烏丸 凛
◆
「死のうと思っていた」
こんな暗いことが延々と書いてあった自分への手紙を読んで、思わず苦笑してしまう。十年前の僕って、相当病んでたんだなあ、と。
あの時は、自殺未遂の直後だったから仕方ないか。
では、今の僕はどうだろうか?
充実した日々を送っている、と言えるだろう。仕事は大変だけど頑張っている、と思う。弁護士をしていて、様々な人間を見てきても、やっぱり共感なんて出来ないし、人の気持ちも分からない。でも、いつかきっと分かる日が来る、と信じている。いや、そう信じたい。僕は、そのために、この仕事を選んだのだから。
人を理解し、救済する。
あの日の彼女のようになれたらいい。
苦しいことも多く、死んでしまいたいと思うこともあるけど、もうそれは出来ない。逃げてはいけない。
僕の弟が、和がいるから。
守るべき存在をがいる。それが生きている理由。
生きて、向き合う。自分に、人に。
偽物でも頑張って生きていれば本物になれる。嘘も、いつか本当になる。
だから、生きていこう。
十年後の僕へ。
信じてるよ。
烏丸君が書いた手紙は「カラスが綴る回想録」をご参照ください。




