉もカウントしなければ、同じ失敗を繰り返すことになる。ここが難しい、だって手元に無いんだから」
咲がそこで気づく。
「ああなるほど、それで普通はいらない、思考した時間の長さ〈作業希望時間〉が発注書の中に無いと、クールマがどれだけの思考を食べたか判らないわけだね」
「そういうこと。10分の思考数を叶えたのか、1時間の思考数を叶えたのか解らななくなる」
姫はそう断言する。
あとは。発注書に、重要度が高いほど、クールマが認識する「思考数の補正値」が上がるようにする。という〈5段階思考重要度〉が追加された。
「なるほど、これにより、単に時間をかけただけでなく〈どれだけ深く、その絵の役割について考えたか〉もクールマに伝えられる訳ね……!」
「こんな所かな?」
「これ以上は蛇足だと思うからそんなところだと思うな」
咲と姫はそれぞれ合意し、クールマにこの出来上がった文字の紙を食べさせた。
◇
【クールマ育成計画、絵画編】
第1条、1枚の紙でも文字と絵では性質が違うことを認識する。
第2条、世界種に紙を食べさせる時は。〈発注書〉または〈ネーム〉と〈完成絵〉を食べさせてから願いが叶う。
第3条、お絵描きの作業時には、工数と思考数が存在する。
第4条、発注書には〈設定〉以外に、〈発注金額〉と〈作業希望時間〉と〈5段階思考重要度〉が存在するとクールマは食べやすくて嬉しい。




