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いじめの現場目撃


京ちゃんたちとはクラスが分かれてしまったため、いつも一緒にはいられないときもあります。


そんなときは、亮君が一緒についてくれていたりもするんですが、女子と男子は一緒にいられないときもあって、いつもではありません。


そんな体育の帰り道、体育倉庫の裏から大きい物音が聞こえた気がして、ちょっと寄り道してしまいました。


「貧乏人の体操着は嫌な匂いがするわ」


「ちかよらないで、気持ち悪い」


「ちょっと、生意気な目でこっちを見てるわ。貧乏人のくせに」


そんな声が聞こえたそこには、うずくまる女の子とそれを囲む女の子たち3人がいました。

うずくまっている女の子の体操着はよれよれで汚れています。


とりあえず、手近な棒を拾って、ドキドキうるさい心臓をなだめ、思いっきり飛び出していきました。


「こらああ、なにしてるの!」


棒を持って仁王立ちで構える私に恐れをなしたのか、女の子たちはキャーと悲鳴をあげて逃げていきました。


「大丈夫?」


うつむいているその子が心配で声をかけて、手を差し出します。

しかし、その子は手をとろうとせずに、ギラッと憎しみが篭った眼でこちらを睨みつけてきました。


「あんた、水月沙良でしょ」


「う・・うん」


「なにが大丈夫よ。偽善者!貧乏人!自分は人気者に取り入って安全な場所にいるくせに。私より貧乏なあんたが、なんで、のうのうと過ごしているのよ。おかしいでしょ」


「なによ、その目、そんな風に同情をきどるなら、あんたがいじめられなさいよ。媚びて安全な場所からでてきて、ボロボロにになりなさいよ」


「私より貧乏なんだから、あんたが這い蹲るべきでしょ。貧乏人がゴミクズならあんたはゴミ以下でしょ。あんたが逃げてるから私がいじめられるのよ。私はあんたの代わりにこんなになってるのよ。卑怯者」


女の子は涙を流しながら堰を切ったように罵倒してきました。

そして、立ち上がったかと思うと、バンと音がして左頬が熱くなりました。


思いっきり殴られてしまったようです。


そのまま女の子は去っていきました。


「うー、怖かった。イタタタ」


腫れる頬を押さえ、へなへなと座り込みます。

女の子の集団に飛び出していったドキドキの反動と、向けられた悪意の強さと、頬の痛さに、すぐに立てそうにありません。


「あーでも、真実の一面だな」


左目から涙が一すじポロリと流れ落ちてしまいました。








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