大久保君からの呼び出し
それから、何日かは台詞や動きを考えたりしていた。
しずかとしょかんでの日々は、かなり充実していた。
浅羽さんのことはもっと好きになったし、大久保君ともけっこう話すようになった。
でも、僕はまだ、大久保君のことがあまり好きにはなれなかった。
大久保君がいい奴であることは分かってはいるのだが、浅羽さんと仲良く話しているのを見ると、もやもやとした気持ちになるのだ。僕の中で、大久保君を勝手に恋敵認定してしまっているかのようだ。
ある夜、大久保君からメールが来た。
内容は、浅羽さんには言わないで、僕の家の近くの公園に来てほしいとのことだった。しずかとしょかんの中だと浅羽さんに見つかるかららしい。
もう夜の九時を過ぎており、その呼び出しを不審には思ったが、無視する訳にもいかないので待ち合わせの場所に向かうことにした。
夕食を済ませ、父に出かけることを伝える。僕の家に門限なんてものは存在しない。心霊研究会の時も、深夜に学校に忍び込んだりするのを親として止めるでもなく「僕も行きたい」と言い出す始末だった。
「おっ、もしかして、女の子からの呼び出し? 夜に告白なんてロマンチックだねぇ」
「そんなんじゃないよ」
今は父のどうでもいい話を聞いている時間はなかった。
ここに出てくる公園は「白鳥さんの黒歴史」でも出てきた公園です。
白鳥家と橘家は意外と近くにあります。




