九条のお家
「それで、どうだった?うちのお母様たちは」
「感想は?」
人の悪い顔をしたまま、二人が聞いてきます。
先ほどのあれで感想を言えと??
「えー・・・すばらしい女王様ぷりでした?ん?ちがうのか?主人と飼い主?んー、あれれ」
いけない、無難な回答が思い浮かばない。
普通なら甘えていた彼女たちを従わせる旦那様って構図になりそうな気もするんだけれど、でもどうしても都さんと麗子さんが主人にしか見えなかった。
「ぷっあはははは。女王様だって」
二人は顔を見合わせて笑っている。こうして見ると確かに二人は従姉妹といわれて納得するくらいには似ているような気がする。
「あーらうれしい。あなたたちのお友達はいい目をもっているのね」
後ろからお二人が現れたのでびっくりしてしまいました。
失礼ではなかったでしょうか。内心冷や汗ものです。
「ふふ。うちは特殊な家系でね。女性が跡継ぎなのよ」
都さんが説明します。ほうほう、女系一族なのですか。
「あながち間違いじゃないのよ。女王様も。九条の家はお姫さまの家系だから」
へーほうほう。すごいんですね。
隣の茜ちゃんと驚きを分かち合おうとして見てみると、茜ちゃんは当然のように頷いている。目があうと、私の疑問がわかったのか、すこし気まずそうな顔で説明してくれた。
「九条のお家のことは、有名だから。京ちゃんと都ちゃんのことも知ってたの。ただ、あの、仲がすごくいいというか、スキンシップが多いのは知らなくて、その・・・」
「ああ、そうなんだ」
なるほど、なるほど。まさかあそこまでラブラブオーラを放つご家庭だということまでは知らなかったというわけですね。というか、子供の目に毒です。あれを見て平静でいられるのはきっとしょっちゅう見せられて見飽きてる風な目の前の京ちゃん、みっちゃんくらいでしょう。
「ふふ。というわけで、これから沙良ちゃんの教育を週に一度行わせてもらうわね」
「茜ちゃんも一緒に受けること。それからカリキュラムの中には人心掌握も入っているから心してかかるように。もちろん茜ちゃんのご両親からもよろしくお願いされてるからね」
にっこり微笑む都さん、麗子さんに背筋が寒くなる思いがしたのは気のせいだと思いたいです。切実に。




