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駄菓子屋にいくぞ



さて、ユリウスママから、今後も遊びに来ていいという言質をいただいたところで、その辺にいた執事さんから500円をもらう。


「すみません、できれば100円を5枚でお願いします」


怪訝な顔をして見ている亮君とユリウス君に100円を1枚づつ渡す。


「面白いところに連れて行ってあげる。でも、みんなで500円しか使っちゃだめだからね。約束だよ。100円は好きなものに使って、あとの200円はみんなで考えて使おうね」


さて、前から3人で行ってみたかった駄菓子屋さんへレッツゴーです。



「沙良ちゃん、でも、僕お母様が許してくれたものしか食べれないんだ」


ユリウス君が残念そうに言います。

ふふふ、でも大丈夫。すでに対処済みでございますよ。


「大丈夫だよ。ユリウス君のお母さんから、このお金で買ったものはとりあげたりしないし、自由にしていいって約束してもらってるから」


そういうとユリウス君はすごく嬉しそうな顔をしました。

えぇ、前から市販のお菓子をうらやましそうに見ていたのを知っていますよ。今日は一緒に食べれますね。


一応、警護の人に行く予定の駄菓子屋さんを教えて、安全を確保してもらうように配慮しました。

攫われたりしたら大変ですからね。


さあ、駄菓子屋さんです。いろいろな玩具やお菓子が透明なビンに入っているのを二人ともキラキラした目で見ています。亮君はさっそく、あれとあれとあれで100円か、でもこっちもいいなぁと計算をはじめました。


ちなみに、私たちは目立っています。わざわざユリウス君の持っている服の中でも地味で違和感がなさそうなものに3人で着替えたのにもかかわらず、こんなにもジロジロ見られているのはきっと、後ろにユリウスママがキョロキョロしているからに違いありません。ユリウスママは、ユリウスをどこに連れて行くつもりなの。信用ならないわ。私も連れて行きなさいと、いざ行くときに立ちふさがり、無理やり一緒についてきてしまいました。


亜麻色の髪を長く伸ばして、本日ピンク色のドレスっぽい服をお召しになった貴婦人。こんな人が駄菓子屋に現れたらそりゃあ、見るわな。

周りの風景から浮き出して見えます。まるで馴染んでいません。

しかし、本人は視線に全く頓着せずに周りをキョロキョロ見渡しています。


「まぁ、これは50円なの?紙幣がいらない買い物なんてはじめてだわ」


お願いだからそのような台詞は心の中だけでお願いします。


「このお店全部買うとおいくらなのかしら」


おっと、やばい。店買い宣言だ。よし、ユリウス君、事前にやったとおりにフォーメーションエーで対応だ。


「ユリウスママ、持ってきた500円しか使わないって約束しましたよね」


「沙良ちゃん、ママは約束やぶったりしないよ」


キラキラした目で見上げるわが子の前ではさすがに約束を破れず、もちろんよ、と諦めたようだ。ふう、そんなこともあろうかと、ついてくるといったときに約束しといてよかったです。


「ユリウスママの分どうぞ」


「ふん、もともと私のお金でしょ」


ユリウスママにも100円を渡すと、嬉しそうに握り締めました。なんか憎めない人ですよね。

残念そうにずっと見ていたビー玉セットをどの色にしようかと一生懸命悩んでいます。


私はずっと欲しかった、犬の形をした50円の消しゴムと、30円のスナック菓子と、20円のチョコを買いました。わああい、うれしいなっと。


亮君は50円のスナック菓子を2個です。


ユリウス君はなんと、ビー玉セットを1個買って、ママにあげていました。最後まで悩んでた2個のうち1個を買ってあげるなんて、うぅ、やさしいですね。

ユリウスママも涙目です。


で、残った100円で大きいスナック菓子を買い、意気揚々とお屋敷に帰ってきました。






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