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ドアの世界~少女は異世界ゲームで名を揚げる。~  作者: ゆめみじ18
第1章「エタニティー・サーガ」西暦2037年11月18日〈水〉

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第8話「結・戦空は全てを選ぶ必要はない」

 第1の部屋〈エレメンタルワールド〉、アシアー大陸、第1の街ライデン、街中から外れた草原フィールド。

 信条戦空と桜愛鈴は、久しぶりに戦闘に慣れるために設定上無敵状態になった無敵スライムと格闘をしていた。

 簡単に言うと本番前のトレーニングである。


「確かにこの世界には選択肢は無限にある、皆の手も借りればそれこそ無限に手を付けられる……だからといって自分の手は有限で一箇所しか無いわけで。それを解ったうえでどれを選択するかが重要なわけよ」

 先導していた桜愛鈴がホラ観たことかと戦空に自慢・優越、に浸りながら彼に教える。


「でもだからといってウチは何も持たねえぞ? しいて装備するとしたら、ガントレットだけだ」

 風とか波動とかは使うが基本は何も持たない戦空。

 そんな彼がこの先の敵には何も持たないと勝てないと感じてしまうほどに実力差が開いてしまった……、仮想敵は天上院咲や真城和季だが……。


「まあだから、全部を選んで手に持つ必要はないけど、せめてガントレット、装備品のバージョンアップぐらいは考えたいわよね……。咲ちゃんなんてちゃんと努力してきたから、真昼ノ剣と真夜ノ剣だよ? もう装備品の段階で名前負けしてるのよ」


 今までは素の実力、素質や才能、豪運だけで勝ってきた戦空だが、咲はもはやその不幸を跳ねのけて、実力で戦空に並んだ……、いや、紙の件や不運の件があっただけでもう追い越している。ここから先は、戦空も技工を身に着けなければもはや咲に太刀打ちできないほど、実力が拮抗し始めていた。

 

 戦空は、ただ世界に愛され選ばれただけで。努力を怠った、怠け者の兎。

 そこに、ただ我武者羅にノロノロと頑張ってきた亀さんな咲がレースで追い抜いただけである。

 もはや何が起こっても軽視できない存在である。


「世界が戦空を勝たせようとしていただけで、あんたが怠けてたら、そりゃ世界だって失望するわよ」

「いやそんなつもりは無かったんだが……」

 ライバルが出現したかは定かではないが、戦空が怠けていたのは確かであり事実である。例え昔、努力していたとしてもだ。


「で、ガントレットの装備品か……アテがないな……」

「考えられるパターンは2つぐらい、1つ目はゲーム内にあるガントレットアイテムをそのまま拝借するか、2つ目は昔らしく映画の名前から取るか……」

 戦空の悩みに、鈴がアイディアを提示する。


 桜愛鈴がいい感じのガントレット名を言おうとしたが、戦空がその前に注文を出す。

「鈴、別に名前は考えてもいいけど、頼むから単純明快な名前にしてくれ。難しい漢字は嫌だ」

 注文の多い料理店ほどではないが、こと戦空のガントレットとなると盛りたくなるのは今までの冒険のサガだろう。


 散々悩んだ挙げ句、信条戦空の持つガントレットの名前を〈波動気流(はどうきりゅう)〉と命名した。

「漢字にルビとかつける?」

「いらない、英語系は映画から取るよ」


「ふーん、例えば?」

 戦空は、装備した波動気流をブンブン馴染ませてから言う。

「例えば、スキル〈一番星(スターワン)〉とか!」

 鈴は、味気ないな……、とは思ったが。最近名前を凝りすぎてると思う所もあったので、その単純明快さも一理ありだな、とも思った。実に戦空らしい。


「まあ、咲ちゃんと比べたら、まだまだ名前負けしてる所はあるけど、無いよりかはいいかな……」

 とか、どこか腑に落ちている彼女が居た。

 

「じゃ私の刀にも名前付けるか~……、スキルは〈押す力〉と〈引く力〉で決まってるけど……」

 夜鈴は呟き、その〈無名の刀〉の名前を考える……。

 流石に仮想敵が咲なので、真昼ノ剣や真夜ノ剣に負けない名前にはしたいと考える。

 頭の良い鈴は、軽く頭をひねって。短い時間でさっさと決める。自分の装備品の名前を〈詩分割刀(スプリット)〉と名付けることにした。実にセンスが良い。


 意味は、動画編集時に用いる分割〈スプリット〉から取り、叙事詩〈サーガ〉を分割する刀。という意味合いを付けた綺麗な名前だ。


よし(・・)。じゃあそこの無敵スライムで試し切りしますか!」

「おう! 待ってました!」

 二人は草原フィールドで、戦闘練習モードに入った。


 ◇


 信条戦空(しんじょうせんくう)

 拳装備、波動気流(はどうきりゅう)

 スキル、一番星(スターワン)


 桜愛鈴(さくらすず)

 刀装備、詩分割刀(スプリット)

 スキル、押す力、引く力。

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