第7話「転・エージェント育成計画」
「だから、私は良い作品を作ることが仕事であって商品に関することは基本ノータッチだと毎回定期的に言っている……はずなんだけどな……」
湘南桃花が前回と同じことを言った。
「アニメプロデューサーとかに成れる存在が何を言ってらっしゃる」
天上院姫は茶化しながらその言葉を跳ねのけた。
つまり関係あるから参加しろと言っている。
で、天上院咲から前もって貰った製作委員会形式の資料を、長々と配られたあとにそれを元に、提案する。
「ん~、てことは。まず〈エージェント〉と契約することが大事なわけだ。漫画出版社もアニメ制作会社も自分・または会社の利益をどうしても優先するので。作家・原作者の利益は二の次になっちゃうわけだ。だからお金が回ってこないし降りてこないし、回って来たとしても雀の涙と……。しかも最初から元手が無いから泣き寝入りするしかないみたいな感じなのね」
作家本人の実力の有無はともかく、その実力の範囲内で収益を最大化出来る交渉のプロが仲介人として入っていないから、何も知らない作家さんは最初から不利な契約書で仕事をさせられると。
これはつまり、全ての作家さん、または作家志望の方々にエージェントが居る事にもなる。
しかし、エージェントという職業が日本で少ないし、その職業の認知度が低いがために、将来の職業はエージェントです。とう若者や希望者も居ない。という事にもなるわけだ。
「ん~、となると。姫ちゃん、この前言ったアニメ・漫画・ゲーム会社のテコ入れもそうなんだけど。星明幸=ミュウ=天上院姫ちゃんは、まずエージェント会社立ち上げたてみたら? どうせあんたら色んな所を横断するし、原作者や作家に寄り添う姿勢を見せないと、この先の作家業界の未来は暗くなる。なら、製作者委員会の中にクリエーター陣代表を潜り込ませる、または設置させるにしても、エージェント会社ないと、作家は毎日の作品づくりで忙しいし、それどころではないと思うわよ?」
「つまり、創造神の天職はエージェント会社って事になるのか?」
漫画・アニメ・ゲームなどの原作者、創作者の利益を最大化するための交渉会社。
やることが多岐に渡り、メディアミックス化もするので原作者1人ではとても無理。そして作家志望の方々にも最初から寄り添える組織であったならば、就活の時どれだけ心強かったかは言うまでもない。
「じゃ、改めて日本ではあまり普及していない。エージェント会社の定義をお願い」
湘南桃花がそう言った。
定義確認◇エージェント会社とは、特定の分野のクリエイター〈作家、漫画家、脚本家、監督、俳優など〉と契約を結び、そのクリエイター個人の代理人として、彼らの才能と作品の価値を最大限に高め、ビジネス的な利益を最大化することを目的とする専門企業のことです。
エージェント会社は〈クリエイターをビジネス的な側面から守り、育て、そして成功に導くためのプロフェッショナル集団〉と言えます。 クリエイターは作品を創造することに集中し、ビジネス面はエージェントに任せることで、より多くの利益を適切に得られるようになることを目指します。
咲は紙面にて、ずらりと羅列して定義を示す。
桃花は、細かいことは判らないが、とりあえずそのエージェント会社が日本に少ないことに対しては認識した。
そして天上院姫こそ、そのエージェント会社を立ち上げるべきだと助言した。
「なるほどな、わかった。その方向性で動いてみよう」
会社を立ち上げるのは簡単そうだが、メディアミックス化するとなると、それ相応の知識、法律とか契約書に強い人材の育成が必要そうな内容だなということは解った。
日本のエージェント会社を今後増やす、その方向性で姫と桃花は一致した。
これらの専門知識を持つ人材を「育成する」というのは、長期的な視点が必要な大仕事。大学の法学部やビジネススクール、エンタメ専門学校などと連携して、エージェントとしての専門スキルを教えるプログラムを立ち上げたり、経験豊富な業界人を招いて社内研修を行ったりといった具体的な施策も考えられる。
桃花はその話を聞いたあと、質問する。
「……もしそのエージェントを育成するとしたら。専門学校が良いですか? 大学がいいですか? その両方ですか? 学部はどうなりますか? 法学部ですか?」
……、結論として、大学、専門学校は時間が長期的にかかるので。学生には良いが社会人には不向きであり〈エージェント塾〉をオススメされた。
姫は、創造の赴くままに意見して実行する。
「じゃあ、エージェント会社とエージェント塾を両方やるか」
こうして、エージェント育成計画は始まった。




