他人じゃないでしょう?
新幹線のグリーン車は閑散としていた。
春休みとはいえ、グリーン車は高いからな……。
おれ達五人だけで、一車両を占領していた。
白鳥、おれ、優(弟)、勝也(弟)、恵美(妹)の五人だ。
おれの家は両親が共働きのため、長男のおれが弟たちの面倒を見ている。
旅行中、弟たちだけの留守番が不安だったので、一緒に連れて来ることになったのだ。
白鳥は「だったら、連れて来れば良いじゃない」の一言だった。
全資金提供、迅速対応の白鳥に感謝。
白鳥家はプチセレブなのだ。
「別に、お金のことは気にしなくて良いわよ。三人増えたくらい、どうってことないわ」
「お前にとっては、はした金かもしんないけど……」
他人に金を払ってもらうのって、少し後ろめたいんだよな。
「……他人じゃないでしょう?」
「え?」
まあ、一緒に旅行へ行くくらいだから、他人ではないよな。
ていうか、心読むなよ。
「御主人様でしょう?」
――――――こういう奴なのだ。
白鳥美和子、美人だが性格に難あり。
「へいへい、ありがとうございました、御主人様」
まあ、もう慣れたけど。
高村君の弟妹も一緒に旅行に行きます。
弟妹にとって、白鳥さんは謎の存在です。




