第54話「承・愛が重すぎて復元できない」★
今現在歴2037年11月28日〈金〉
ドアの世界、天上院咲の世界。運営会議室、咲がズッコケ5人組と風の妖精の世界に行く前。
その場にいるのは天上院咲と天上院姫と湘南桃花。
内容は声と食と成すべきことについてである。
咲は声は届かない、についての考察をする。
「声は届かない、ということはつまり真実は〈沈黙〉していて喋っていない。で、あえて声を出していい場所を指定するなら。アニメやドラマ、バラエティ番組であって。本当の仕事場や政治家が真似するとたぶん世界が歪むし、私達は責任は取れない、物語は当たり前だけど冗談ばっかりだし……」
たぶん、声を発していないと外界では〈黙秘〉になってしまうので都合が悪いか、外界での人達が会話でのコミュニケーションが出来ないので真似をして間接的に迷惑になっているのか、のどっちかだとは思うのだが。ではこちら側が歌などで譲歩した場合何のメリットがあるかというと、カラオケでストレス発散に以外のメリットは何も無い。だが、カラオケで歌った時の付加価値を自分達で設定できるのならば話は変わってくるな、自分達が0から1を作るのならば、演説のタイミングとか、今後はそういう設定に出来るよな。と、咲は思った。
桃花は声を出す事の無意味さを語る。
「でも毎日お絵描きしながら会話するのは不自然だし、集中できない……、カラオケに行く回数を増やすとか? でもそれを月1でやってもいいけど、それで喜ぶのは声を出している人達であって、作品とは無関係だしね……」
姫は食について考える。
「結婚ルートの星の戦士みたいに何でも食べるとそのキャラに成れる……は解ったよ? モンエナなら障害者に変身……、お茶を飲めば敵だし、桃かハチミツで正義、たぶんドーナツも似たような感じ……今の所は、まあそれは解るんだけどキャラを食ってるな……」
そこで姫は、プロ漫画家が描いていた、キャラの好きな食べ物の重要性を知る。よくキャラ紹介の漫画の欄に好きな食べ物欄があるが、アレを設定したところで作品本編で別に表現していないのでいらないと思っていた。だが実際の真相としては、そのキャラの好物を食べたらそのキャラに成りきれるという、作品本編とはほぼ関係のない場外乱闘用の設定であった。
故に、作品本編では使わなくとも内界では意味を成す代物、としてプロは設定している、と姫は認識した。
桃花は、そこは割とどうでもいいこと、と言ってバッサリと切り替える。
「まあ声と食については、気分転換のカラオケと、散歩で間食する時の食べ物を注意すれば良いだけであって。作品本編とは関係無いんだよね……ちょっとは関係あるけど……。問題は、もし変態うさぎを今リメイクするなら、証券用インクとGペンで描けって話になるし。印刷とDVDディスクにダビングして〈完成品〉にしないと〈消える〉ってところ……。みたいな作業がいる、だがそれをやるとなると全28話やらないといけなくなるし。本当にやりたいのはエレメンタルワールドであって、全部解っていてリメイクをやるとなると、遠回りを2回すると解っていてやる……、という愛にしては重すぎる直球バカな行動になるんだよね……」
あまりにも膨大な愛の重さに……正直、咲と姫と桃花は硬直と長考する……。
最初に口を開いたのは咲だった。
「とりあえず、出来るところからやらない? キャラの好きな食べ物とかさ…… 全28話のリメイクは重すぎて今すぐは無理だよ……」
姫も桃花の言いたいことはわかるが、作業量が物理的に無理と難色を示す。
「それって50年後とかにニコニコ動画というサイトが無くなった場合に残るものの話だろ? 2010年頃の私達に気がつけってのも無理な話だし、2025年頃の私達に書き直せってのもそれは筋違いじゃないか? 責任はもちろん私達にあるけど、私達の王道はエレメンタルワールドであって、もし50年後とかにサイトが消えたとしても画像印刷はもう紙で有るし、甘んじて受け入れるしか出来ないんじゃないか? パソコンだから、コピー機を使っているからダメです、とか言う話はそれこそ筋違いだぞ……?」
あれだけ頑張ったのだから、書き直したい気持ちもわからないでも無いが、本当に描きたいのはエレメンタルワールドであって。本筋じゃないという着地点にどうしても落ち着いてしまう3人……。
桃花がとりあえず目先の出来ることを決めた。
「じゃあ、キャラの好きな食べ物を決める流れか……カラオケは定期的にやればいいだけだし……」
それしかないというより、ソレ以外が重すぎるという案件だった。
というか、愛が重すぎて復元できない。
咲は桃花に対して恋愛話を持ちかける。
「それはそうと桃花さんオーバーリミッツさんにあんまり話しかけないね」
姫は解っているので代弁する。
「桃花は意識し始めちゃって話しかけてないんだよ、ただのシャイです」
「言うな言うな恥ずかしい……」
桃花の珍しい照れ顔である。
で、話を今回の本題に戻して……。咲が切り込む。
「で、内界側の問題として、つまりそのキャラに成りきれる好きな食べ物って認識で良いの? 設定欄に何て書けば良いんだろう?」
姫はAIと一緒に考えて見た結果。
「好きな変身食品、で良いと思う。好きな成りきり食品も良かったが、あっちは演技だったから、本当に大統領とかに成れるのなら変身が適していると思う」
映画限定の役者だけなら〈成りきり〉で良かったが、外界で本当にその事象が出来てしまうので、変身食品の方が適していると考えた。
というわけで、これまでのまとめをする3人。
〈好きな変身食材〉
湘南桃花、卵かけうどん。ホットコーヒー。爽健美茶はトラウマ。プロならコーヒーだと思っている。
信条戦空、野菜入りパスタ。肉、野菜。
真城和季、みそ汁おにぎり。
天上院咲、ミルクティ、ドーナツ。プリン。具なしピザトースト。おでんとコーンスープ。
咲は確認する。
「ここまでは確定していて、あとはほぼ未設定って認識で良いのかな?」
桃花が記憶を思い出す。
「そういえばレストランでメシ食ってるシーンなかったっけ?」
姫も記憶を思い出す。
「あったなー、皆で食ってた食ってた、食った気分がしなかったが、キャラに成れるならそう言えば良いのになー! 桃花が爽健美茶がトラウマだったのは覚えてる」
「それは余計な話なんだよなあ~~~~……」
桃花がそう思いながら改めて調べ直すことにした。プロフィール欄には書いていなかったが物語内では書いた内容だった。
桜愛夜鈴、三色団子、ミルクティ。
オーバーリミッツ、パスタ、紅茶。
ミュウ、ラーメン、爽健美茶。酒では勝てない、プロなら紅茶だと思っている。
「ふむ、なるほどね。今の所こんな材料か」
咲は桃花に確認する。
「あとは暖かい食べ物か、冷たい食べ物かで意味が違って来るみたいだね」
アイスキャンディーと熱い鍋という温度の違いも関係してくるらしい。
この場合、アイスもホットも両方あるお茶系は、やはり万能なんだなと思った。
桃花はとりあえずこのターンの場を閉める。
「ん~解った、とりあえず外界の事も考慮して、次回は〈好きな変身食品〉についての設定表を作りますわ、とりあえずBIG4周りを固めて設定をこねくり回します」
ということでこの場はお開きになった。




